タクシー運転手 約束は海を越えてのレビュー・感想・評価
全199件中、61~80件目を表示
喜怒哀楽全部乗せ
カーラジオから流れるポップな歌とともにコミカルに始まって、やがて事件への怒り、死の悲しみ、運転手として友を空港に送り届けた達成感、仕事を終えて娘に会えた安堵感、喜怒哀楽全ての感情を揺さぶられます。
これ程の揺さぶりをかけてくる映画はなかなかないと思います。
公開時に2回映画舘で観て、今回久しぶりに自宅で鑑賞し、やはりまた惹き込まれて一気見しました。
以下は初見の時の感想。
コミカルに始まり、後半はシリアスな展開へ。予想以上にハラハラさせられました。
運転手たちが命懸けでタクシーで駆けつけるシーンはかっこよかったなあ!
記者を無事出国させ、幼い娘の待つソウルに戻れるよう祈るような気持ちでした。
自然と涙の溢れる素晴らしい作品でした。
韓国の民主主義
『1987、ある闘いの真実』(2017)も良い作品だったが、この作品も素晴らしかった。
血を流して勝ち取った民主主義は、きっと強いと思う。
この映画で採り上げている光州事件は1980年。たった40年前のことだ。
テレビや新聞のニュースを頭から信じ込み、「こんないい国はない」と言う主人公。私たちは彼のことを笑えるだろうか? 私たちに知らされないところで大変なことが起きているかもしれない。そうでないと誰が断言できるだろうか?
光州から逃げる途中で検問に捕まる場面。絶体絶命だったが何故か見逃される。軍の中にも政府のやり方を好ましく思っていない人間がいたということなのか。
キリングフィールド
まさにキリングフィールドそのもの
集団で武力を持つものが狂いだすととても敵わない
ほんの少し前の話などとは思えない出来事です
今の今まで韓国の大事件を知りませんでした
外人とタクシー運転手の心温まるほんのりとした作品だと思っていたので衝撃が大き過ぎました
誰もいない森の中で木が倒れたら音がするか
あのタクシー運転手はどうなったのか、知りたくてネットで調べました。
実際にはタクシー運転手ではなく、高級ホテルのお抱え運転手で英語を話し、この時の仕事も内容を知った上で受けた仕事だったとのこと。韓国で映画公開時に息子さんが現れ、映画と実際の話の大きな相違点として、特に高額の報酬のために引き受けたというところが残念、と話されたそうですが、映画が実際の話通りであったなら、逆に感動が薄れたと思うのです。やはり最高の見せ場は事なかれ主義だった主人公が巻き込まれながら自分が見たこと、経験したことで事なかれ主義から転身、自分から行動を起こしたところにあると思います。
私も「光州事件」のことは知りませんでした。でも知らないからこそ、光州で何が起きたのか?(最初の方のソウルでの学生たちのデモ抗議運動が伏線となっています)好奇心的なところからラストまで一機に見ました。
おにぎりをくれたお姉さんや歌謡曲祭に出るつもりで大学に入ったという学生、光州のタクシー運転手たちが次々と犠牲になっていくところはゾンビ映画で生き残った人間たちが自己犠牲を伴いながら主人公たちを助けようとしながらやられていくそんな悲壮感と重なりました。その分、学生の遺体があった病院で片方の運動靴が脱げていてそれを履かせる演出が良くわかりませんでした。田んぼのあぜ道に遺体が捨ててあったのですよね。運動靴は片方脱げたのなら病院には無かったはずなのですが。
時が流れて二人が会うことは無かったわけですが、結構皆さん会って欲しかったという意見が多くてびっくり。そんな陳腐なラストはいらない。
ラスト、無事フィルムは世界へ発信されることになるわけですが、これを見ながら思い出したのは少し前日本人ジャーナリストが渡航禁止国へ渡った後、人質となり身代金との交換の材料とされましたこと。その際、日本では自己責任論がネットで起きましたが、本人が無事帰国した後、また同じようなことが起きたとして、渡航禁止国へ行きますか、の問いに「行く」と確か答えていたと記憶しています。
行くなと言われて行かないのであればジャーナリストではない、そこで何があったのかを知らせることがジャーナリストの仕事だ、そんなことを答えていたと記憶しています。
「起きたことが人に認知されなければそのことは起きなかったことと同じ」というタイトルに通じます。
言葉の壁を越えて
「海を越えて」
海を越えるには国境や言葉の壁が立ちはだかる。それを超えて芽生える友情や信頼関係には胸が熱くなる。
信頼関係を作るために言葉は重要だというのを思い知らされる。ドイツ人記者が大事な鞄を預けようとした際、タクシー運転手ではなく言葉で意思疎通のできる学生に渡したところが印象的だった。
信頼関係を作るためにはまず言葉。しかし共通の強い目的があるとその壁は乗り越えられる。
ドイツ人記者にはもちろんタクシー運転手にも事実を知らしめたい、という目的と責任が芽生えたとき彼らの間に言葉の壁はなくなった。
そこで育まれた信頼関係と友情はとても強固なものだということをソンガンホとトーマスクレッチマンの熱演が教えてくれた。
公開時めちゃくちゃ行きたかった作品。面白かった。 公州事件。韓国の...
