ラッカは静かに虐殺されている

劇場公開日:

ラッカは静かに虐殺されている

解説

メキシコ麻薬戦争を追った「カルテル・ランド」のマシュー・ハイネマン監督が、5年間での死亡者が43万人にものぼる戦後史上最悪の人道危機と言われるシリア内戦に肉薄したドキュメンタリー。シリア北部の街ラッカを過激思想と武力で勢力を拡大するイスラム国(IS)が制圧し、ラッカの街はISの首都とされた。かつては天国と呼ばれ、穏やかだった街は爆撃により廃墟と化し、残忍な公開処刑が日夜繰り返されていく。匿名の市民によって結成されたジャーナリスト集団「RBSS」(Raqqa is Being Slaughtered Silently=ラッカは静かに虐殺されている)は、海外メディアも報じることができないこの惨状を国際社会に伝えるべく、スマホを武器に街が直面している現実を次々とSNSに投稿。そのショッキングな映像に世界が騒然となったが、RBSSの発信力に脅威を感じたISはRBSSメンバーの暗殺計画に乗り出す。

2017年製作/92分/アメリカ
原題または英題:City of Ghosts
配給:アップリンク
劇場公開日:2018年4月14日

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(C)2017 A&E Television Networks, LLC | Our Time Projects, LLC

映画レビュー

4.0現実の戦争と情報戦争

2018年4月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

難しい

シリアのラッカに暮らす、市民たちが町の凄惨は現状を世界に伝えるために結成した市民ジャーナリスト「RBSS」(Raqqa is Being Slaughtered Silently=ラッカは静かに虐殺されている)の戦いを描くドキュメンタリーだ。本作における戦争は、文字通りのシリアで起きている悲惨な物理的戦争と、ISISとRBSSとの間で行われる「情報戦争」の2つだ。戦争の悲惨さを訴える虐殺行為を捉えた実際の映像も使用されていて、そちらに目を奪われるが、作品テーマとしては、インターネットを舞台にした情報戦の実態にある。

ISISのプロパガンダ映像に対して、命がけで現場の情報を世界に発信していく。スマートフォンは現代の武器だ。ISISにとっても彼らの情報発信力は脅威であるから、命を狙う。

「新聞記者は戦争を始めることができる」とサラエヴォ出身のイビチャ・オシム氏は言っていたが、戦争において情報戦は昔から重要だった。しかし、それはプロのジャーナリストや諜報機関の分野だったものが、市民レベルにまで浸透しているのが現代だ。

この映画は、その最前線を描いている。今の時代を知るためにとても有意義な作品だ。

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杉本穂高

4.0命懸けで抗う市民ジャーナリスト

2021年9月16日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

映画という映像作品から多くの真実と哲学を知り学ぶことができる
本作もまさにそんな作品の一つ

原題は City of ghosts、
邦題は ISIS に抗うラッカの市民ジャーナリストグループ名
スマートフォンを武器にして、
文字通り命懸けでISISと戦う市民ジャーナリストにフォーカスを当てた作品

とにかく凄まじい記録映画、観れば分かる

2017年発表の映像作品なので生前のバグダディが映っている
ISISは組織ではなく思想、まだ終わらない
仮に終わっても、
民主主義が根付かない国家では新たな専制組織が台頭してくる
民主主義と国民のための政府を確立するまで
RBSS(Raqqa is Being Slaughtered Silently)はその活動を続けるのだろう

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伊助

4.0【”我々の言葉は、間違いなく彼らの武器より強い” シリア北部の街、ラッカで起きてしまった、現実の出来事とは思えない事を克明に映し出した、苛烈なポリティカル・スリラー・ドキュメンタリー。】

2021年8月5日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館、VOD

悲しい

怖い

知的

ー 2014年6月 戦後史上最悪の人道危機と言われるシリア内戦下、過激思想と武力で勢力を拡大していた「イスラム国」(IS)が、北部の街ラッカを制圧。
  その後、ISはラッカを首都とし、公開処刑が繰り返され、市民は死の恐怖におびえながら過ごす過程は、映画に描かれている通りである。
  そんな中、海外メディアに、ラッカで何が起きているかを伝えるために、市民ジャーナリスト集団”RBSS ラッカは静かに虐殺されている”が秘密裏に結成される。
  RBSSは、ラッカでの非人道的なISの行為をスマホで撮影し、SNSに投稿する。
  だが、危機を強めたISは彼らや彼らの親族を標的に、非道な行為を次々に行っていく。ー

◆感想
 ・苛烈なポリティカル・スリラー・ドキュメンタリーとしか、書きようのない映像が次々に映し出される。RBSSの国内組のメンバーは情報を必死で発信するが、次々に暗殺されていく。

 ・主にトルコに逃げた国外組のメンバーもISによる、暗殺の恐怖に耐える日々。そんな中、RBSS創立の共同者ナジがトルコで暗殺。
 彼らの多くはドイツに逃れる。だが、国外組の肉親も、ISに処刑されていく。
 ー 臨場感が、尋常でない。そして、自分の父親がISに処刑されるシーンを見るメンバーの深い哀しみとISに対する怒りと恐れ。ー

 ・ドイツでも、移民排斥運動が激化し、彼らはベルリンから別の土地へ・・。
 ー 2010年ころから、フランスを中心に、移民排斥運動が激化し、その波はネオナチ思想に毒された一部のメンバーの誘導により拡散していった・・。故郷を追われ、異国の地でもIS及び、その国の人々に追われるRBSSのメンバーの哀しみ、不安や如何に。想像もつかない・・。ー

<2021年 ISは今作でもその姿が鮮明に映し出されたアブー・バクル・アル=バクダーディのアメリカ軍の攻撃による死をきっかけに、壊滅状態になっていたが、新たな勢力が萌芽している。
 そして、全ての元凶と言って良いアサドは、圧倒的な勢力を依然保っている。
 ラッカにかつての、美しき街並み、寛容な精神を持つ人が多かったと冒頭で紹介された人々が、再び、穏やかに暮らせる日は来るのであろうか・・。
 今作は、公開当時、ISの非道な所業を、全世界に命を懸けて発信した勇気あるジャーナリスト達の、生の姿を描いている。
 RBSSの代表スポークスマンに対し、世界のジャーナリストがスタンディング・オベーションで称えたシーンは、可なり沁みた作品である。>

<2018年8月18日 京都シネマにて鑑賞>

<2021年8月5日  別媒体にて再鑑賞>

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共感した! 2件)
NOBU

3.5なんで、ドイツ警察による保護の申し出を断ったのだろう!

2021年4月6日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

なんで、ドイツ警察による保護の申し出を断ったのだろう!

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J417

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