ザ・シークレットマンのレビュー・感想・評価
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リーアム・ニーソンの重厚な演技を久しぶりに見た気分
「96時間」で“中年アクション映画”の潮流を作って以来、その第2、第3作を含め似たような活劇に出続けているリーアム・ニーソン。でも思い起こすと、「シンドラーのリスト」の主演など、演技派として高く評価されていた俳優だ。もう65歳だし、そろそろ肉体酷使系は卒業でいいのでは。そして本作で、久しぶりにアクション抜きでニーソンの重厚な演技を堪能できた。
役作りなのか、病的なまでに絞った痩躯に、深く刻まれた顔の皺、鋭い眼光。強靭な意志と信念を感じさせる表情と台詞。サスペンス演出によりダークな緊張感が持続するなか、告発者に扮したニーソンの存在感がいぶし銀のように輝きを放つ。
ジャーナリスト出身で、「パークランド」「コンカッション」と実話を撮り続けているピーター・ランデズマン監督。その演出には、史実に含まれる劇的な要素を丁寧に抽出し、物語を通じて的確に観客に伝えようとする姿勢が感じられる。
今作もアメリカのすごい史実
これが事実というのだからすごい、そんな作品でした
内部告発ってとても勇気のいる事です
日本では企業や警察の内部告発、今は兵庫県知事のニュースが大きく取り沙汰されてるけど、大統領への内部告発って規模が全然違うような
これはかなりの勇気、というか愛国心とか永年勤めてきたFBIへの忠誠心とか正義感?
告発者のFBI副長官のマーク・フェルトはそれらの全てを持っている人に見えました
ウォーターゲート事件は聞いた事がある程度でしたが、丁寧にストーリーが進むので置いていかれずわかりやすかったです
こんな事件が闇に葬られず明るみに出てスッキリしました
日本だとこんなふうにならないような
今作では銃撃戦の戦うおじさんではなくて政治的に戦うおじさんがリーアム・ニーソンにピッタリ
でもオシャレなネクタイに3ピーススーツをビシっと着こなしているジョシュ・ルーカスにときめいてしまいました
ウォーターゲート事件を元にした名作
この作品はこの作品だけでも十分に名作ではありますが、
スピルバーグの「ペンタゴン・ペーパーズ」を見てその後に「大統領の陰謀」を見て最後にこの作品を見ると3倍ぐらい面白く感じます。
ペンタゴン・ペーパーズのラストは大統領の陰謀の最初に完全に繋がるように作られており、本作のザ・シークレットマンはその裏側が描かれています。
演技力で見る、リーアム・ニーソンの魅力
1970年代、世界中を震撼させた“ウォーターゲート事件”を映画化。
主役は長年FBIを勤めてきた副長官フェルト。
彼は如何にして大統領を辞任へと追い込んだのか。
史上最強の密告者と呼ばれた男の緊迫感溢れる実話。
自らの危険を冒してまでホワイトハウスの闇に迫るのはFBIとしての務めなのか、自身の正義を貫く為なのか。
今まで築き上げてきたものと、逆にこの立場の自分にしかできないという考えの葛藤。
アクションではない、シリアスなリーアム・ニーソンの光る演技が見られる作品でした👍
何もかもつながっている
FBIはCIAからもホワイトハウスからもどんな組織からも独立している、ときっぱり言えるフェルトはかっこいい。でも最後の裁判の箇所は、自分の頭が悪くてよくわからなかった。一応、少しだけ予習したんですが、フェルトは有罪になったけれどフェルトのおかげでマスコミが真実を公表してニクソン弾劾につながったんですよね?一方で、映画にはなかったけれど、ニクソンも恩赦を得たことでニクソン自身、自分の有罪を認めたことになるんですよね?フェルトは独立組織であるFBIの人間として、真実を明らかにする為には内部告発者になるしかないと腹をくくった、いう理解でいいのでしょうか。「ペンタゴン・ペーパーズ」も見ましたが、このリーアム映画の方が強烈でした。
大量の情報を緻密に知り尽くした人物の告発によりトップの嘘を暴く、こういうことは日本ではできないのか?忖度まみれだから「~からの命令だった」という文言すら不可能なのか?公聴会が機能してないことが問題なのか?
