響 HIBIKIのレビュー・感想・評価
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「物語の道具」扱いされない「人間で天才」
『主人公の鮎喰響は15歳の女子高生ながら芥川賞・直木賞に同時ノミネートされた天才小説家。
しかし彼女は自分の信じる生き方を絶対に曲げず、暴力的な手段も辞さない』
これだけをきくと、「天才だ」と人々が熱狂する様子やその才能に圧倒される秀才たちが生き生きと描かれて、主人公は「天才」「破天荒」という属性だけを割り振られた道具になりかねないと思う。
しかし、違う。
この映画では15歳の鮎喰響が毎日を生きている。
作中に響のモノローグは一切ないのに、響のことを目で追っているだけで、鮎喰響が非常に豊かな感性で世界をみつめていること・何を大切にして生きているのかが深く自分の中に入ってくる。
主演の平手友梨奈は様々な媒体で「鮎喰響の生き様を届けたい」と話しているが、その言葉通り、1秒たりとも逃さず鮎喰響として生きていた。
嘘がなくてまっすぐ世界と向き合う人間の強さと危うさを、とんでもない存在感をともなって感じられる映画だと思う。
自分はこの先、「しょうがないじゃん」とごまかしそうになった時、鮎喰響のことをふと思いだす気がする。
もう一つの響が見てみたい(駄文長文御容赦)
「痛快!スカッとした!気分爽快!」
「自分を曲げず汚い大人をやっつける彼女の生き様に共感」
「平手友梨奈は鮎喰響そのもの」
この映画の高評価レビューの大勢はこんなところか。
映画を見た受け手の多くがこう感じたのなら、アイドル主演映画としてまずまず成功した部類に入るのだろう。言ってることは正しい(っぽい)が、やってることは社会通念とかけ離れるので、「大人の常識なんてクソくらえ!」と単純にスカッとしたい人であれば、キャストのファンであるなしに関わらずそれなりに楽しめるはず。彼女の物言いに「そうだ!そうだ!」と相槌ちを打つのは簡単にできる構成だからだ。更に言えば平手友梨奈のファンなら文句なく☆5満点だろう。登場シーンは豊富でドアップも満載だ。
私自身も、もしこの映画を『天才的ともいえる小説家としての才能を秘めた女子校生-響-の巻き起こす、大人へのアンチテーゼをテーマとした痛快活劇』…として観るならそれほど悪い評価はつけない。
但し、主人公からなにか共感を得るといった類ではなく、深く考えずに女子校生がスカッとゲスな大人をぶっ飛ばす様子を喝采しようではないか…といった見方にはなるが。
104分のストーリーには主人公の信念や生き方に関する背景描写がほとんどなく、天才感も悲しいほど乏しい。原作を読んでいればある程度補完されるものの、実は原作でもそれほど彼女のバックグラウンドは説明されていない。小説を投稿しただけで一気に響は天才認定され、いきなり破天荒な行動が全面に出てくるから、特に原作未読の人は彼女の生き様をスクリーンに写る行動や言葉から勝手に妄想せざるをえない。
また、エピソードが雑多で一つ一つは浅薄だから主人公の個性を際立たせる面ばかりが悪目立ちしてしまい、ややグロテスクに感じてしまうのは残念。実は普通の高校生でもあるんですよといったシーンも挟まれてはいるが付け焼刃な印象。もっと高校生らしさをスポイルしない演出方法はなかったか。
主演は欅坂46の平手友梨奈。
実際に多弁ではなく、朴訥と喋る人物像は主人公の鮎喰響にピッタリといった声も決して的外れではないと思うが、如何せん平手友梨奈がセンターを務める欅坂46の楽曲の風味がキャピキャピの色恋ものでなく、「反大人」だったり「自分に正直に生きる」などのメッセージ性の強さにあることを考えると若干のあざとさを感じざるを得ない。鮎喰響に嵌る役者がいたというより、今の平手友梨奈に嵌るキャラを探してきましたと言ったら少し嫌味かもしれないが。
演技力は…過去のアイドル主演者(デビュー当時の原田知世や松田聖子など)と相対評価をすれば確実に及第点。セリフを一言二言喋っただけで「大根!」と叫びたくなるような人も大勢いたが、彼女にそれは当てはまらない。鮎喰響の演技は相応に出来ていたといって差し支えない。但し、絶対評価で言えば、まだまだこれからの人。現時点で上から目線の強者は演じられても、おそらく歯を食いしばって生きる弱者は演じられない…といった印象である。
共演陣は豪華な配役。
北川景子は影の主人公であり、響をただの道化にしないように随所で常識ある大人を演じている。演技は普通。
小栗旬と柳楽優弥は特別出演的な配置だが、物語の構成上は重要な役回り。さすが主役級。短時間でも存在感が凄い。
不満は高嶋政伸。彼の責任ではないが悪役っぷりが足りない。彼の冷淡な演技はもっと下衆な役柄じゃないと活かされない。
「お嬢ちゃん…うちでゴーストライターやらないか?…金なら払うぜゲヘヘ…」くらいがちょうどいい。
