パトリオット・デイ

劇場公開日:

パトリオット・デイ

解説

2013年に発生したボストンマラソン爆弾テロ事件の裏側を、「ローン・サバイバー」「バーニング・オーシャン」でもコンビを組んだマーク・ウォールバーグ主演&ピーター・バーグ監督のタッグで映画化。捜査関係者や犯人、被害者の市民など事件に関わった多くの人々の動きをたどりながら、事件発生からわずか102時間で犯人逮捕に至った顛末を、映画オリジナルのキャラクターであるウォールバーグ扮する刑事の視点から描く。13年4月15日。ボストン警察の殺人課に所属する刑事トミーは、 「愛国者の日(パトリオット・デイ)」に毎年開催されるボストンマラソンの警備にあたっていた。50万人の観衆で会場が埋め尽くされる中、トミーの背後で突如として大規模な爆発が発生。トミーらボストン警察の面々は事態を把握できないまま、必死の救護活動を行なう。そんな中、現場に到着したFBI捜査官リックは、事件をテロと断定。捜査はFBIの管轄になるが、犯人に対し激しい怒りを抱えるトミーは、病院に収容された負傷者たちから丁寧に話を聞いてまわる。やがて、監視カメラに映っていた「黒い帽子の男」と「白い帽子の男」が容疑者として浮かび上がる。

2016年製作/133分/PG12/アメリカ
原題:Patriots Day
配給:キノフィルムズ
劇場公開日:2017年6月9日

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映画レビュー

4.0ピーター・バーグが無双状態。

2017年7月29日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

興奮

現実に起きたテロ事件の顛末を、圧倒的に面白い群像劇として描き出したピーター・バーグの腕力に感服。本作でJ・K・シモンズが見せるまさかの無双状態を、まんま演出家としてのピーター・バーグと重ねてしまうくらいだ。

ただ、バーグについては気になっていることがある。この映画の「ボストン市民の団結がテロに打ち勝った」というメッセージは、「俺たち市民は武装してでも立ち向かうぞ!」と拡大解釈をすることができるのだ。いわゆる自警団的な考え方だ。

近年のバーグは「アメリカの英雄」に強い執着を抱いていて、報復の連鎖を描いた傑作『キングダム』が半愛国的と批判されて「俺は愛国者なのに!」と逆噴射した結果のようにも思える。いずれにせよ最近のバーグの映画には、持ち前のエンタメ力と無双状態の演出力に加えて無邪気なタカ派思想が見え隠れする。本音を言えば『ランダウン』や『バトルシップ』の続編なんかをやって欲しい監督なのだが。

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村山章

4.0複数の視点で事件を立体的に浮かび上がらせる語り口の巧さ

2017年6月26日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

このところピーター・バーグは、アメリカ人の記憶に刻まれた象徴的な事件を圧倒的な熱量で語り継ぐことを自らに課しているかのようだ。いずれも現場の最前線に立つのはマーク・ウォルバーグであり、彼の生き様には等身大の人間が己の限界を超えて使命を全うしようとする姿が見て取れる。こと本作では、世界に衝撃を与えたテロ事件をいたずらにエンターテインメント寄りに描くこともなく、この惨劇の中で勇気を振り絞った市民一人一人をクローズアップ。そのバランス感覚や構成に関してバーグは非常に手堅く、作中に散りばめた人々がどこでどのように事件に関わっていくのか伏線を張りながらその糸を回収していく語り口も優れている。とはいえ、私が本作で最も惹きつけられたのは、謎の機関から派遣されてきた女性担当者による取り調べシーンだった。あの不気味さ。数分間、言葉を交わすだけの場面にあれほど緊張感を付与できるのもピーター・バーグならではのキャラ付けの巧さと言えるのだろう。

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牛津厚信

3.0映画は世相に応じて異なる意味を持つこともある。

2017年5月31日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

悲しい

怖い

42.195キロを駆け抜けてきたマラソンランナーの脚が、ゴール間近で何かの衝撃を受けて折れるように倒れるニュース映像の、何と不気味で静かだったことか!?そのボストンマラソン爆破テロ事件の全貌を映像で再現する上で、監督のピーター・バーグは本物のニュース映像と、現場に転がっていたであろう肉片を配置する等の演出を絡め、また、事件に関わった人々を俳優に演じさせることで、これを実録パニック群像劇として再構築。さらに、 ボストンがテロを克服できたのは市民間の愛だった、と言い切る。これぞまさしく"パトリオット(愛国者)・デイ"。しかし、そのバーグも今のアメリカが愛とは真逆の憎悪によって分断されようとは思ってもみなかったに違いない。映画は世相に応じて異なる意味を持つこともあるということを、改めて実感させる作品だ。

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清藤秀人

2.5印象に残ったのはメリッサの無表情

2023年6月1日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

期待したのは、時間を追って危機的状況がエスカレートしていき、それを追う主人公が犯人たちを追い詰めていく執念の攻防みたいなもの。だったのですが、そこはスカされました。いい意味で裏切られたというか、別の人間ドラマに重点を置いてあったので、そちらに引きこまれた感じです。

事件が起きる前の、主要な登場人物の動きを時系列で追っかけているのがなんともじれったくて、すこしだるい印象を受けます。だから、テロが起きる前の前半部分はバッサリ、カットしても良かったんじゃないかと思いました。見終わって、「ああ、そういう意味ね」みたいな納得は、一応あるにはあるのですが、そのためにあの長い前半部分を見せられるのは、たいした苦痛だと思います。

特に印象に残ったのが、メリッサ・ブノア演じる、テロ犯の妻の内面の葛藤を奥深く秘めて、表面は仮面をかぶったように何事にも動じない、強いメンタルを持った女性で、その背景にはシリア難民の悲劇的な生きざまを見て育った人間の、諦念や家族愛、理不尽を受け入れざるを得ない悲しさがあり、それが彼女の無表情に宿っているようでした。どこか無垢な子供を思わせる彼女が、まさかメリッサとは。テレビシリーズで忙しい時間を縫って、こんな印象的な役を演じていたのですね。

反対に、ちょっとがっかりしたのがマーク・ウォールバーグで、彼が主人公として存在する意味あったんでしょうか。もともと、架空の人物像をくみ上げて、物語仕立てにしたようですが、だったら、もう少し話を面白くできただろうに、テロリストの無軌道ぶりに、翻弄される警察機関を象徴する人間のようで、見ていて何の共感も感じませんでした。プロデューサーも兼ねているのなら、自分を客観視できることも大事な要素でしょう。まだ「バーニング・オーシャン」の方が共感できる主人公だったと思います。

犯罪計画を立て、爆弾を作り、ボストンマラソンを標的にテロを実行。次の標的にニューヨークを狙い、無軌道で衝動的な犯行を重ね、追い詰められていく犯人たちが、何を考え、何を勝ち取ろうとしたのか、もっと深く考察してほしかった。良くできたドキュメンタリーフィルムの域にはまって、出られない、映画だという自覚が足りない。すごく残念な映画でした。同じ時期に製作された、クリント・イーストウッド作品に比べて、ずいぶん満足度が低いと思います。

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