アクション無しでもリーアムは素敵だった。あの鼻なのでサングラスもどんなメガネも似合う。クロスのボールペン、地下駐車場、車内の会話、ドアを閉める、閉める、「手帳を」。小道具も場所もセリフもかっこよかった。娘が家出失踪していてフェルトが心配して居場所を探しまわる箇所では「ロクヨン」を思いだした。
あまり見たい題材ではなかったが、 リーアム・ニーソンとダイアン・レインが出演しているので観る気になった。 ウォーターゲート事件の詳細がよく判って面白かった。
動画配信で映画「ザ・シークレットマン」を見た。
劇場公開日 2018年2月24日
2017年製作/103分/G/アメリカ
原題:Mark Felt: The Man Who Brought Down the White House
配給:クロックワークス
リーアム・ニーソン65才
ダイアン・レイン52才
ウォーターゲート事件の捜査の指揮にあたったFBI副長官マーク・フェルト(リーアム・ニーソン)は、進展しない捜査の裏にホワイトハウスが捜査妨害があることを知り、事件自体がリチャード・ニクソン大統領の陰謀によるものであることを理解した。
あまり見たい題材ではなかったが、
リーアム・ニーソンとダイアン・レインが出演しているので観る気になった。
ウォーターゲート事件の詳細がよく判って面白かった。
満足度は5点満点で4点☆☆☆☆です。
フーヴァーが生存していたらウォーターゲート事件は無かったか…
皆さんの投稿から“ディープ・スロート”を
主役にした作品があると知り、
「大統領の陰謀」の記憶が醒めやらぬ内にと
思い、ビデオレンタルして初鑑賞。
この事件を一元的に見てはいけない、
さもワシントン・ポスト紙の2記者の
活躍だけで事件の真相が明らかになったかの
ような単純な構図ではない、
多元的に情報に接することが大切である
ことを教えてくれる作品だ。
ウォーターゲート事件については、
これまで「大統領…」での知識位しか
なかったが、
「大統領…」がほぼワシントン・ポスト側の
動きに徹しているのに対し、
この作品はFBI側のみならず
ホワイトハウス側についても描いており、
両作品がお互いを補完し合って
ウォーターゲート事件への理解が
少し進んだような気がする。
改めて認識したのは、
フーヴァー長官の後釜に入ったのが、
この盗聴計画の予防線的目論見のため
だったのかは分からないが、
ニクソンの息の掛かった人物だったこと。
FBI長官になれなかったことに対する反動
だったのか、或いは
組織への忠誠心と正義心に
基づく行為だったのか、
FBI副長官の動機は明確ではないが、
彼がディープ・スロートだったこと。
副長官がリークした報道機関は
ワシントン・ポスト紙だけでは
なかったこと、等々。
ただ、気になったのは
FBIの暗黒面を引き受けたビル・サリバン
という人物の登場だが、
副長官の不正義面を打ち消すための役割
だとすると、映画としての作為性を
感じるのだが事実はどうだったのだろうか。
そもそもが副長官の人間性が解らないのは、
彼が長く仕えたフーヴァー長官は、
歴代大統領の弱みを握って
米国を牛耳ったという悪名高き人物だから、
長官にその情報を提供する片棒を
担いでいたはずの副長官に
どれ程の心の葛藤があったのか、
その正当性を信じて良いのかが悩ましい。
副長官が盗聴を恐れて
実務的室中を調べるシーンが出てくるが、
それこそ彼がフーヴァーのために行った行為
だったろうから皮肉にも感じた。
もしフーヴァーが健在だったら、
ニクソンもおいそれとは
ウォーターゲート事件のような行為に
及ぶことは出来なかったのではないかと
想像すると、
歴史の持つ綾というものは面白い。
【正義とはやはり人が決めるもの】
・2017年公開のアメリカの実話に基づく政治伝記映画。
・1974年にアメリカのニクソン大統領が辞任するに至るまでに発生した盗聴や証拠隠滅などの一連の政治スキャンダル「ウォーターゲート事件」を描いた作品。
・当時、FBI副長官だったマーク・フェルトを中心に物語は描かれます。フーヴァー長官の他界後、長官代理に任命されたグレイはニクソン大統領(≒政権)の息のかかった人とフェルトは認識。そんな中、ウォーターゲートビルに盗聴器が仕掛けられ、犯人は元FBIと元CIA関係者。彼らがニクソン大統領の再選委員会の関係者であることを突き止めるも、これ以上の捜査はグレイ(≒政権)の許可が必要と指示がでる。フーヴァー長官が亡き後、これまで保ってきた最も重要なFBIの独立性が失われてしまうことを恐れたフェルトはあらゆる手を使って(自身がディープスロート※になってでも)真相を突き止め、公にしようと翻弄する という大枠ストーリー。
※ディープスロートとは、ウォーターゲート事件について内部情報を記者に漏らした者のこと
・この映画はアクションなどありません。淡々と物語が流れていきます。それでも惹きつけられて、最後までどうなるのか気になって観てしまう映画でした。
[お薦めのポイント]
