劇場公開日 2019年12月20日

スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け : 映画評論・批評

2019年12月24日更新

2019年12月20日よりTOHOシネマズ日比谷ほかにてロードショー

ディズニーに託された創造のバトンが、遠大なサーガの回答を示すとき

ディズニーが「スター・ウォーズ」(以下:SW)というブランドを継ぎ、創造主ジョージ・ルーカスの初期構想であった「全9部作」を実現させると報じられたとき、前6部作を知るファンは喜びと共に不安を覚えたことだろう。父子にわたるスカイウォーカーのクロニクルを逸れ、次世代の物語を描くという新規の要素がそこにあったからだ。

だが帝国軍の残党の暗躍と、ジェダイ復活の鍵を握るフォースの申し子レイ(デイジー・リドリー)の成長を追った後期3部作は、今作でこれら要素の帰結と、前々作「フォースの覚醒」(15)ならびに前作「最後のジェダイ」(17)の伏線回収を果たすだけでなく、前6部作との有機的な結合をなすことで、遠大なSWサーガの環を閉じていく。

ゆえに全方位的にファンとの接点を探ろうと、前作が「帝国の逆襲」(80)をなぞるように、今回も「ジェダイの復讐(帰還)」(83)の韻を踏んでいく。それは予告編にあったランド・カルリジアン(ビリー・ディー・ウィリアムズ)の切り札的な再登場のほか、冒頭のスクロールから明かされる黒幕の正体や、イウォークを思わす辺境惑星民族たちの関与。またハン・ソロ(ハリソン・フォード)の衣鉢を継ぐようなポー・ダメロン(オスカー・アイザック)の位置付けに加え、ルーク(マーク・ハミル)とダース・ヴェイダーを鋳型としたレイとカイロ・レン(アダム・ドライバー)による善悪の葛藤など、同作がサブテキストとして有効にはたらくのは先述の限りでない。

そしてSW以降に台頭した「ロード・オブ・ザ・リング」3部作(99〜03)や「アベンジャーズ」4部作(12〜19)が、展開の流転やスケールの拡大など「サーガはどう締めるべきか」の良質なモデルを示してきたように、SWもこれら新勢力を横目に、42年間にわたる前例なき映画シリーズにふさわしい回答をスクリーンに繰り広げていく。オールドファンには黄金期の興奮をよみがえらせ、また若い世代には「『SW』とは何なのか?」といった啓蒙をうながす。こうした内容は、ひとえに性別や人種の役割を再考しつつ、広い層への娯楽を提供する近代ディズニーの継承あればこそ、と好解釈を可能にするだろう。

特殊効果の進化を牽引してきたSWらしく、CGIやデジタルエフェクトの極ともいうべきシリーズ最大規模の艦隊バトルが、その姿勢を思い起こさせる。またこれに輪唱するかのごとく、湿っぽくない軽快なドラマ運びや、アナログを主とする舞台セットに異星クリーチャーの豊富な投入など、J・J・エイブラムスの演出的采配も原点回帰を高らかにうたう。その音色に聴き入りながら、ひとつの大きな世界が区切りを迎えた余韻に浸ろう。感傷的になる必要はない、フォースと共にあれ。

尾崎一男

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