長くなったのでこの辺で評価を総括すると、残念ながらチープなアイドル主演映画の枠からは出られていない。
一部のコアな観覧者は「アイドル映画」としてのレッテルに拒否感があるようだが、映画の構成、宣伝を含めてアイドル平手友梨奈を提供側が推しているのは明白だから仕方ない。公式サイト、雑誌、TV、ラジオと過剰に平手友梨奈を露出させたのは逆効果だったように思う。せめて公開前は平手友梨奈=-響-をビジュアルを含めてもっと「謎めいた人物」としておけば印象はまた違ったかもしれないが。
ここまで映画評 ☆3
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ここからは蛇足
月川監督はこの映画をどのような作品にしたかったのだろう。本当にこの-響-で満足しているのだろうか。
原作者がどうプロットを考えているかは判らないが、自分には物語の根底にある本来の主人公は鮎喰響ではなく、取り巻く大人のように思える。
守るべきものがあれば、自分の信念を傷つけるものがあれば、手段を選ばず行動する。自由奔放で自分を偽らない高校生-鮎喰響-を触媒として、彼女に触れた者たちが少なからず自分の人生の立ち位置や失った自由を見つめ直す…そんな大人たちの群像劇。
真にフォーカスされるべきは鮎喰響の生き様ではなく、俗に堕ちた大人たちの悔恨と僅かに取り戻す未来への光であると。もし、そこを軸にもっと深堀して描いたなら冒頭に書いたような「響ありきの痛快劇」ではない-響-がそこにあるはずだ。
勝手なことを書いた。
もちろん商業映画だから大人の事情は察するし、公開された-響-とは関係ない話だ。原作とも離れてしまうだろう。だから蛇足である。けれども…。
もし、一切の先入観を持たずに済む無名の女優が鮎喰響を演じ、山本と鬼島の心の変遷をもっと深堀した-響-があったなら是非観てみたいと思ったのも事実なのだ。
月川監督とどこかの飲み屋でばったり会ったら「本音ではどう作りたかったの?」と聞いてみたいくらい惜しく、素材としては面白そうな作品ではある。
テンポよく面白かった
原作なぞるだけ
2時間のドラマとして精査できていない。
●原作の目をひくエピソードを並べただけ。長編としてのドラマの根幹がない。だから心情的に盛り上がる場面も唐突なだけで違和感しかない。
●つまり脚本が雑。各エピソード、登場人物も使い捨て状態で機能しあっていない。
●主演も含め若手の芝居がヒドい。役を作り込んでないないとしか思えない。
原作だけによりかかって、映画の作り手が仕事してないようにしか思えない。
響くー❗
凄い‼️
意外と適役だと思いました
欅坂46センターの平手友梨奈が主役を務めることで話題となりましたが、作品としては普通かなと思います。特につまらなくはありませんでした。
ここで活躍する天才小説家響は基本的に会話が成立せず、世の中ではある意味迷惑な存在です。でも、本当の天才ってそんなもんかもしれないと妙に納得したりして(笑
書き手と出版側を描いた物語としては「バクマン。」が記憶に新しいですが、当作の方がいろいろと衝撃的でした。
「平手友梨奈凄い」
アーティストなら本音で勝負しろ!
面白かったなぁ〜
突如、文壇に登場した天才女子高生小説家 鮎喰 響(あくいひびき)の物語
女子高生 鮎喰響が書いた小説「お伽の庭」が、出版社の新人賞を受賞すると、たちまち「女子高生の天才小説家誕生!」と反響を呼ぶことになり…
私がこの映画を観てとても共感したのは
「みんな、世間の目を気にしすぎじゃね??」という響の生き方
小説家たちは、書き上がった作品について「世間にどう評価されるか」ばかりを気にして、周りから褒められる作品を書こうとする
それは、小説家に限らず、全ての人に言えること
何かを発言したり、表現したりする時に、周りの人たちに認められたいという承認欲求が出てしまい、いつの間にか、自分の思っていたことと違うことを表現してしまっている
そうして本音ではないところから生まれた作品は本当に面白いものなのか?と、問いかける
響が「天才」と言われたのは、そうした「周りから認められたい欲求」がなく、ストレートに、ありのままに、書きたいように自分の思いを表現したからだ
そして、そんな響がもてはやされるようになると「出る杭は叩きつぶす」とばかりに、マスコミは響の欠点を一斉に叩き始める
それでも、響のように「誰に突っ込まれても揺るがない自分」があって「友達がいじめられたら仕返しをする」ような熱い情熱があれば、周りの人たちは、自然とその人を評価するようになるのだ
そんな真っ直ぐな響を観ていると、私自身の中にも「周りの視線を気にして、いい子ちゃんになろうとする私」とか「認められたい承認欲求」があるような気がして、考えさせられてしまった
みんなが響のように生きられたらいいけど、彼女のような生き方はとても難しいのだ