1.リーアム・ニーソンさんが彼に見えない
∟幾多のアクション映画に出演する彼とは全く違う表情を見せている。一気に老けたが渋さがありました。
2.知らなかった史実(ウォーターゲート事件)に興味を持たせてくれる面白さ
∟全然、知りもしなかった過去の一大事件を知れることがそもそも面白いです。今ではあり得ない、考えもつかないことが、過去には沢山起きていたのですね。それ自体が衝撃で調べたくなる魅力がありますね。
∟実際、少しだけウォーターゲート事件について調べましたが、結局、これが真実の史実なのか否かも曖昧に感じました。 理由としては、晩年には認知症となり、それから弁護士と娘さんが説得して、自身がディープ・スロートであったことを公表したらしいのですが、この記事だけみると「本当?」と思ってしまう隙はありますよね。他の誰かがいたのでは?とか。 ただ、この映画ではそんなことは関係ありません!笑 この物語を楽しむための筋書きはきちっとしていますし、観ていて「これが真実なのか!」と思えますし、映画としては非常に面白く感じます。 そもそも、それを調べようとさせてくれる、興味を持たせてくれる題材であること自体が素敵です。
3.正義とはやはり人が決めるもの
∟これまで信じて尽くしてきた組織FBIが「政権に支配され腐敗していくかもしれない」という危機感から、ある意味、ご法度なことまでやってしまうフェルトさん。これが「正しいのか間違っているのか」というところでこちらも葛藤してしまいます。 しかし、彼を取り巻く人間模様を見ていると、その疑念が払拭されます。仮に彼の「正義感」が間違っていたとしても、それを信じてサポートする周囲の人間がいる。これこそ、彼がこれまで培ってきた信頼関係と彼自身が認められた人間性(人のよさ)。 故に、物語の行く末としては観ていて納得のいくものとなりました。(もちろん、冷静に考えれば、それしていいの?という意見ももちろんあるかと思います笑) この「正義とは?」という哲学を「独立性を保つ重要性」という物語を軸に、魅せられた気がしました。
・総じて、アクションなど全くないドラマ映画でしたが、学ぶものがしっかりと込められた映画で、一度観れてよかったと思いました。ありがとうございました。
#映画 #ウォーターゲート事件 #マークフェルト #伝記 #政治 #ドラマ #アメリカ映画 #ピーター・ランデズマン監督 #リドリー・スコット製作 #リーアム・ニーソン #FBI
#全体3.4 #物語3.4 #演出3.4 #演技3.4 #配役3.5 #映像3.4 #音楽3.4
ひたすら暗い部屋や道路での会話が続く
盛り上がるシーンなんて皆無のひたすら暗い手抜き映画。
配給はソニーピクチャーズクラシックとなっています。ソニー絡みの映画はたいていの場合、くっだらない下ネタ、下品なセリフ、汚い排泄物等のオンバレードなのですが、この作品ではそういうのはありませんでした。この点は良いことなのですが、ただただひたすら暗い部屋、道路、車の中でシリアスな顔で延々と会話が続きます。他にあるとしたら、ヘリコプターから撮影した風景だけです。それ以外のほとんどはいくつかの部屋内で数人のおっさんが会話や電話をしてるだけです。ほとんどが5人以内が集まって会話してるだけです。
要するに会話だらけで100分程度の作品のほとんどを埋めて、制作費の削減を図っている手抜き作品で、ソニー系映画にありがちな作品となっています。
とにかく面倒なこと、金のかかることはせずに、100分以上の映画を1本作りある程度の収益を得るということだけを考えて作っている作品です。最近はソニーの技術でどんな国のどんな場所でも合成した風景と人物を組み合わせて作品を作れるようになってるようなので、ますますカスみたいな作品が出来上がることでしょう。
見どころなんて一つもないです。会話だけなら文章だけ見たらいいだけですね。一つだけいい点は、主役の声優が菅生隆之という聞き取りやすい一流声優だったことです。
アクションはありません
自分の正義を貫くのか、それとも愛着ある組織を守るのか。
ウォーターゲート事件についてはよく知らなかったけど、
「やりたい事」と「すべき事」が相反する葛藤を描いていたかなと思う。
しかし、時の大統領がこんな事件にかかわっているとは…
時代ってことなんですかねえ。
伏魔殿
フーバー長官の目の上のタンコブっぶりは相当だったんだなぁ。
人の秘密や弱みを握るって相当な力を持つんですね。気をつけよう…
そんな政府にも干渉されない独立捜査組織の権限は所属する人間の論理や理念で、正義にも悪にも(何が正しいのかは人それぞれですが…)なり得る。重いなぁ。
そして組織や自らの倫理を通す為に、裏切りや違法を犯す。
この映画を観た限りでは、自分には主人公は正義の人に思えました。
ただニクソンはどうだったか知りませんが、もし国や国民にベストな指導者がいたとして、その違法を暴き、それにより国益が損なわれる。
人々の生命を脅かす犯罪を違法な手段で阻止する。
何が正しいのか…。
短めな時間の作品でも見応えありました!
