ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書のレビュー・感想・評価
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A社の記者は入れるな!と言われてこそ
ベトナム戦争がいかにアメリカ合衆国の社会を引き裂いて、市民を苦しめていたのか、同時代を生きてきた者には、ベンやケイの気持ちがよくわかるのですが、若い観客には、その辺はぴんとこないかもしれなかったです。
単純化すると報道の自由の話ですが、国家は国民を騙して戦争に連れて行くということを、あの時代の米国で多くの市民が実感として気づいたことが重要だったと気づきました。この映画は、普遍的な戦争の問題を突きつけています。
今の日本でこそ見られるべき映画。
ラストで「ワシントン・ポストの記者は絶対ホワイトハウスに入れるな!」と電話に叫ぶニクソンの後ろ姿は、トランプ大統領を意識しての演出でしょうが、我が国の首相の姿でもあります。
報道は国民の為にあるのであって、統治者に奉仕するものではない。という言葉が重い。
日本の新聞も、出入り御免になるくらいの報道姿勢をみせて欲しい。
決断の難しさ、信念の強さ
メリル・ストリープは、本当に品良く自立した女性をやらせると上手いなと思います。今回のケイも、優雅で知性がある上流階級の女性として完璧だったし、新聞社の経営は自信無さげだけれど、新聞の、報道の本質は掴んで、譲らない所が素晴らしい。でも強いだけで無く、迷ったり後悔して泣いたりする。等身大の人間味があって、他の役者を圧倒してました。面白かった。
女性活躍🌀
そんなつもりで観に行ったわけぢゃないのに、これもまた女性が社会の中でどんな思いで頑張っているのかという想いの詰まった映画。
なんか多いな、最近。
もちろん社会で頑張る女性の1人としてはエールを送られる作品は多いに越したことない。でもこうも嬉しくも似たようなメッセージが次々と出てくると、これはハリウッドを沸かせたセクハラ問題への償いだったりする??なんて思ってシラけてしまう…。
考え過ぎか^^;
こんな余計な感情は抜きにして、創業者一族の一員でありながら男性社会の中で虐げられて力無い声をあげることができずにいたケイの男らしい決断に胸が熱くなった(*´ω`*)
今だから観るべき映画。
今あるアメリカの危機を改めて感じました。
まさしく、スピルバーグ監督が言っていた「今、撮るべき映画」でした。
ある程度の予備知識がないと、前半は置いていかれぐらい早いセリフと登場人物の数と展開。後半は結果がわかっていたとしても、緊張感がありました。
メリル・ストリープ演じる経営者の視点と決断は、同じ女性として感動しました。頼りなく、迷いながらも、信念を貫く表情の変化に、さすが、としか言えません。
微妙…。
正直、ネタがあんなずさんな管理であることから疑問でした。
そして、あの文書が作られた目的(劇中で説明はあったが)が微妙な気がした。
そのあたりの陰謀?と絡ませたら、もっと面白かったと思うけど、なんとなく微妙…。
今の安倍内閣の諸々のゴタゴタが40年後に映画化されるためには、誰かがスクープしないと…。
そんな勘繰りをしてしまう内容でした。途中眠かったし、微妙…。
焉んぞ、権力に与す報道をするや
1971年の米国。
ベトナム戦争は泥沼化の一途をたどっていたが、米国政府はその正当性・優位性を国民に報じていた。
しかし、政府高官に替わって現地視察をした関係者が、ベトナム戦争の政府機密文書を持ち出し、ニューヨークタイムズ紙にリークしてしまった・・・
といったところから始まる物語で、折しも、ワシントンポスト紙は経営立て直しに向けての株式公開に目前だった。
政府はNYタイムズ紙への差し止め訴訟を起こし、短期のうちに勝訴してしまう。
同じニュースソースから機密文書を得たワシントンポスト紙としては、経営立て直しを優先して件の文書を報道するのを止して日和ってしまうか、それとも義を通して報道するかの決断を迫られる・・・と物語は展開する。
前半、かなり地味で、本当にスティーヴン・スピルバーグ監督かと思うくらいの地味さ加減。
音楽も控え、地道にワシントンポスト紙の窮状を淡々と描いていきます。
この前半で、ダメだぁ、ツマラナイと思う観客もいるかもしれませんが、この抑えた前半があったからこそ、文書を入手してからの後半のスリリングさが活きているともいえます。