しかし、世間の目ばかりを意識した表現には、つまらないものしか生まれないのも事実だ
表現したいことがあるなら、世間の目を気にせず表現するべきなのだ
だからといって、何をしても良いというわけではなく、やるなら、響のように最後まで責任を持つべきだ
どんな批判も受けて立つ覚悟を持って表現したとき、その人の最高傑作が生まれるのだ
その他にも「自分は才能がない」と決めつける小栗旬には「勝手に決めつけて落ち込んでんじゃねーよ」と思ったし、
人の作品も読まずに決めつける柳楽優弥には「こういう人いる〜!!」と思った
響は、最近の「作品自体よりも、その周りの現象」を評価したがる世の中に「モノ申す」ために生まれたキャラクターなのだと思った
アーティストなら作品で勝負しろ
ということなのだ
そんな作品を、そんな世界のど真ん中にいらっしゃる「秋元康センセイ」がスーパーバイザーとして参加しているんだから面白い
世間の欲求を形にして、一大王国を築いてきたように見える秋元センセイだけど、そう見えて、そうではないということなのか
それとも、秋元康も響のように生きたいということなのか
響だったら、秋元康をどう評価するのか、聞いてみたいところだ
なかなかのものでした。
先入観無しにみた。AKB系のアイドルのための映画だとか、どうせ大した映画ではないだろうとか、主演が好きとか嫌いとかいったフィルターを外してまっさらな気持ちで観ての感想。
なかなか興味深い。15歳の高校生が芥川と直木賞を同時に受賞とか現実にはあり得ない話だろう。ゆえに映画は面白いのである。響は自分は曲げないし妥協はしない。興味のあることには柔軟に入り込み熱中する、が、自分が納得すればそれで満足し欲がない。どんなにすごい賞でもそれに頓着しない。響が自分の作品に満足すれば周りの評価などどうでも良い。相手がどんな有名作家であろうと面白いと思えば面白かった、つまらないものはつまらない、とはっきり言える強さを持っている。 大事な人がいじめられていれば相手に向かって飛び蹴りもしてしまうというエキセントリックな少女でもある。
心の動きをヒロインの平手は台詞だけでなく目の動きや表情の微妙な変化でうまく演じている。はっきり言って驚いた。彼女はまさしく響だ。 これは映画で見て初めてわかる。短いCMで激しいシーンや少しばかりの台詞ではわかり得ない。観て初めて感じることだと思う。主演が嫌いだとか最初からそんな見方をするとこの映画の真価はわからない、そしてその逆もまた然り。
もう一度見に行きたい、最後に流れる平手の語るような歌。 私は好きな映画だ。
思ったより面白い
原作は読んでいましたが、ストーリーも淡々としていますし、正直全く期待しないでいきました。
一緒に来てくれたつれも全く興味なく、いやいや付き合ってくれた感じだったので、観る前までは、俺、たぶん寝るからと言っていたのですが2人とも気がつけば引き込まれて最後まで一気に楽しみました。
クリエイティブなモノを作る人はもちろん、論文を書く研究者などでも、世の中に自分の仕事を出すような職業の人たちには刺さるものがあると思います。
平手友梨奈は演技がうまいとかへたとか、全く関係なくそのまま響でした。
周囲の豪華俳優人に食われていないのが印象的でした。
サーチエンジンで検索すると何故か☆1の最低でしたレビューが一番上に来るように設定されていて平手を嫌いな人がご丁寧にネガキャンを仕掛けたのかな、と思いました。
好き嫌いははっきり分かれる映画だと思いますが、期待しないで視るといい意味で裏切られる良作だと個人的に思いました。
響がとっても大好きになりました。
月川監督はじめキャストの皆様映画響の関係者様本当にお疲れ様でした。そして作品を作り上げていただきありがとうございます。
響という一人の女の子を中心に動いていく世界がとても面白くこんなに感情を動かされた作品は初めてです。
平手さんの存在感はもちろん北川さんアヤカさんそして長時間尺があるわけではないのにとても印象に残る小栗さん柳楽さんなどの存在も大きく主演は平手さんですが見方によってシーンによってはメインが変わるなと思いました。
やっぱり原作があるものを実写化にするというのは端折らなければいけない部分もあったと思いますが端折ってる部分をうまくカバーできていてつまらないという感想はでてきませんでした。
この感想が誰に見てもらえてるかわかりませんがひとつ気になったことがあります。
原作では表に名前を出す時苗字はなく〝響〟でだしてますが映画の方では〝鮎喰響〟とフルネームで芥川賞直木賞の受賞の時名前が出てました。これはなにか意味があってこういうかたちになったのでしょうか。どこかでこのことについてお話されてるものがあれば教えていただきたいなと思います。
長くなってしまいましたが、観るのもし悩まれてる方がいるなら是非1度は観て頂きたいなと思いました。
やっぱり演技はひどい…
全476件中、221~240件目を表示