公開時めちゃくちゃ行きたかった作品。面白かった。
公州事件。韓国の人には特別な思いがあるようです。軍事政権による事実の隠蔽を鵜呑みにしてしまった悔恨でしょうか。政権による反日教育を鵜呑みにしている今もあんまり変わってないような気もするが…(笑)
自国民を銃撃するってひどすぎますよね。その恐ろしい現実を目の当たりにするのが本作のミソ。でもこれ、私には2度目なのでインパクトはやや低め。「1987」の衝撃には勝てなかった。
韓国の映画はレベルが高い。アカデミー作品も早めに見なくては。
脚本が混乱に誘う
とにかく脚本が見事。
主人公の目線でそんなに酷いはずがない信じられない現実に徐々に徐々に入っていく。
この、徐々に徐々に、がほんとに見事。
信じられない信じたくない、のバランス感が素晴らしい。
韓国エンタメの凄さは脚本力という足腰の強さだなーと。
後半の市井の人々のヒーロー感はまぁそれはそれとして。
面白かった!
報道の力
折しも香港やアメリカなどで行われているデモや抗議活動の最中、その意義や方法や視点を考えるタイムリーなタイミングでの視聴となりました。
そして報道の力の影響を改めて認識できる映画でもありました。この映画のように事実を正しく使命と勇気をもって報道することで世の中はより良くなるのだと思います。
そう考えると報道の自由と表現の自由はとても大事なことですね(もちろん責任もともなうけれど)。
ソン・ガンホは名優ですね。
いい映画でした。
ソンガンホの真骨頂
1980年の韓国。軍事政権下であり、大統領暗殺後の不安定な情勢で起きた光州事件が、今の韓国の繁栄の礎となった出来事。国としては弾圧し隠しておきたい真実は、他国の記者に依って暴かれたというのは、やはりラストに出て来る表情を受けて当然である。
しかし、それは記者1人の力だけでは叶わなかった。
そこに彼「サボク」が居なければ出来なかった。
その「サボク」ソンガンホは、「パラサイト」より本領発揮してるのではないでしょうか。
初めは生活にいっぱいいっぱいの父子家庭が故に、どう稼ぐがしか執着がなく、何も考えず向かった光州で目にした光景に、「韓国ほど住みやすい所ないぞ」と言った自分を心の中でぶん殴った事だろう。
「オレは何してんだ」と呟きUターン。名場面。
このノンポリでガメツイオッサンから、ヒーローまで熟すソンガンホ、落差のある名演、これが観たかった彼だ。
そしてカーチェイスでのタクシー軍団とか、最後の空港までハラハラさせる展開。
これは名作です。
近大さんのレビューで、「サボク」は事件後4年で亡くなったと見て、残された娘が気がかり。
英雄譚として素晴らしいが、同時に国家としての恐ろしさも感じる。日本では作れない作品。でも今日本人は観るべき。
感動のエンタメ作品と劇場の心意気にどちらも心が震えました♪
4月の初旬からコロナによる緊急事態宣言が出て、全国の映画館は軒並み休館に追い込まれ、映画館で映画を観る事が出来ない日々が続きました。
4月は休館前にギリギリ1本観賞しましたが、5月はゼロ。
今年は映画館での観賞100本を目標にしていたので目標達成はかなり難しくなりましたが、まさかこんな事になろうとは誰も思っていなかった訳で、もっと映画に携わっている方々は切実な思いをされていたと思います。
とりあえず6月に入って、都内もステップ2から映画館が順次再開され、久し振りの映画館での映画観賞を楽しみにしていた中で何を観ようかいろいろ調べていましたが、とりあえず新作の公開はいろいろと上映のタイミングを見計らっている感じで新作上映が少ない中で過去の名作上映を行っている映画館が多いので、実はまだ観たことの無かったこの作品がシネマート新宿で限定公開されると知り、足を運んだ訳ですが、なんと!無料上映をやっているとの事でタダで観賞する事が出来ました。
