彼女の人生は間違いじゃない

劇場公開日:2017年7月15日

彼女の人生は間違いじゃない

解説・あらすじ

「さよなら歌舞伎町」「ヴァイブレータ」の廣木隆一監督が、出身地の福島に暮らす人びとを描いた処女小説を自身のメガホンにより映画化。仮設住宅で父と2人で暮らすみゆきは市役所に勤務しながら、週末は高速バスで渋谷に向かい、デリヘルのアルバイトをしている。父には東京の英会話教室に通っていると嘘をついている彼女は、月曜になるとまたいつもの市役所勤めの日常へと戻っていく。福島と渋谷、ふたつの都市を行き来する日々の繰り返しから何かを求め続けるみゆき、彼女を取り巻く未来の見えない日々を送る者たちが、もがきながらも光を探し続ける姿が描かれる。主人公みゆき役に「グレイトフルデッド」「日本で一番悪い奴ら」の瀧内公美。父親役の光石研のほか、高良健吾、柄本時生、篠原篤らが脇を固める。

2017年製作/119分/R15+/日本
配給:ギャガ
劇場公開日:2017年7月15日

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(C)2017「彼女の人生は間違いじゃない」製作委員会

映画レビュー

4.5震災の痛み

2025年7月13日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

知的

カワイイ

福島県出身の廣木隆一監督が自らの処女小説を映画化した作品で、福島県いわき市の20代の女性市役所職員が主人公。震災で母親を失い、田んぼが汚染されて農業ができなくなった父親は補償金でパチンコ浸りの日々。彼女は週末になると深夜バスで東京に向かう。渋谷でデリヘル嬢をしているのだ。あの時から止まったままの時間、どこにもやり場のない気持ち。デリヘルのマネージャー、別れた恋人、仮設住宅の隣人たち。痛みを抱えたまま出口の見えない日常の中で同じところを回り続ける人々。廣木監督の描き出す震災後の風景はどこまでもリアルで、どこまでも痛みに満ちている。主人公の設定は廣木監督の『さよなら歌舞伎町』の登場人物のうち女の子2人の設定を組み合わせたもののようで、故郷と震災に対する監督の強い思いを感じさせる。

なんといっても主演の瀧内公美が素晴らしい。故郷を失い、行き場のない気持ちを抱えた女性の姿を見事に演じきっている。それまで全然知らない女優だったがフルヌードも辞さない熱演に魅了された。本当に素晴らしかった。そしてその脇を固める光石研、高良健吾、柄本時生、蓮佛美沙子らもいずれも好演。とても良い映画でした。

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バラージ

4.0静かに、しっかりと回復していく

2023年7月8日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

最初の展開では、暗い感じがした。
しかし、みなそれぞれ、それなりに回復していく。
ゆっくりと。
人間の性と優しさと不器用さが同時に存在し、それでも静かに前に進むところに、なんかホッとするものを感じた。

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morihide

4.0アフター震災

2022年10月30日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

震災から5年、仮設住宅に住む主人公。
多くは語らないけれど、アフター震災の問題や心の傷を描いた映画だと思いました。

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光陽

4.5じわじわと来るタイプの感動

2021年5月16日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

難しい

幸せ

衛星で部分的にチラ見していたのを、やっとこさ冒頭からラストまで鑑賞。

なんだか、こう、、良質なプロレタリア文学作品を読みきった後のような、不思議な爽快感がありました。

監督の作品は「ヴァイブレータ」「さよなら歌舞伎町」に続き、おそらく三つ目。
DVD特典のスタッフプロフィールで知りました、監督が自分の親とタメだということを。そして、もともとピンク映画出身の人だということを。

確かに性愛の占める割合が大きいな、とは思ってた。
今作品はテーマがテーマなのでエロ描写少なめ。「さよなら~」とかと比較すると、かなり少なめ。
けれど、エロと向き合ってきた人が作った映画というだけで、デリヘル嬢が主人公の映画でも、信用できるというか。興味本意でネタにしていないことがわかる。

風俗嬢には「自分ぶっ壊し願望」がある人が多い、という話を聞いたことがある。
気持ちは分からないでもない。この映画のみゆきも、そうだったのかもしれない。母は他界し、補償金は父親のパチンコ台に吸い込まれていく日々。週末、渋谷という別天地に繰り出して全てをぶち壊すことで、現実からの逃避を試みていたのだろう。

廣木作品の好きなところは、淡々としていて説明が少なく、感情に溺れないところ。
東京の人間との間にも齟齬はあるし、まだまだ問題は山積している。でも、ちょっと嬉しいことがあって頬の緩むような日もある。そういうことの積み重ねで、人は前に進んでいく。それは何でもないことのようでいて、実はとても凄いことだ。

デリヘル本社の窓から飛び降りた女の子の為に、花を供えて手を合わせるみゆき。喪失を経験した人間は、喪失に対して敏感になれる。

「ヴァイブレータ」というロードムービーで魅せた監督、「さよなら~」でも本作でも、高速バスのシーンがいいですね。
淡々とした日常のシーンから一転、雄大な景色が開かれる。けれど同時に流れてくるのは、胸に迫るような扇情的な音楽。

ミッシングピース(観てないシーン)を埋め、最後まで観て、「ちゃんと観といてよかった」と思いました。「好きな監督の名前」、一個増やします。

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yolanda

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