タクシー運転手 約束は海を越えてのレビュー・感想・評価
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ソン・ガンホの絶望的な表情が素晴らしい
1980年5月に韓国で多くの死傷者を出した光州事件を舞台に、喜劇的な要素をちりばめながらも、次第に胸に染みるドラマにしてしまう韓国映画のレベルの高さを堪能できる新たな良作の一本。
「義兄弟 SECRET REUNION」のチャン・フン監督が、ソン・ガンホと再びタッグを組んでいる。事件の実態を世界に伝えたドイツ人記者を事件の現場まで送り届けたタクシー運転手をソン・ガンホが演じているのだが、彼のための役と思えるほどのはまり役で、飄々として、ズル賢く、無責任そうでありながら、実は子供思いで正義感に熱い父親を演じさせたら右に出るものはいない。
光州で民主化を求める大規模な学生・民衆デモのシーンは迫真に迫り、市民を暴徒とみなした軍が発砲する様を目の当たりにした時のタクシー運転手、ソン・ガンホの絶望的な表情は、「殺人の追憶」「グエムル 漢江の怪物」「パラサイト 半地下の家族」などで見せた表情に匹敵するほど素晴らしい。
実話をベースにしながらも、手に汗握るカーチェイスシーンなども盛り込み、しっかりとエンタテインメントにまで高める作りはお見事。韓国で1200万人を動員する大ヒットを記録したのも納得の笑って泣けるヒューマンドラマだ。
Indie Thriller of a Lesser Known Asian History Flashpoint
As an Asian Studies major, and having lived in South Korea for some months, I had only a couple people mention the coud d'etat that happened in the 1980's. It's interesting to see this subject covered in a mainstream Korean film here--a civic duty hero's tale--when there's a worldwide trend for films on state affairs to fall in line to nationalistic bravado. Has a few plot holes.
歴史に対して前向きな対応が好感の持てる映画。
今年378本目(合計1,470本目/今月(2024年10月度)29本目)。
※ (前期)今年237本目(合計1,329本目/今月(2024年6月度)37本目)。
シネマートさんの「さよなら上映」でラインナップされていた作品です。特に最終週(閉館1週間前)は、シネマートがもともと得意としていた韓国映画が多めです。
この映画自体は「光州事件」を扱ったもので、韓国映画をある程度見る方であればご存じかなと思います。同じ映画のお話でいうと「ソウルの春」の直後にあたります。このあたり、少しでも韓国史を予習しておくと有利かなと思います。
また、この映画自体も大半が実話であり、作内で登場するドイツ人ジャーナリストが光州事件の実際の写真を多く撮ったことでこの事件の真相がそうそうと国際的に知られ、当時の韓国政府はこれ以降(1980年以降)、真の民主化に入り、1990年以降はこういった事件もほぼ姿を消すようになりました。動かない証拠があり多くの国から批判されたという事情はありますが、この点は他国(後述)とは異なる部分で、韓国は国内で国民が危険にさらされたこうした国内の事件(映画が描くこの事件はもちろん、1990年以降は済州4.3や麗水順天(1948)事件)に対しても調査、補償(ここでは金銭的な補償より、歴史博物館をつくる等、当事者への名誉回復の意味のほうが大きく、当事者も金銭的賠償より「史実を知ってもらうこと」のほうを強く望んでいた)が進んだのも事実で、韓国の歴史を変えたといっても過言ではない事件です(これらのことはエンディングロールでちらっと流れます)。
結局のところ、この映画は光州事件を扱う以上、ストーリーの展開はある程度読めてしまうし、韓国の負の歴史を扱う以上、「映画として見たとき」娯楽性を求めるような立場だとちょっと「つまらない」部分は多々あると思いますが、韓国史に興味があり映画を通じて理解を求めようとするなら、「南山の部長たち」「ソウルの春」など(前者はもうVOD入りかな?後者はまだかな?)と続けて3本見るのもおすすめといったところです(さすがに「ソウルの春」は最近すぎて、シネマートの「さよなら上映」には入りませんでしたが)。