映画館が再開された記念と今までお待たせしたお詫び的な事も含めての限定の無料上映との事だそうですが、この約2ヶ月は誰も辛かったけど、映画館関係の方々はいつ閉館になるかどうかのギリギリの瀬戸際だったと思うだけに、頭が下がると言うか、もう申し訳ない思いで一杯です。
どうやってお返ししたら良いか分かりませんが、目一杯劇場に足を運んで映画を観賞する事が映画館へのせめてもの恩返しなら、目一杯劇場に足を運んで映画を観まくりたいと思います。
改めて、有難うございます。シネマート新宿さま♪
さて、この「タクシー運転手 約束は海を越えて」は前から観たかった作品で何故かリアルタイムでの公開時に琴線に引っ掛からなかったのが不思議な感じで作品の感想も軒並み高評価なだけに期待には上がっていたんですが、どうしても映画館での観賞をしたかっただけにまさかのこのタイミングで観れるのはもの凄く嬉しくてラッキーで幸せ♪
とにかくポスターのソン・ガンホの笑顔にやられますよね。
で、感想はと言うと、素晴らしい作品です。
とても重い事件を緩急硬軟織り混ぜながら魅せてくれます。
ヒューマンドラマであり、異文化交流のロードムービーで80年代のソウルや光州の風景が何処か懐かしい感じでノスタルジックにも感じさせてくれる。
マンソプのタクシーも「いすゞクーペ」みたいなオールドタイプな感じも良い。
※実際には「キア・ブリザ」と言う車種らしく、「マツダ・ファミリア」のノックダウン生産モデルとの事だそうです。
BGMも心地好くて、オープニングから"これは良い映画が始まる"と言うワクワクする気持ちにさせてくれます。
この辺りは「グリーンブック」に似てる感じですね。
前半はソン・ガンホ演じるマンソプのC調的な弛い感じで進んでいきますが、光州に入って辺りからの中盤からは軍と民衆デモとの争いからエンジンが掛かり、後半は畳み掛ける様に展開していく。
もう軍の鎮圧がこれでもかと言わんばかりに武力で制圧していく様が圧倒的な暴力の恐ろしさを見せつけてくる。
韓国では大きな事件となる光州事件もいろんな政治的な動きから現在に至るまで解明には至ってないとの事ですが、現在の日本では考えられないくらいの悲惨さに眼を背けたくなります。
現在アメリカで発生している警察の黒人男性への死亡事件に伴う抗議デモの事などを思うと、決して他人事としても考えなれない気持ちになりますし、何処か平和ボケをしているかと思うと、現場で軍隊の行為を目にする迄のマンソプの気持ちは我々の代弁でもあるかと思います。
そう言った悲惨なシーンと対比するかの様に光州の同じタクシー仲間のファンの家でのつかの間の交流に心がほっこりし、大学生のジェシクの身体を張った行動に胸が痛くなります。
終盤からは畳み掛ける様にこれでもかと怒涛の逃亡劇を繰り広げますが空港のピーターの国外脱出もハラハラしっぱなし。
ピーターが日本行きの便を早めた事で上手く脱出出来ましたが、もし出来てなかったとしたら…考えるだけで怖いですね。
そこがちょっとあっさりと流されてるのは勿体ないかな。
史実を元に構成された物語との事で多少の盛り上がりを踏まえた演出的な物があるにしても、1級のエンターテイメント作品として成立しています。
素晴らしいのはマンソプ役のソン・ガンホとピーター役のトーマス・クレッチマン。
ソン・ガンホの緩急な演技で必要以上に固苦しくならず、それでいて胸にキリキリと迫ります。
1人の娘の父親であり、1人の人間としての葛藤と勇気がグッと来ます。
トーマス・クレッチマン演じるピーターも良いんですよね。
ラスト辺りからのマンソプとの友情には胸熱になります。
ラストで互いに歳を取った2人。
偽名を使っての連絡先からマンソプと連絡が取れないが、マンソプとの再会を熱望するピーター。