報道の自由をどう守るのか、というテーマもさることながら、政府(権力を有した側)の嘘には騙されないぞ、嘘だとわかったからには真実を暴くぞ、という心意気が伝わってきます。
メリル・ストリープもトム・ハンクスも好演ですが、特にトム・ハンクスはアクが抜けた感じで、まさに好演でした。
この映画のラストシーンに続くのは、同じくジャーナリストを主演にした『大統領の陰謀』の物語。
お時間のある方は、続けてご覧いただくのがよいでしょう。
これぞジャーナリズム。報道の自由を守った稀代の決意。
【賛否両論チェック】
賛:「機密文書の公表」という大スクープにあって、国家権力からの圧力に決して屈しなかった新聞記者達の熱意を通して、社会で生きていく中での自由の尊さを考えさせられる。また、その裏にあった女性経営者の苦悩や葛藤も描かれ、その成長過程にも感動させられる。
否:ストーリー自体はかなり淡々と史実をなぞるように進むので、気をつけないと眠くなってしまうかも。
勿論メインは、世論をも変える国家機密の暴露を決行した新聞記者達が、国家権力からいかにして報道の自由を守り抜いたかという部分ですが、もう1つ注目すべきは、ポスト社の社主であるキャサリンの、リーダーとしての成長過程ではないでしょうか。夫から受け継いだ会社で、最初はおどおどした様子で立つ瀬もなかった彼女が、「株式の公開」と「国家機密の公表」という2大局面に瀕し、次第に誰からも押しも押されもしないリーダーとしての器に成長していく姿は、非常に凛々しく映ります。
また、そんなキャサリンの傍にあって、時には対立しながらも、やがてその志を共にしていくベンの勇姿も、また魅力的です。
史実を淡々と描き出すような調子で進むので、興味を惹かれないと思わず眠くなってしまいそうですが、リーアム・ニーソン主演の「ザ・シークレットマン」にも通じるところがある骨太なストーリーですので、是非チェックしてみて下さい。
民主主義と戦争
ジャーナリズムとは何か?国とは何か?戦争は正義か?頭の中でいろんな疑問や思いが駆け巡る、社会主義や共産圏の国は自国民に対し酷い扱いをしていることもある、ましてや報道の自由などあり得ない、民主主義の国でさえ自己の利益、選挙の為に国民を騙していた、ワシントンポスト紙は自国の政府を敵に回してまで国民に真実を伝えた、私利私欲も少なからずあっただろうが素晴らしい決断を下した事に感動した。
今もワシントンポスト紙はこれを貫いているだろうか、経営陣やスタッフが替われば変わって行くのだろう。
メリル・ストリープの演技は本当に素晴らしい、スピルバーグ作品をレディプレイヤーに続けて観たがどんな感じジャンルでも素晴らしい作品を生み出す天才ですね。
社会派ドラマとして良くまとまっているが、少し盛り上がりに欠ける印象...
社会派ドラマとして良くまとまっているが、少し盛り上がりに欠ける印象も。
財務省文書改ざんや防衛省日報問題の有る今の公開がタイムリーでした。
正義とは
正義を貫くことは、綺麗ごとではない。
誰かを傷つけることでもあり、築いてきた生活や関係を壊すことにもなる。その難しさや葛藤を緻密に表現していたと思う。
"報道が従うべきは、政府ではなく国民"
よい言葉。
怒りに任せて出たニクソンの発言からの、次に起こる事件を示唆するラストシーン、秀逸。
ジャーナリストの矜持
日本のマスコミではこうはならないだろうなというのが、ため息と共に出る最初の感想である。勿論アメリカも日本と同じく大多数の人々は権力に屈してささやかな日常を守ろうとしているのは間違いない。しかしアメリカには民衆自身の手で自由と権利を勝ち取ってきた歴史がある。アメリカ人にとってアメリカは自分たちが作り上げた自分たちの国なのである。「天皇を中心とした神の国」(by森喜朗)を有り難く戴いているのとは訳が違うのだ。
だから国民の主権や自由が奪われそうになると敏感に反応する。そして声を挙げる人々が少なからず出現する。抵抗する保守勢力は大変に強力だ。彼らは持てる権力のすべてを稼働させて反体制の芽を叩き潰そうと画策する。そんな強大な権力に民衆が立ち向かう武器はひとつしかない。
メリル・ストリープ演じるワシントン・ポスト紙の社主は、女性であるということだけで知見に乏しく判断力がないと役員たちから軽んじられている。あがり症気味な面もあって上手く意見を表明できずに鬱々とその立場に甘んじているが、会社が迎えた危機がアメリカの自由と人権の危機そのものであることを看破し、社を守るだけに汲々とする役員たちに対して敢然と決定を下す。人々はその勇気に感動しその行動に高揚する。