日本から見た場合、若干わかりにくい点があるのでこの時代の韓国史について触れておくとよいかなといったところです。また、アマゾンプライムでは吹き替え・字幕版とも(アマプラ会員なら)見ることができるのを確認しているので、「映画館で見たときここってどうなってたっけ?」も補うことができます。
採点に関しては特段気になる点がないのでフルスコアにしています。
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(減点なし/各国における負の歴史との付き合い方)
韓国では光州事件を扱ったこの作品、あるいは「ソウルの春」ほか、ちょっと前だと(これは日本人(厳密には在日韓国朝鮮の方になりますが)による「スープとイデオロギー」があるなど(後者の作品はその趣旨から韓国国内でも放映された)、韓国国内では自国史を「正しく」理解する動きが今では普通です(まぁ、そう書いておきながら「パミョ」は正直微妙なんですが(私のレビュー参照のこと。ネタバレ含んでいるので要注意…。
日本国内でも、例えば第二次世界大戦における沖縄での戦いや、いわゆる特攻隊に関すること、少し前であれば関東大震災における諸事件等も、資料が残っていないものも集められる範囲で集めて合理的な解釈のもと放映される等、日本も韓国と同じか次ぐほど、自国の歴史にはいわゆる「負の歴史」に対しては前向きではあろうと思います。
さて、この「タクシー運転手~」は少し前の作品であり、今ではDVD(ブルーレイ)や配信もありますが、これらの提供が一切ない国もあります。中国です。この事件が中国でいういわゆる天安門事件事件を想定させるからというのが理由で、同事件そのものについての思想の取締りが厳しいのはご存じの通り、「想定させるから」だけで(中国からみて)隣国であるところの韓国のこの作品にまで視聴に規制がかかっていたりします。
このあたりは究極最後は「国(政府)の歴史との向き合い方」といった、個々どうしようもない部分があり、特に思想良心に関しては幅広く保障する国と建前上保障しながらかなりの制約を課す国(その例が中国)とがあり、この映画一つとっても「それぞれの国の自国史に対するとらえ方」が違う点等、色々考えるところがありますね。
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韓国民主化運動の起源となった悲惨な光州事件を、エンタテイメント化して描いていた
チャン・フン 監督による2017年製作(137分/G)韓国映画。
原題または英題:A Taxi Driver、配給:クロックワークス、劇場公開日:2018年4月21日。
韓国出張経験や韓国人知人もいたのに、1980年起きた光州事件もその実態を世界へ向けて報道したドイツ人記者(ドイツ公共放送連盟東京特派員)ユルゲン・ヒンツペーターの存在も、つい最近まで全く知らなかった。
当時のNHKニュースを見てみると、暴徒化した学生と市民を軍が鎮圧したとの報道で、映像も投石している学生が中心。軍による多数の学生射殺や民主化運動的捉え方も見られず、韓国の政府側新聞報道に類似で、ドイツ人記者による報道との対比で、真実を伝えようとしていない日本のメディア対応にショックを感じた。当初の政府からの発表による民間人死亡者でさえ144人。本映画での軍隊による学生や市民の殺戮描写は、結構リアリティが有る様に思えた。
後の民主化運動の原点にもなったこの歴史的に重要で悲惨であった光州事件を、名優ソン・ガンホを主演に据えたエンタテイメントにして描いており、大いにビックリ。タクシーの市民たちへの協力はあったらしいが、流石にあんなカーチェイスはないだろう。でも少しでも多くの世界の人間に、光州事件を知ってもらうために、エンタテインメント化はとても有効な戦略と思えるし、韓国民主主義の始まりを多くの若い自国民に伝えることの重要性も理解できるところ(実際韓国で、1200万人以上動員の大ヒットとか)。
当初、学生運動に批判的であった主人公のタクシー運転手が現実を知る中で、運動に対する捉え方が変化していく様を、ソン・ガンポがユーモアも含めながら見事に表現していて、流石の演技力と唸らされた。尚、映画内では、当初は大金目当ての運転として描かれていたが、実際の運転手の息子は事実と異なると、抗議してたらしい。