タクシー運転手としてピーターの行為に感謝しつつもピーターと会わなくても心が通じている事に感謝するマンソプ。
個人的には2人の出会いを期待してたりしてましたが、このラストの方が切なくて、夜のソウルの街をマンソプのタクシーが俯瞰で走っていく様を撮す映像に涙がグッと来ます。
良い終わり方ですよね。
日本では報道の倫理について度々討論される事が多く、行き過ぎた報道にうんざりし、その都度かざされる報道と表現の自由と言う言葉がもの凄く安っぽく感じる事があります。
もちろん大事な物で大事な事と認識してますが、本来の報道の在り方が見えなくなると言うか、見えない感じなんですよね。
ピーターの勇気ある行動で明るみになった事件ですが、それを支えたマンソプ達の尊い犠牲と勇気も忘れてはいけないし、そこに心打たれます。
韓国と言う国と日本の関わり方は文化の違い等もあり、いろんな部分で難しい所がありますが、それでも韓国映画はどれも非常にレベルの高い作品が多いですよね。
予告編を観ていても"うわっ!面白そう♪"と思う作品がてんこ盛りです。
とにかく、待望の作品を映画館で観れた事に大満足です。
ここ数年で約2ヶ月近く映画館で映画観賞をしないのは結構マレで改めて思ったのは自分にとって映画館での映画観賞はただ映画を観るだけでなく、映画を観る前後と映画館で映画を観る行為自体が映画を体感すると言う事なんですよね。
体感する訳ですから、映画観賞ならぬ「映画感賞」と言う感じですかね。
自宅でDVDやネットで映画を観るのとは一味も二味も違った映画を映画館で観ると言う特別な行為。
これからも映画館で映画を観れる事がとても幸せで平和の恩恵と言う事を忘れずにいきたいと思います。
今更ながらではありますが、文句無しの作品です。
時折、いろんな劇場でアンコール上映をしているみたいなので、タイミングが合えば是非映画館で♪
埋もれてはいけない歴史を描いた、娯楽性も備えた作品
光州で民主化を求める市民に軍が過激な暴行を行い、多数が死亡した1980年5月の「光州事件」。
この事件を世界に伝える為、現場を取材したドイツ人記者とお金目当てで彼を乗せたタクシー運転手の話。
主人公マンソプは目の前の生活でいっぱいで、政治に関心がなく、デモする学生に何のために学校に行ってるのかぼやく。しかし、光州の現状を知るにつれ、考えを改めていく。
危険を冒してでも行動した2人が居なければどうなっていたか、考えただけでも恐ろしい。
今作はドラマだけでなく娯楽性のある映画だった。
特に、現地のタクシー運転手ファンらが2人を逃す為に足止めするシーンなんかはベタなんだけど感動した🥺
現在も海外でデモが起こっている。私はそれを何となくで見ている。自分自身が最初の頃のマンソプと同じように、関心がないのである。これではダメなんだなと思った。しかし、関心を持ったとしても、今作のように新聞、テレビは偏向した内容を伝えているのではないか、いったい何が正しいのか、疑心暗鬼に軽くなってしまいそう。
タクシー運転手の視点
コミカルな前半とシリアスな後半の絶妙な振り幅がすごい。韓国の光州事件を題材にしてるが、ソウルのタクシー運転手ですら知らない事件が、徐々に迫りくる描写が秀逸。
タクシー運転手の視点で描かれているので、何が起きてるかを徐々に知っていくという点において、見ている側も感情移入しやすい。
今の日本もそうだが、政府の嘘をきちんと報道しないマスコミはマスコミとして全く機能していない。そんな日本の問題すらも感じさせる良作であった。最近の韓国映画は日本のリベラリストが作る薄い作品より、よっぽど魂がこもってて熱く感動する。
現在の香港の苦しみに重なって見えた。
国民を守るべき軍隊が、容赦無く若い学生達や
一般市民に銃口を向け、次々と血に染まり倒れていく。
統制下に置かれる不安と恐怖。香港の若者達の