ちなみにファーストインプレッションは、リーアムニーソンの老けメイク上手!
そして終盤になって、この人もしかしてダイアンレイン!?って気付いて、時の流れを感じた作品でした…
時にはルールを破ることが必要なこともある
ウォーター・ゲート事件で新聞社に情報提供していた、ディープ・スロートことマーク・フェルト氏を主人公にした作品。
FBIの副長官だったフェルト氏だが、フーバー長官の死後に、ニクソン政権でFBIを骨抜きにするような方針を立て続けに実行され、FBIの独立性を担保するためにフェルト氏は必死に抵抗する。
その顛末の物語。
この作品は現在上映されている「ペンタゴン・ペーパーズ」とセットで観た方が良い。
違う立場(視点)で観た同じ事件のお話なので。
自分も明日「ペンタゴン・ペーパーズ」観に行く予定。
フェルト氏の行動は、ある意味FBIという組織を守るためのもの。
要するに、自分が属する官僚組織を守るための行動、と言えなくはない。しかし、アメリカ社会の治安を維持するためにFBIの独立性は重要。個人的な欲のための行動ではなく、あくまでアメリカ社会を守るという公共的な目的のため。
そのためには、FBIのルールも破ることもある。
50年近く前の話だが、当時のアメリカには、ジャーナリスト側も含めて、そういう意識がちゃんと存在していたんだな、と感じる。
おそらく今はかなり薄くなっているだろうが。。
一方で、我が日本は・・?
財務省事務次官のセクハラ問題だけじゃなく、最近の不祥事だらけの状況だと、比較しようとすら思わないな。。。情けない。
現在のトランプ政権はガタガタではあるけれど、アメリカ国民の中には、正義を貫徹しようとする意志がある。
腐ってもアメリカはアメリカなのだ。
それが羨ましい。
観終わったあとにそう感じました。
政府が、刑事組織、検察組織に介入しようとしている、ということは。
ウォータゲート事件の情報提供者であるディープスロートことFBI副長官に焦点をあてた物語。
ウォータゲート事件を扱ったサスペンスではなく、FBI副長官のみに焦点をあてた人間ドラマです。ですからウォーターゲート事件の詳細を鑑賞しようとした私のような人物には、物足りなさを感じてしまいました。
肝心の人間ドラマについてもそれ程の深さは感じません。元々主人公は無表情の仕事人間。ウォーターゲート事件に関する圧力や、理想のFBI、ホワイトハウスとの軋轢に苦しむ様を描こうとしていたのかもしれませんが、肝心の事件自体を描いていないので、ピンと来ません。アメリカ国民で事件の詳細を知っている方なら、映画で描いていない部分を知識で補完できるのかもしれませんが、日本人の私にはその知識がありません。
結果として、非常にモヤモヤ感が残った残念な作品でした。
映画とは関係がない話ですが、日米で検察関係の問題があがっています。日本では安部首相懇意の検事を強引に検事総長にしようとしている件。アメリカではトランプが検察の求刑に介入した件。韓国でも法相問題がありました。
権力を持つものを正しく監視する為にも、司法検察の独自性は保たれなければなりません。主人公のような強い信念を持った人物が大切だと改めて感じた作品でした。
背景をある程度理解できているかで面白さは変化する
実話を扱った作品で全く知らなくても、あるいは知らない方が楽しめる作品もありますが、こちらは知らないとあまり楽しめないとおもいます。
ペンタゴンペーパーズを鑑賞してるのとウォーターゲート事件もウィキで見たことあるのである程度の理解は可能だった。
しかしながらマークのフーバー長官への思いや、役職へのの想いは背景を知らないと?となってしまう。
