スリー・ビルボードのレビュー・感想・評価
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完璧な作品だと思う
SNS時代に効く、人間賛歌
おもしろい!
脚本がおもしろい。
ある事件を解決するために母親が三つの看板を張り出し
それがキッカケで色んな出来事が起きるというお話。
シリアスな話しの中、クスッという笑いもあり
演技が自然でとても良かった。
フレークを息子の顔にかけるところとかで親子の関係性がわかるし、スリッパのうさぎ?で会話するシーンは
辛い時1人で抱えることがある時に
こんなことしたりするなぁと思った。
1人の人間のこの人らしさ。個性や性格をそういったところで表現できていて、見ているこっちも感情移入しやすかったと思う。
オレンジジュースをくれるところが心温まる。
ひどいことをした人にも優しくできる人がいて
その温かみに触れ、変われる人もいる。
憎しみあったり、信用できなくなったり
いろいろある人間関係だけど
なんだかんだでやっぱり人は人から救われることもたくさんあると思う作品だった。
サスペンスっていう触れ込みだったんで、一件落着を期待してたのにそう...
涙腺が爆発した
途中まではなんかトボけた作品だなあ、悪くはないけど、そんな評価するほどかな? くらいだったけど、火事の場面、明かされたあいつの秘密に「えっ」となっている内にあれを持ち出した段階でもうウルッと来てたのにあの人が突入してきて…もう完全に爆発した。
今さらながら、アカデミー作品賞あげたらよかったのに…
確かに「シェイプ・オブ・ウォーター」はいい作品だったと思うけど、ドラマ的には完全にこっち。
風通しのいい終わり方もよかった。
残念です。
許し
ミルドレッドが三つの広告を建てたことによって物語は進行していく。この映画は目的云々ではなく、人間の感情にフォーカスしている。
登場するキャラクターは忠実に描かれていて、個性的な面々が並ぶ。そんな彼らの心境に変化をきたすのだ。
彼女の建てたスリービルボードをきっかけに。
まず始めにミルドレッドは自分の娘がレイプ殺人事件の被害に遭い、一向に解決の糸口を掴めない警察に対しての当てつけとして、三つの広告を建てるよう広告屋のレッドに申し出る。
これが全ての始まりだった。
しかし、責任を押し付けたビル署長は重い病気を患いながらも勤労で、地元の人からも親しまれる人格者であった。そんな彼が突然自殺してしまう。そうなることで、ミルドレッドにとってのある種の復讐は呆気なく完結されてしまい、途方に暮れる。
ビル署長の遺書には、ミルドレッドの攻撃に対しての「許し」が含まれる内容が記載されていた。
ミルドレッドはこれを読み涙する。
娘に対しての仕打ちや彼女に放った一言に対する後悔や自責の念に押しつぶされそうになる姿など、それまでにもミルドレッドの人情が読み取れるシーンはいくつか描かれている。彼女は感情的で怒りっぽい性格だが、まったくの冷酷というわけではないのだ。
だが、ここで新たな復讐が始まる。
ビル署長を慕っていたディクソン巡査が、以前から嫌っていた、尚且つビル署長の死に直結する(実際にはそうではない)原因ともなりうる広告屋のレッドを窓から突き落としてしまうのだ。そうしてディクソン巡査はクビになる。
そんな中、何者かによって広告が燃やされる。
これを署長が自殺した原因が広告にあると(勘違い)した警察や町の人間による仕業だと(勘違い)した(実際は元夫のチャールズ)彼女は、警察署を燃やしてやろうと計画する。これもまた復讐である。
また、観客をあたかもディクソンが放火の犯人であるかのようにみせる演出もうまい。
ビルからの遺書を受け取るために警察署にいたディクソンは恩師からのメッセージを読み、心を打たれる。
そんな中、ミルドレッドによる放火で火傷を負うディクソンであったが、すべての引き金となった事件のファイルを彼は大事に持ち去る。ここで彼に変化が訪れる。
ミルドレッドも放火をする直前に、ディクソンの存在を確認し、電話を二回かけるという行動。そしてあの表情。そこには憎しみに満ちた姿は少し薄れていた。
そして、大事に持ち去ったファイルを見たとき、彼女の心境は大きく変わったことだろう。
火傷を負ったディクソンと偶然病室で居合わせたレッド。彼は正体を知らぬまま重症のディクソンを気遣う。
レッドは火傷の相手が自分に暴行し怪我を負わせた張本人であると知り、ひどく動揺するが、そんな彼を「許し」、オレンジジュースを渡す。
ミルドレッドもまた、偶然レストランで元夫のチャールズと居合わせる。そこで広告を燃やした犯人が自分だと打ち明けられ、一度は席を立つがこれまた「許す」のである。
結局真犯人は分からないままだったが、レイプ犯の疑いがある人物を捜索しようと車を出す最後のシーンでも、ミルドレッドは警察署放火の犯人が自分だと告白するが、ディクソンは「アンタ以外に誰がやる?」と言って「許す」のだ。
こうした「許し」の連鎖が「復讐」の連鎖に歯止めをかける。最初の頃は、男のDNAを採取して事件があればそれを照合して一致した犯人を殺せばいいなどと、破天荒なことを言っていたミルドレッドだったが、ラストではレイプ犯を殺すかどうかを問われ、「あんまり」(吹き替えでは決めてない) に続けて「道々決めればいい」と答える。これはディクソンにも通ずる。二人は「許し」を経て「許し」を得た。
それは"怒りは怒りを来す"のではなく、"許しは許しを来す"のだ。
火を連想させる赤が多用されたことの印象効果。
ミルドレッドが神父の汚職を非難したシーンからとれる警察にも通ずる部分。なんの意図もなくあのシーンを加えるのか? それはつまり真犯人はやはり……?