ドイツ人記者ユルゲン・ヒンツペーターを演じたトーマス・クレッチマンも、ジャーナリストとしての静かながら熱い使命感を垣間見せて、素晴らしかった。カッコ良かった。この俳優さんが、「戦場のピアニスト」(02)で主人公ピアニストを助けるドイツ将校を演じてたことを視聴後に知った。ドイツ側でも良い文化人がいたことを体現したあの演技も、素晴らしかったことを思い出した。
監督チャン・フン、製作パク・ウンギョン、製作総指揮ユ・ジョンフン、脚本オム・ユナ、撮影コ・ナクソン、美術チョ・ファソン、 チャン・イジン、衣装チョ・サンギョン チェ・ヨンサン、編集キム・サンボム 、キム・ジェボム、音楽チョ・ヨンウク。
出演
キム・マンソプソン・ガンホ、ユルゲン・ヒンツペーター(ピーター)トーマス・クレッチマン、ファン・テスルユ・ヘジン、ク・ジェシクリュ・ジュンヨル。
乗客、上客、情客。
広州事件
何も知らない平和ボケをした頭で観たので主人公である運転手の追体験ができて良かった。
主人公はソウルのしがないタクシードライバー
男手一つで娘を育てるいわゆる小者。
そんな中、広州まで行って帰れば10万ウォンという大金に目がくらみその客を横取りしてしまう。
その客は韓国語を話せないドイツ人記者。
広州に行った記者が帰ってこない為、その広州の実情をスクープしようとやってきていた。
運転手は知らない。
広州の現状を。
記者もまた同じく、そこまでの惨劇を知らなかった。
世の中に蔓延るのはフェイクニュース。
それに彼らは軽んじて検問を突破してその地獄へと踏み込む。彼らにはそれぞれ利己的な理由もある。
それはただの学生デモなどではなく、民主化を求める市民や学生達の警戒軍との悲惨で大規模な戦争であった。
序盤は多くの住民達の声高き民主化を叫ぶ人々の列。
そこで運転手はまだ元気な笑顔の住人達からおにぎりを渡され「腹が減っては戦はできぬ」的な事を言われる。同じく戦う市民達はお互い助け合いながらも必死で講義する。
立ち上る煙幕、ボコられる丸腰の住人達。
まさか、同じ国でこのような大事件が起こっているなんて夢にも思わなかった。呆然とする運転手。
この事件を外の世界に知らせなければとフィルムを回す記者。
しかし運転手は逃げ出す。
一人娘を残して死ねない。
逃げる彼を罵倒せずソウルのナンバープレートではまずいと親身になった他のドライバーから別のプレートを渡される。
なんでこんなにみんな優しいのだろう…私は泣くよ。
逃げ出した途中の穏やかな街で食事をとる。
そこで出されるおにぎり。
相変わらず流れるフェイクニュース。
娘への靴を購入する。
運転しながら娘のことを考え楽しく歌い出す。
しかし、頭を占めるのは警戒軍のひどい乱暴の数々と罪のない優しい住人達。涙を流す。そして思い切りハンドルをきる。
引き返した広州はさらにひどい惨劇に。
激しい銃撃戦で無抵抗の人々が殺され、白旗をあげても撃たれる。
血まみれの死体、泣き叫ぶ人々が溢れる病院の中、彼らに協力的だった大学生の死体と対面する。
うなだれて気力を失う記者をみつけ、一刻も早くこのニュースを広めてくれ!と叱咤激怒する。
銃撃戦の中、俺たちタクシードライバーが怪我人を運ばないといけない!とその中に突っ込み必死で怪我人を乗せる。それまで傍観していた主人公もそこに加わる。再びフィルムをまわす記者。
うーん。ドライバーの鏡だな〜てか、お国柄なのかしら。「タクシードライバー」という責任感を持つ大勢の人々は活躍する。
記者を乗せたタクシーは空港へと向かう。
一刻も早くこの現状を伝えなければ…
2人の思いは一つになった。
軍隊により厳重にされた検問場。
1人の兵士がトランクに隠されたソウルナンバープレートを見つける…
顔色変えず兵士は「通してよし」と告げる。
もうここで私の涙腺決壊待ったなし状態である。
皆が皆、現状を良しとしてはないのだね。
しかし、軍の車に乱射されながら追跡される主人公。
やってくるのは他の広州のタクシードライバー達。
主人公を空港へ送り届けるために彼らにより繰り広げる激しいカーチェイス。
最後の1台もついに…
皆、仲間の為に、広州の為に命を散らしていく。
空港に無事到着した2人。
決して晴れやかな顔ではない。
地獄を見てきたから。
犠牲者は帰ってはこない。
空港で別れる2人。戦友。
しかし、運転手は名前を教えない。
きっと家族に危険が及ばないためかな?