会社第一の会社の役員たちや保身だけの元政治家、熱血編集者たちと丁々発止に渡り合う中で、彼女は夫の言葉を蘇らせ、本来の自分の考え方を取り戻していく。短い期間で彼女が変わっていく様子を大女優は見事に演じ切る。
民主主義を守っていくのは民衆の意志と勇気なのだという当たり前のことに我々がこれほど感動するのは、今の世の中が当たり前でなくなっていることの証左でもある。日本の民主主義に希望はあるだろうか。
今のタイミングだからなおリアル
日本でもアメリカでもマスコミと政治の関係は難しくなってるのかな?と。
最後の最高裁の判決文は明解。
お互いに誰のためにやってるのか?を忘れなければこんな事態にはならなかったのに。
今の時代だからまた映画になったのか?警鐘的な感じではあるが、政治と報道のそれぞれの基本に顧みるいいタイミングだと思った。
マイナス一点は、なんか展開が早かった。
メリル・ストリープの苦悩は伝わってきたんだけどなー。
なんかさらっと描かれてる感じがした。
日本でこそ,今見るべき
首相と嬉々として会食するマスコミ人や,全体の奉仕者でなく政府与党の奉仕者と成り下がっている国家公務員たちに,ぜひ見てほしい映画です。
社会派サスペンス
メリル・ストリープの衣装チェンジが多く、しかもそのどれも華があって主役を引き立てた。華やかなエンターテイメントとして成立していた。
社主であるメリルストリープがカリスマ性ある女性ではなく、どちらかというと優しい雰囲気のお母さん的存在の女性であったのが自然な感じがする。彼女が決断力を発揮することができるのか一つの物語の筋になっている。
この映画は過去の権力者を実名で痛烈にはっきりと批判する。映画を用いて権力と闘い、そして映画としての芸術性にも手を抜かない。すごい作品だと思う。
もう少し
時代を感じられるかと思っていた。
映画自体は楽しめ、それぞれの立場が明確になっている中で、主人公の女性社主だけがビクビクと自信無さげで、周囲からも頼られていない存在。弱い女性が強くなって社会に進出していく普通の内容かと思いきや、登場する女性たちの夫に対する献身的で圧倒的な存在感、迷いながらも誠実に現実に向き合う姿がとても好感が持てた。
事件を知らない人は、置いてけぼり。
1955年から1975年。ベトナム戦争は約20年かけてようやく収束を迎えた。
この歴史と当時のアメリカの世論を分かってないと、この映画は楽しめない。自分は全然状況が把握できなかった。
女性の尊厳。この映画をみて、一番残る印象がこれとは…。 見る前は報...
女性の尊厳。この映画をみて、一番残る印象がこれとは…。
見る前は報道の自由と公権力の攻防だと思ってました。
実際はそんな一本調子の話なんかじゃなかった。
ジャーナリストと施政者の距離感の変容期、
新聞社の個人保有から株式公開による社会の共有財産化への移行、
国家機密の暴露と報道の自由の境界線、
司法決定に応じない態度の是非。
これら重層的な問題をほぼ説明セリフ無しで肩書抜きのファーストネームでのやり取りで表現しきる。
ものすごく骨太。
そんななか、最初はほとんど画面の端にしか映らなかった女性たちが少しずつ、少しずつ、画面の中央に入り始め、ストーリーの要所にその存在感をみせていく。
鋭利な記事を書く女性記者だけではない。
電話の取り次ぎをする女性も。
政府側の弁護士助手も。
文書整理の修羅場にレモネード屋ごっこみたくサンドイッチを配るトム・ハンクスの妻がもっとも、メリル・ストリープの苦悩をわかっていた、そのことを思うとサンドイッチのくだりもまた、印象が変わる。あえて子供のレモネード屋ごっこと並べて描いておいてからの印象の変換であり、もう構成として巧みとしか言いようがない。
そして誰よりも。本当は夫がやるべき仕事だったのに、女の私なんかがー。この劣等感に囚われたメリル・ストリープが自ら意を決するまでの苦悩と葛藤、そして劣等感克服への流れが素晴らしく。
裁判のあと、演説するでもなく歩く道に彼女の決断を誇らしげに見つめる女性、女性、女性…。
映像とはなんと雄弁なのか。その顔顔顔に泣けて泣けて。
トム・ハンクスは映画のストーリーのほとんどをリードし且つ、メリル・ストリープの繊細な演技を邪魔しないバランスの良い押し出し感でした。
演技合戦があるのかと思いきや、決してぶつけない玄人ならではの相乗効果。
本当に、見応えのある映画でした。
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