シェイプ・オブ・ウォーター

ALLTIME BEST

劇場公開日:

シェイプ・オブ・ウォーター

解説

「パンズ・ラビリンス」のギレルモ・デル・トロが監督・脚本・製作を手がけ、2017年・第74回ベネチア国際映画祭の金獅子賞、第90回アカデミー賞の作品賞ほか4部門を受賞したファンタジーラブストーリー。1962年、冷戦下のアメリカ。政府の極秘研究所で清掃員として働く女性イライザは、研究所内に密かに運び込まれた不思議な生き物を目撃する。イライザはアマゾンで神のように崇拝されていたという“彼”にすっかり心を奪われ、こっそり会いに行くように。幼少期のトラウマで声が出せないイライザだったが、“彼”とのコミュニケーションに言葉は不要で、2人は少しずつ心を通わせていく。そんな矢先、イライザは“彼”が実験の犠牲になることを知る。「ブルージャスミン」のサリー・ホーキンスがイライザ役で主演を務め、イライザを支える友人役に「ドリーム」のオクタビア・スペンサーと「扉をたたく人」のリチャード・ジェンキンス、イライザと“彼”を追い詰める軍人ストリックランド役に「マン・オブ・スティール」のマイケル・シャノン。アカデミー賞では同年最多の全13部門にノミネートされ、作品、監督、美術、音楽の4部門を受賞した。

2017年製作/124分/R15+/アメリカ
原題または英題:The Shape of Water
配給:20世紀フォックス映画
劇場公開日:2018年3月1日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第42回 日本アカデミー賞(2019年)

ノミネート

最優秀外国作品賞  

第90回 アカデミー賞(2018年)

受賞

作品賞  
監督賞 ギレルモ・デル・トロ
美術賞  
作曲賞 アレクサンドル・デスプラ

ノミネート

助演男優賞 リチャード・ジェンキンス
助演女優賞 オクタビア・スペンサー
主演女優賞 サリー・ホーキンス
脚本賞 ギレルモ・デル・トロ バネッサ・テイラー
撮影賞 ダン・ローストセン
衣装デザイン賞 ルイス・セケイラ
編集賞  
音響編集賞  
録音賞  

第75回 ゴールデングローブ賞(2018年)

受賞

最優秀監督賞 ギレルモ・デル・トロ
最優秀作曲賞 アレクサンドル・デプラ

ノミネート

最優秀作品賞(ドラマ)  
最優秀主演女優賞(ドラマ) サリー・ホーキンス
最優秀助演男優賞 リチャード・ジェンキンス
最優秀助演女優賞 オクタビア・スペンサー
最優秀脚本賞 ギレルモ・デル・トロ バネッサ・テイラー
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(C)2017 Twentieth Century Fox

映画レビュー

4.5ずぶずぶと

2018年3月11日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

日の当たらない場所で、ひっそりと暮らしてきた心優しい人々が、同じ境遇の存在に触れ心通わせ、皆で精いっぱい力を合わせて逆境から脱する。ヒロインは、とうとう本当の幸せを手に入れる。…この映画を一言でまとめれば、ざっとこうなるかと思う。けれども、こんな「まとめ」は、何の意味も持たない。本作の瑞々しくきらめく魅力、愛すべき細やかなあれこれを、何一つすくい取れていない。この映画は、「一見無駄で不要とされているものの中に、いかに掛け替えのないものが詰まっているか」ということについての、またとない指南書だと思う。
水中にたゆたう家具がゆるやかに着地し、物語は始まる。目覚ましで起き上がり、タイマーをかけて卵を茹で、毎日同じことをきっちりと繰り返しているヒロイン。彼女は、なんと映画館の屋根裏に住んでいる。(映画館(しかも二本立て!)の住人、というだけで映画好きはわくわくし、彼女を好きにならずにいられない。)彼女の住まい、その下の映画館、彼女が駆け下りる非常階段を伝って外の世界へ…とカメラは滑らかに移動する。時間というヨコの糸と、空間というタテの糸が瞬時に織り上げられ、これぞ映画!という思いが一気に高まった。
そんな彼女と謎に満ちた「彼」、恋心をカツラに秘めて食べもしないパイを買いに行く隣人、ズケズケとした物言いと押しの強さが憎めない同僚…と、登場するキャラクターそれぞれが、愛すべき要素に溢れている。そして、心地よく流れる音楽。ふっと差し挟まれるダンス。彼女と隣人がテレビでミュージカル映画を探しては見惚れ、ステップを踏むシーンには笑みがこぼれた。(テリー・ギリアム監督「フィッシャー・キング」中の駅でのダンスシーンに匹敵する幸福度!)言葉がなくても、なんと雄弁な語りだろう。
その一方で、彼らを追い詰めるアメリカ軍の男も、なぜか忘れ難いざらざらとした印象を残す。見た目もやり口も「ザ・悪」なのに、追い詰められていく彼に物悲しさを感じてしまう。ざまーみろ、バチが当たったのだ、という気持ちに、どうにもなれなかった。
ふと、気付いた。彼が受ける最大の罰(痛み)は、指が腐り落ちていくことだ。ずぶずぶと縫い目から膿が滲み出し、彼は呻く。他方、ヒロインと「彼」は、ずぶずぶと水中に沈みこみ、幸せに包まれる。…もしかすると、前者がある分、後者の「ずぶずぶ」が更に引き立っているのかもしれない。生に欠かせないものの、時には命を奪うこともある、「水」の両価性を、改めて思った。(そういえば、彼の奥さんが作るゼリーも、ヒロインの隣人が買い求める不味いパイも、藻のような緑色をしていた。)
「パディントン」もブラウンさんたちも大好きな我が子らは、残念ながら当分この作品を観ることができない。(きっと気にいると思うのに!)まずは、「パシフィック・リム」で、デル・トロ監督ファンに引き込もうと思う。いずれは、本作を大切な人と観ることが出来ますように。

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cma

0.5アカデミー賞発表直前!おっさんはこの同人誌映画をこうブッタ斬る!