真実がついに明らかにされる。
収束後も再会しない2人。
きっと彼はこれからもおにぎりは食べられないのだろうなぁと思うと争いというものは生者にとっても碌なもんじゃねぇなぁ。
ポスター詐欺といわれてるこの作品。
主人公の人柄を表すよくできたポスターだとしみじみ思う。
フィルムを隠したクッキー缶。
あのクッキー、私の好物のやつだわ。
韓国はこんな素晴らしい映画が製作できて羨ましい
この映画、上映時にポスター見て気になっていたが、当時はソンガンホも知らず(その何十年前にシュリで見ていたが結びついていなかった)、しばらく韓国映画を見ていなかった。
見ておけばよかった。ホントに。
私の場合は、最初にこの映画のポスターを見てずっと心に残っていたものの映画館で観る機会を逃し後悔していたところ、この映画のヒットの影響だと思うのですがソンガンホ主演の『密偵』(素晴らしいが内容は一応抗日映画なので好みがわかれるかも)がリバイバル上映されたので拝見し、その映画製作と演技の質の高さに打ちひしがれて、改めてこの映画をDVDで観ました。個人的には彼の出演作は大抵好きですが、この映画はダントツに好きです。その後はソンガンホ主演の映画を続けてDVDで見まくって、1年後にパラサイトの受賞って感じでした。この映画とはそういった出会い方でした。
事実を元にした映画だが、演出としてフィクションも入れつつ盛り上げと物語の理解に貢献させ、冒頭の変に軽くてインチキ臭いハウス調ミュージック(あれチョーヨンピルの歌だってことも驚きなんだが)を歌うソンガンホの軽妙なコメディータッチから始まり、シリアスな部分、義理人情噺、家族愛、カーチェイス、ストーリーのギアーの緩急の付け方、商業劇場映画の美味しいところをふんだんに詰め込んで素晴らしい映画です。
ダラけて腑抜けた姿、お気楽な姿、国を一方的に信じて疑わない小市民、信じられない現実が理解できない姿、子供が恋しい姿、怖くて逃げだす姿、全国的には全く伝わっていない異常さが身に染みる瞬間、平凡な生活に戻ってももう戻れないお気楽な時間、見たものを押し殺し平然を装い子供を育てていく覚悟。いろんな多重であり普通のどこにでもいるインチキ臭く汚いおっさんの顔と背中。
ソンガンホという俳優、彼は間違いなく名優です。
この脚本と言い、資本と言い、製作といい、素晴らしい。
対して、この日本にも、もちろん題材はたくさんあるのに、怖がって作れない。当たり障りのないテンプレ・クソ映画ばかり作り過ぎて技術も劣ったのか?非常に羨ましい。
何かあればエセ右翼(あんなのは右翼でも保守でもない)の圧力で上映が中止されたり、裏から政治家がご意見を挟んだり、そうなるものと1ミリでも予測されれば、資本は集まらないは、集まっても本の改変を求められて毒抜きされるは、責任は取らないは、ロクなものではない。制作も上映側も誰も覚悟が無い。
私の子供のころは日本でも戦争映画がたくさんありました。一見肯定的なもの、被害者感覚なものあれば、南洋の基地に居る慰安婦が出てくるものも普通にありました。見ごたえのある大作も多かったです。何を憚っているのか前面に高級軍人を描くものは役所さんが演じるもの数個以外はなかなか見かけない。
もっと日本もたくさん描いてほしい。