脚本もさることながら、役者陣の演技や音楽も秀逸で、どれをとっても素晴らしい。
ブラックユーモアもあって笑って泣けて、人間の心に可能性を垣間見た心に染みる本当に良い映画でした!
賞云々知らずに観たら
自分としては久々の良作。
娘をレイプされた上に焼き殺されたシングルマザーの怒りから始まっていくのだが、そこから関わっていく人間とその人物の立場、心情をゆっくり見せていってくれる。
そもそもはレイプ殺人の犯人が一番悪いのであるが、行き場のない怒りで警察署長を非難する看板をブッ立てる母親ミルドレッド。
このあまりにも重い非難の看板が署長ウィロビー、部下ディクソン、看板屋ウェルビー…と関わる人物全てに影響を与えていく様はじんわりと進んでいく悪夢のようだ。
犯罪被害者遺族の想いは取り上げられる事が少ない理由も分かるが、悲しみに対してどう折り合いをつけるのかは様々で、ミルドレッドは復讐に燃えて法を越え、息子は忘れたいと苦しむ。
対して署長ウィロビーの苦悩も大きい、責任者として受けて立たねばならず、部下達は人種に差別的、暴力を振るう問題警官が多く、自身も末期ガンで余命少ない状況で事件もガンも解決困難、吉本新喜劇でもない限り都合よく解決しない。
出てくる人々は全くの善人ではないが、著しく悪人でもない普通に市井で暮らしている人たちばかり、ボタンの掛け違いが連続して物語が各々に重苦しい気持ちになっていく様が理解できる。
その結果、物語を追っていく観客として、それぞれの気持ちに共感してしまい、落とし処をどうしたらと悩んでいる内に物語に変化が起こるため、「これからどうするんだ?」と次の展開を追わされてしまう。
ラストは衝撃ではないが、行き場のない怒りの向けようとしては納得出来る。
この展開が嫌いな人には勧められないが見応えはあった。
西部劇版ハンムラビ法典
フランシス・マクドーマンドが終始 作業着+野暮ったいポニテにバンダナというまさに現代版カウボーイみたいな格好で、迷い人くらいしか通らないと言われる道の先にある街で起こる復讐劇。これはまさに現代の西部劇。3枚の看板をきっかけに負の連鎖の火蓋が切って落とされ、まるでハンムラビ法典のように、やって、やり返される。陳腐な言い方になるが「辛い目に遭うとはこういう事」と学び負の連鎖を知る。どこで断ち切って人を赦すかが自分次第だ。ケイレブ演じるレッドが悪意も無いのにミルドレッドの助けになったばかりに自己中レイシスト警察のディクソンから暴行を受けたにも関わらず、大火傷を負って病院で再会したディクソンに腹を立てながらも一杯のオレンジジュースを差し出すシーンがこの映画の象徴だと思う。怪我で痛む手でストローの向きをディクソン側に向けるシーン、涙無しにみられなかった。
負の連鎖が間違いだと分かっても立ち止まれない者もいる。ウィロビーが末期癌と知りながら看板を出した時点でミルドレッドの決意の深さは相当なものと分かるけれども、残されたものたちの喪失感や憤りに触れてゆく中で別の道をいつか彼女は見つけるのかも、と思わせるラストが凄くじんわりした。
個人的には間違いなく今年イチの映画だと思う。
評価しづらい
米国のオンナは強いんだ
やるせない感じ
報われない?映画
引き込まれるが人を選ぶ作品
さよならの朝に~を鑑賞後に売店の列に並んでいたら、
前の人がこのパンフを買っていたため気になって評判を調べたところ好評価だったので鑑賞。
残念ながら娯楽映画好きな私にとっては合わないタイプの映画でした。
確かに前評判通り、細かな表現や感情の移り代わりなどの描写は上手いため、
ストーリーにぐいぐい引き込まれてしまうのですが、
そのストーリー自体が重くスッキリしないために
引き込まれれば引き込まれるほどテンションが酷いことになるという悪循環。
以前鑑賞した「ノクターナル・アニマルズ」と似ているような雰囲気でした。
あちらのほうが鑑賞後のテンションは酷かったですが。
結論として、楽しい映画が見たい!娯楽映画しか見れない!という方は鑑賞を避けたほうが無難です。
ただ、芸術映画好き!ノクターナル・アニマルズ好き!という方にはお勧めできる作品かと思います。
このような映画も楽しめれば幅が広がるとは思うのですが。残念。
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