リーアム・ニーソンの演技も寡黙であり判断力も決断力も優れている、腐敗していく政府への葛藤等が非常に上手く描かれていた。
しかしながら史実に忠実なので大きな流れもゆっくりと描かれており、若干テンポの悪さが見られた。
絶対的な権力に、しかも相当の立場の人間がリークするのは想像を絶する勇気と決断が必要であったのに違いない。
しかし先日鑑賞したリチャード・ジュエルがこの事件の数十年後にFBIによって犯人に仕立てあげられるという何とも言えない歴史が続いていくのは、複雑な心境だ。
だからアメリカ映画好きなんだよなってなった
FBI史上最大のピンチを描く
政治系とか、歴史的事件とか、FBIとか、CIAとか
事実かは分からないけど事実っぽく見せてくれる
楽しめるアメリカ映画です。
こんな感じのリーアム・ニーソンはイメージに無かった。
すごく良い演技だったし、のめり込んでしまい
あっという間に終わる、ちょうどいい尺。
何となく聞いたことのあった
ウォーターゲート事件とディープスロートってワードが
頭の中でガッツリ繋がって気持ち良かった!
こんな映画大好きだわ。
別の視点から描いたウォーターゲート事件
ウォーターゲート事件を扱った映画は「大統領の陰謀(1976)」が有名だが謎の情報提供者だったFBI副長官マーク・フェルト側から描いた映画である。後にワシントンポスト側にもホワイトハウスへの内通者が居てマーク・フェルトの名は伝わっていたことはボブ・ウッドワード記者も認めている。それでも捜査を阻めなかったわけが分かるFBI内幕物語である。いよいよ捜査もクライマックスかと思わせていきなりニクソン辞任の実写になり拍子抜け極まりない。もっともその間は上院特別調査委員会が主戦場だったから出番がなかったのは致し方ない。ウォーターゲート事件は記者の功績に取られがちだが裏にマーク・フェルトありきというのは納得できた。
娘の件や後の違法捜査裁判などは人物伝風に締めくくるための体裁繕いに思えた。映画では描かれなかったが、なんと彼の裁判にはニクソンが弁護側証人で出廷し「全ては大統領命令」としたおかげで軽い罰金刑で済んだというから事実は映画より奇なりである。また夫人が失意の末、自殺したと言うからマークフェルトの人間を描く映画としても尻切れ感が否めない。リーアム・ニーソンの演技は素晴らしかっただけに残念だ。
【”ディープ・スロート”と呼ばれた民主主義の危機を救った男の生き様を露わに描く作品】
FBI元副長官マーク・フェルトの生き様をリーアム・ニーソンが抑制した演技で魅せる。
「ウォーターゲート事件」の表のヒーローはワシントンポスト紙のウッドワードとバーンスタイン記者であるのは明らかだが、陰のヒーローは行政府(ホワイトハウス)の政敵に対する不正工作や盗聴の事実を司法警察官僚(FBI)の立場から内部告発した”男”だろう。
この映画はこの”男”の内部告発するスリリングな姿とともに、私生活(家族との関係性)もじっくりと描く。
”男”はFBI副長官として、内部告発をする一方で、執拗なまでに反政府組織ウェザー・アンダーグラウンドの捜査をする。その裏の理由は愛する娘を想っての事。”男”の立場上許される筈もなく、この後捜査方法が有罪判決を受け(その後、特別赦免)、ストレスにより妻オードリー・フェルト(ダイアン・レイン)は”男”の拳銃で自殺するという悲劇に見舞われる・・。
救いは、この後娘と和解し穏やかな晩年を送ったという事実である。
<民主主義の危機を救った男の、家族との軋轢に悩む姿を1970年当時のアメリカの時代背景とともに描き出した作品>
<2018年5月12日 劇場にて鑑賞>
全69件中、1~20件目を表示