そしてこの映画やアメリカ映画みたいに、社会や国家の失敗を見つめるものを作る勇気を持ってほしい(アメリカのカッコよさはココだと思う)。
硫黄島やMINAMATAを他国に作られて悔しいったらない。なぜ日本には自ら作れなかったのか?作れないよな、わかってるヘタレ日本のカッコ悪さ。残念だ。ますますその傾向が強くなっている。映画にかかわらずTVも商売もクレームなんぞ無視すればよいのに。
そして金出せ、口は出すな、当たっても金を出す号令を出した自分の手柄にするな。
口から出まかせのSDGsとかエコとかホザく前に映画・コンテンツ産業に金出せ。
文化発信は戦争の弾込め準備に勝るとも劣らない、勝つためには重要だぜ。いい加減に韓国見たら誰でもわかるだろ?
なお、市民側が軍隊やKCIAなど当局に暴力を振るわれたが、市民側も武器庫を強奪して戒厳軍と戦った事実を知っている人の多くは、どっちもどっちだとか、治安維持的に仕方がないとかいう意見もあると予想できますが、この映画で描かれる市民への暴力が先です。この後に我慢できない市民が武器庫を強奪し武力によって市街から軍を一時的に追い出しました。
光州事件の前と後では生き方が違うという描き方をする韓国映画は結構あるものの、匂わせやセリフの一言で描き、事件を知らないと何となく見逃してしまうかもしれないものも多いです。そういったものは事件を知らないと深みがわかりません。そういったいろんな韓国映画をもっと理解して楽しむという意味でも光州事件は知るべき知識で、この映画は見ていた方が良いでしょう。
この映画で描かれた広場で発砲を始めた日の出来事。実は日本の朝日新聞の記者もこの映画のドイツ人記者と同じように現場で写真を撮っていた事が数年前分かりました。死去後に遺族が遺品を整理した際に、今更当時の生々しい写真が出てきて遺族が驚いたみたいな感じの仕方で、昔の韓国は大変だねみたいな視点で報道は少ししかされませんでした。なぜそこにあるの?っていう視点は全くなく。
もちろん当時の朝日新聞はこのスクープ写真を報道していませんし、写真が出てきても無視しています。大変な中取材を行って報告もせず個人の裁量で出さないという事はありえないので、新聞社が揉み消したのでしょうね。そんな新聞社が左翼でアカで革新派でジャーナリズムなのでしょうか。この事だけでなく未だに旧特高警察である検察特捜部と仲が良く、戦前から官製リークを流して世論を操ることに加担したりする新聞社のどこが左翼なんだか、世間の評価も含め何に操作されてんのか、ちゃんちゃら可笑しいです。
光州事件は日本も全く関係ないのではなく、その隠ぺいに国や新聞社も加担していたのです、欧米メディアとは異なり。世間的に未だにこの事実を無視していますが。日本って国は自国の事も他国の事も、シレっとそういう事する国でもあります。そういったことも忘れないようにしないといけません。
このことを題材に映画にしてもよいのに。
ちなみに韓国映画を色々見てきて、改めてこれを見ると、ああここにあいつ、ここにもいる、いい演技だよねー。こいつこんなちょい役で出ているのかぁとか。思ったりする楽しみも増えます。
ああガンホもいいけど、ユヘジン的な演技のギアーの入り方もいつも味があるねぇとか。
てかオムテグ、いまいち売れないよなぁ。とか。