ニュース映像と重なって見えた。
ソン・ガンホによるおかしみのある演技や、
互いに助け合う韓国の人々の優しい姿に救われた。
色々な事を感じ、考えさせられる作品。
NHK BSを鑑賞
完成度が高すぎて勝負にならない
歴史は繰り返す
としたら
今アメリカで黒人に対する警察官の対応問題で
起きている暴動は
まさにこれに似ていると思う
このクオリティを見せつけられたら
手も足も出ない
時代背景すらこんなに器用に使われては何にも言えなくなる
料理人がどんな食材でも
靴を履かせるシーンで写真を撮れとドイツ人に言ったシーンは自分の中でもマスターピースになる
これは今映画館で再映されたとしたら社会現象にすらなり得る
今リアルで観ていられる
銃弾が恐いのではない
銃弾を撃つ悪魔が恐い
この銃殺されていくシーンは
負の歴史的財産にすらなる
一発の弾が恐いのではない
人の価値に一発も撃つから恐いのだ
救いがあるコメディリリーフ
シリアスなテーマなのに音痴な学生が歌謡曲を一生懸命歌ったり、料金のやり取りで揉めたり、なんか時々コミカルなシーンもあって、それがいい。この幅の広さが韓国映画の良さだと思う。
感動は海を越えて 表情はカメラを越えて
Amazonで観賞。
劇場で観たかったけど、家でよかったかもしれない。
序盤から早くも泣けて仕方ない。
中盤からは嗚咽が出るほどどうしようもない涙。
韓国の愛すべきところが詰まりすぎている。
(もちろん軍部の話ではない)
タクシー運転手キム・サボクさんがついに探し当てられなかった以上
細かい演出はあるのだろうが、
始終、庶民の目線をもって描かれる実話を元にしたストーリーは、
映画の初めから終わりまで、心を惹きつけてやまない。
そしてソン・ガンホさんの表情!
ガンホの顔が映るたびに、その目に写ってるであろう光景や人々の顔、心の動きが伝わる。
撮っている時には、目の前にはカメラとスタッフしかいないであろうに、
こんな雄弁な表情をできる人は世界広しと言えど二人といる気がしない。
個性で演じきるのとも違う、
なんとも温かみのある、血の通った表情。
残念ながら韓国語がわからないので表情でしか判断できないが、
奇しくも「片言の英語まじり」で進む物語、
普段の韓国語オンリーの映画を観ている時よりさらに、自然とガンホの表情に目がいく。
(こうなれば映画側の勝利)
もう、ガンホさん無くしてこの映画は語れない。
恥ずかしながら韓国の歴史をぜんぜん知らない。
今回、「ソン・ガンホさんがみたいから観る」という動機で観れてよかった。
思想が、政治がどうのこうのというシチメンドクサイ映画でも、
「詳しくなければ見れない」映画ではない。
だから軽い気持ちで観れて、知れて、よかった。
ピーター記者やキム・サボクさん、グワンジュの人たちの勇気ある行動、
また、この映画が作られたことに感謝します。
主人公となった実在のタクシー運転手キム・サボクさん。
この映画をご覧だったらいいなぁ──
40年前の韓国を我々は笑えない。
1980年、韓国南西部の光州市で起こった光州事件。学生や市民のデモ隊と、デモの鎮圧に向かった韓国軍部隊が衝突して150人以上が亡くなったという。
映画で描かれるのは軍による市民、学生への一方的な暴力である。
警棒、銃、催涙弾。軍と丸腰の市民が向き合えばどちらが勝つかは言うまでもない。現場の兵隊たちは自らの正義を疑わず、一人の市民に複数の兵隊が暴行を加える。戦いではなく虐待である。
しかし、兵隊たちが直接の加害者であったとしても、真の加害者は、正確な情報を公表しない軍事政府と、政府の発表を鵜呑みにして垂れ流すマスコミであろう。
国民に正直な政府と正確な報道をするマスコミが、健全な民主主義には必須である。40年前の韓国を我々は笑えない。
全199件中、61~80件目を表示