2018年3月4日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

ギレルモ・デル・トロ

言うまでもなく「パシフィック・リム」の監督であり、「ヘルボーイ」シリーズの監督であり、傑作「パンズ・ラビリンス」の監督であり、意外と知られていない、「ホビット」シリーズの脚本家。

キャリアは「ある意味」十分だが、一貫して「『異形』への偏屈な愛」にみちた映画作家。故にキャリアは「ある意味」全然積み重ねられていない。

そんな彼の最新作がオスカー最多ノミニーだという。どうしたことか。

「シェイプ・オブ・ウォーター」





前作「クリムゾン・ピーク」でゴシック・ロマンスという、無謀にも、身の程知らずといってもよかろうな、ジャンルに手を出し、結果、撃沈した。

前作「クリムゾン・ピーク」の決定的な欠点は、美男美女を取り揃えているにも関わらず、全然キレイに美しく撮れていない、という点だった。

本作は、その反省だろう。あっさり、美女と美男を捨てた。

その反省プラス、今までに描かなかったオタクの伝家の宝刀、「エロ」を振るってきた。

だから、キモイわけだ。




一方、これまでデル・トロ作品を何本か見ているものにとって、本作で繰り広げられる世界は、なんら変わりがない。なんら予想を外すこともない。

主人公はそのルックスから言って、間違いなく「パンズ・ラビリンス」の主人公オフィリアの生まれ変わり、のような存在。実際序盤から、あっちの世界とこっちの世界を行き来している。声を失っているのは、あたかも、「あの」王国から再びこの世へ送り込まれたかのよう。

登場する半魚人もこれまた、「ヘルボーイ」でも活躍させるように、ギレルモ自身が大好き半魚人。

これまで同様、ロボットに愛をこめようが、ストーリーがスッカスカの、薄っぺらな「異形」への愛、マイノリティーへの愛(と勝手に高尚なことを言う映画オタクども)。

とにかく全編、詰め込み過ぎの、無駄なエピソードばかりの、語らなすぎと、語り過ぎ。

マイケル・シャノンのトイレ、腐敗する指、かっさばかれる主人公とおなじような、喉元。これ見よがしに見せて、効果は全く薄い。

ほんと相変わらず、デル・トロはストーリー・テリングがひどい。

オクタビア・スペンサーがここまで演技がひどいのは観たことがない。

次に、今回のノミニーについてだが、本作のノミニーは、アカデミー会員の多様化と若返りの極端な反動でしかないと思っている。「多様化」の側面が、思いっきり「マイナス」に働いたのが、この「同人誌」映画の最多ノミニーという結果。

確かに、そろそろジャンルな作品がオスカーを、という世代交代は始まっていると思う。

だが、本作は「クラシック」「モノクロ」「映画館」という「映画愛」という、アカデミー大好き要因と、今年のトレンド「女性」プラス得意の「異形」を「マイノリティー」とだまし込んでの、全くの同人誌精神で生み出されている。

このデル・トロ版「ブスと(ホントの)野獣」、成人向け「E.T.」に対して、マジで「マイノリティー」映画と評し、オスカーを与えるようなら、アカデミー賞は末期である。

また、この気持ち悪い同人誌ポルノを、映画愛に満ちた、「オマージュ」作品と評する映画オタクも末期である。

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しんざん

4.0変幻自在の水と、外見を覆う緑、あらゆる生き物が流す血の赤が際立つ

2018年3月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

水には形などない。変幻自在で、私たちはそこにどんな想像力も、感情さえも投影できる。だが今の世の中、水を見つめるように人の内面を見通すことがどれほど可能なのだろう?肌の色、宗教、国、外見、服装、貧富の差。我々を取り巻く色眼鏡は数多い。その点、半魚人と、声を失った女性とのラブストーリーは、まるで互いの中の「水」を見つめ合うかのように、あらゆる衣を脱ぎ去った無垢なる姿に満ちていた。

本作は「緑」で満ちている。研究所の薄暗い明かり、清掃係の制服、パイ、新車、噛み砕かれるキャンディ、それから絵描きは「もっと緑を足せ」と要求される。半魚人の体も緑、だがイライザはその奥を見通す。

それでいて誰もが等しく赤色に染まるのも印象的だ。何かに目覚めたヒロインの服装も赤。さらにその全てを飲み込んでいくのはまた水。人々はそういった揺り戻しを寄せては返す波間のように繰り返しながら、歴史を重ねているのかもしれない。

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牛津厚信

3.5途中で類似する先行作に気づき、ラストで唖然

2018年2月27日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

楽しい

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高森 郁哉