メッセージとしての映画
本作に限らず、社会派と言われる映画は社会に訴え、残すメッセージとして価値を感じる。脚色されたエンタメとしての側面を持つことで、観やすく分かりやすいものになる。映画の良さは、面白いか面白くないかだけではないと再認識した。
ソンガンホの演技は安定感があって、作品を親しみやすくしてくれる。
本作に関する「ザ・シネマ」の記事も良かった。
軍事政権と衝突する光州へと独記者を送迎したタクシー運転手
歴史に埋もれたひとりの英雄。
タクシー運転手のキム(ソン・ガンホ)と、ドイツ人記者ピーター
(トーマス・クレッチマン)の
《光州取材》に命懸けで検問を越え死線を超えた友情を描いた
実話ベースの映画でした。
ソン・ガンホが妻を亡くして11歳の娘を育てる
優しい父親を演じています。
ラストで思ったことですが、娘を一人にしたくないなら、
光州から一人でサッサと変えるべきですよね。
美談の主と名乗らなかったのもある意味で家族の身の安全を優先しての
事だと思います。
それにしても韓国の歴史的に民主化への布石となった《光州事件》
1980年。
韓国は軍事政権でした。
《光州事件》の背景には後の大統領になる金大中氏の思想と深く関わりが
ありました。
光州事件の直前に軍事政権に刃向かい民主化運動をする金大中氏などが
逮捕される。
金大中氏の生まれ故郷に近い光州では、金氏を支持する人民が多く、
金氏の釈放を求める運動が大きく膨らみ暴動化するのです。
それに対して警察や軍隊が出動して、人民に銃弾を向ける。
公式発表では死者44人とありますが、実際にはその
20倍の犠牲者が出たそうです。
ソウルの個人タクシーが外国人を乗せて検問をくぐるのは、スリルがあり、
とてもハラハラしました。
特に帰り道です。
なんとか検問を通った途端、
「外国人は通すな!!」と軍のジープが何台も追いかけてきます。
そこへなんと応援のタクシー仲間の車が加勢に来るのです。
このカーチェイスは凄かったですね。
ジープに体当たりするタクシー。
横っ腹に突っ込むジープ。
そんなこんなでソウルにやっと到着。
ピーターを早く日本に帰す事。
そして肝心の撮影したフィルムをいかにして持ち込むか?
クッキー缶の下の段に隠すのです。
ピーターの脱出も危機一髪。
世界に《光州事件》の実際が報道されたのです。
ソン・ガンホの親しみやすさと映画のエンタメ性もあり、
とても良い作品でした。
考友情
DVDのパッケージでしょうか、ソン・ガンホさんの満面の笑顔からほんわかした映画なのかなと思いきや、とんでもなかったです(汗;)。1980年にあった光州事件を基にした実話は、想像を絶する激しいものでした。命懸けで自由を、人間の尊厳を守ろうとする若者たちの姿は、最近もニュースになっていた34年前の6月、中国であった天安門事件を想起させるものでした。何度も何度も繰り返される悲劇に、いたたまれない気持ちになりました。対立し、反発していた主人公たちが深い絆で結ばれていくところが見所で、本物の友情について考えさせられました。
トーマス・クレッチマン
トーマス・クレッチマンは「戦場のピアニスト」でも「アーニャはきっと来る」でもこの映画でも不思議といつも良い人役だね!
そしてソンガンホさんは演技が上手い!
