劇場公開日 2018年2月24日

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「【正義とはやはり人が決めるもの】」ザ・シークレットマン 3104arataさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0【正義とはやはり人が決めるもの】

2022年1月22日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

怖い

知的

・2017年公開のアメリカの実話に基づく政治伝記映画。
・1974年にアメリカのニクソン大統領が辞任するに至るまでに発生した盗聴や証拠隠滅などの一連の政治スキャンダル「ウォーターゲート事件」を描いた作品。
・当時、FBI副長官だったマーク・フェルトを中心に物語は描かれます。フーヴァー長官の他界後、長官代理に任命されたグレイはニクソン大統領(≒政権)の息のかかった人とフェルトは認識。そんな中、ウォーターゲートビルに盗聴器が仕掛けられ、犯人は元FBIと元CIA関係者。彼らがニクソン大統領の再選委員会の関係者であることを突き止めるも、これ以上の捜査はグレイ(≒政権)の許可が必要と指示がでる。フーヴァー長官が亡き後、これまで保ってきた最も重要なFBIの独立性が失われてしまうことを恐れたフェルトはあらゆる手を使って(自身がディープスロート※になってでも)真相を突き止め、公にしようと翻弄する という大枠ストーリー。
※ディープスロートとは、ウォーターゲート事件について内部情報を記者に漏らした者のこと

・この映画はアクションなどありません。淡々と物語が流れていきます。それでも惹きつけられて、最後までどうなるのか気になって観てしまう映画でした。

[お薦めのポイント]
1.リーアム・ニーソンさんが彼に見えない
 ∟幾多のアクション映画に出演する彼とは全く違う表情を見せている。一気に老けたが渋さがありました。

2.知らなかった史実(ウォーターゲート事件)に興味を持たせてくれる面白さ
 ∟全然、知りもしなかった過去の一大事件を知れることがそもそも面白いです。今ではあり得ない、考えもつかないことが、過去には沢山起きていたのですね。それ自体が衝撃で調べたくなる魅力がありますね。
 ∟実際、少しだけウォーターゲート事件について調べましたが、結局、これが真実の史実なのか否かも曖昧に感じました。 理由としては、晩年には認知症となり、それから弁護士と娘さんが説得して、自身がディープ・スロートであったことを公表したらしいのですが、この記事だけみると「本当?」と思ってしまう隙はありますよね。他の誰かがいたのでは?とか。 ただ、この映画ではそんなことは関係ありません!笑 この物語を楽しむための筋書きはきちっとしていますし、観ていて「これが真実なのか!」と思えますし、映画としては非常に面白く感じます。 そもそも、それを調べようとさせてくれる、興味を持たせてくれる題材であること自体が素敵です。

3.正義とはやはり人が決めるもの
 ∟これまで信じて尽くしてきた組織FBIが「政権に支配され腐敗していくかもしれない」という危機感から、ある意味、ご法度なことまでやってしまうフェルトさん。これが「正しいのか間違っているのか」というところでこちらも葛藤してしまいます。 しかし、彼を取り巻く人間模様を見ていると、その疑念が払拭されます。仮に彼の「正義感」が間違っていたとしても、それを信じてサポートする周囲の人間がいる。これこそ、彼がこれまで培ってきた信頼関係と彼自身が認められた人間性(人のよさ)。 故に、物語の行く末としては観ていて納得のいくものとなりました。(もちろん、冷静に考えれば、それしていいの?という意見ももちろんあるかと思います笑) この「正義とは?」という哲学を「独立性を保つ重要性」という物語を軸に、魅せられた気がしました。

・総じて、アクションなど全くないドラマ映画でしたが、学ぶものがしっかりと込められた映画で、一度観れてよかったと思いました。ありがとうございました。

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3104arata