結局本名を告げず最後まで会わなかったのは誹謗中傷などを断つ為だろうと思う。
政治的な風刺だけではない
呑気な人情タクシーロードムービー。
かと思いきや、全然違いました。
政治的なアプローチを全開にした作品です。
何も事情の知らないタクシードライバーの目を通して、混沌とした光州の実情を写していく。
どこの国でも通ったでろう軍事政権による弾圧や、民主化運動下での政府の蛮行。そんな時代に芽生えたほのかな友情を描いた作品。
これが中々に巧み。そして作りがいやらしくない。
マンソプの役所もありどこかコミカルで、かつそのギャプでよりシニカルな描れていました。
そしてこの物語が実話であったこ事を最後気付かさられます。
最後に出る本人からのメッセージ、もし目にしたら涙せずにいられないでしょうね。
そう思うと、政治的な風刺だけでなく、とても暖かい作品でもありした。
軍隊とは自国民を守る存在ではない。それは歴史が語っている。
疲れる映画だ。実話に基づく映画たが、実話ではない。どこまで本当なのか分からない。光州事件の被害者は200人と言われるが、この映画では、それてはすまないし、軍部による暴走は性的被害者(17人の性的暴行)まで出している。国防省が正式に謝罪(?)している。この映画は勧善懲悪の戦争活劇になってしまっている。
自国の軍隊とは厄介なもので、こう言った事件は光州事件ばかりではない。
済州島4/3事件や台湾の2/28事件また中国の天安門事件。全部、自国民に向かって、弾圧を企てている。
日本で何もなかったのは、多分戦争に負けたからで、今後そんな事が無いように、シビリアンコントロールをしなければ駄目だ。まぁ、軍隊とはそう云うものだと覺悟すべきだ。軍隊とは自国民を守る存在ではない。それは歴史が語っている。
光州事件は全斗煥の軍事クーデターだと先ずは断って、話を進めなければ駄目だ。この映画は残念ながら評価出来ない。
ヘイ!タクシー‼︎
最初はほのぼのロードムービーかと思って油断してたら、韓国の歴史を知らずに観てみたらまさかの市民と国の争いが同国内で起こってる内戦に巻き込まれるなんて(*_*)
多分、運ちゃんと同じように光州市以外の人たちは自国の事なのに国に情報操作されて他人事にみたいに思ってた人もいたかも知れないなぁ…
ジャーナリスト魂と運転手の人情と市民の希望に向けて戦う姿が心に響きました。。。
完全に和名タイトルと写真に騙されたわ!
でも他のタイトルで争いを醸し出したやつだったら見なかったかもなぁ(/ _ ; )
史実とフィクションの狭間で揺れる
タイトルのとおりで、とても良い映画です。
日本人ですし、過去の事件ですし
真実はわかりませんが、
ひとつ、言えるのは
某 慰安婦問題などから、あまり良い感想を抱いていなかった、かの国の国民感情について
非常に義理堅い国民性があるのだと理解できたのが、いちばんの収穫で
なるほどなぁ
彼らは感情面で、未だ納得出来ていないのだなぁと
そこを上手に外交するのが、政府の仕事だと思いますが
妙な偏見はやめよう、と、ふと、この映画を通じて、感じました。
近しい隣人、似たような文化圏で、普遍的な苦悩を、彼らも抱くのならば
信じてみようと思える作品でありました。
期待を裏切るよさ、
うん、序盤は、検問など越えるとこあたりまではゆるいかんじでほのぼのとさえしてたけど、中盤からは「ホントにこんなことが起きてたのか」という展開。
思ってたのとはまるで違う、すごい展開、ストーリーだった。
当時の、発砲なり暴力なりをやってる軍やら警官らもなんの良心もなくやってたんだろうか。
丸腰の市民をなんでそこまで。。。
終盤には普通のタクシーなのに撃たれたり、カーチェイスまでやったり。
演出なのかホントにあった事実なのか、実話ならそのシーンも事実なのか、それにしてもひどい。
そして、さらには韓国(軍部)で隠そうとしてたことを、同じ韓国で映画化したこの作品が、よく制作され公開されたな、と、それにも驚く。
国も変わろうとすれば変われるんだな。
なんにせよ、いつの世も、どこの地域でも、自由、民主化を求める市民の気持ち、熱意は、理不尽な軍や警察に「弾圧」されるんだな、と。
そういう国は典型的な後進国で、それが世界に広まると結局は自分たちが不利になるのに、そういう基本的なことに気付かない。
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