ブレードランナー 2049のレビュー・感想・評価
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自分が何か特別な存在でありたい
この映画はレプリカントと人間というよりは、何か特別な人間でありたいと思う普遍的な欲求に関するものだと思える。
レプリカントとは労働としての価値しかないもの、人間とは生きるだけで価値のあるもののメタファーである。
現実に存在する僕ら人間であっても、自分の価値がどこにあるのか、その本能的な欲求は、レプリカント同様にあるのだろう。
ラストにかけての物悲しさと共に、自らの生きる意味について考えられる映画となっている。
長い長い序章?
旗印ー特別・奇跡、反乱軍。ラスボス。この物語はどこに行くのか。
『SW』『猿の惑星』『ターミネーター』他のサーガと同じような展開になっていくのか?
それらと比較できるほど、それらのシリーズを見ていないのだが、柳の下の泥鰌を狙っているようで、げんなりしてしまった。
それなら、前作のみでそっとしておいてほしかった。
映画は、前作をリスペクトして丁寧に作られている。
だのに、全くテイストが違う。
前作。(『ファイナルカット版』を鑑賞)
寿命を否定し、生きる続ける意志を煌めかせたレプリカント達。ロイだけでなく、すべてのレプリカント達が、最期の最期まで、命を燃やし尽くした。
舞台は酸性雨が降る街。バブル期さながら、荒れた土地を見捨てて、上へ上へと伸びたビル群。目立ったもの勝ちとばかりに、これでもかと乱立するネオンサイン。
発展と引き換えに、環境破壊・公害のやり放題。酸性雨が肌にあたって、肌が焼けそうな、そんなまがまがしい、ヒリヒリとした雰囲気・化学物質がまき散らされた世界。
欲・欲・欲の爆発。
荒廃した世界観を描きつつも、欲望が渦巻き、運命に抗おうとするエネルギーに満ち溢れた世界。
人間とは意志を持つ存在だとでも主張したかのような。
「生きたい」との意志を前面に押し出してくる、ロイをはじめとする脱走したレプリカント達。そして、その死にざま…。
それと並行して、はじめ”人間”として登場するレイチェルは、博士の言いなり。だが、自分がレプリカントかと疑うようになる頃から自分の意志で動き出す・・・。その行く末。
永遠に心に残る。行き詰った時、ロイを思う。流されそうになった時、レイチェルを思う。勇気をもらえる。
そして、今作。
なんと静謐な映画なのだろう。
絶望的な状況に陥り、それを否定し、抜け出そうと持てる力をすべて出し切ってあがく”動”の映画が前作なら、
その努力もすべて泡と化し、諦観の域に達したような。無力の域に達したような”静”の映画。
前作が”死”を扱いながらも”生”のエネルギーに満ち溢れているのに、今作は”産”を扱いながらも”滅”の影がちらほらする。
乱立するホログラムがゴーストー欲の残骸に見えてくる。
それでも、自分が何者なのか、自分の存在に意味を持たすことで、心を満たそうとする者がいる。
ラストの雪のシーンは宝箱にしまっておきたいほど、切なく、でも魂が満ち足りる。
Kだけをおえば、★5つなのだが…。
☆ ☆ ☆
記憶。
記録と何が違うのだろう?
自主学習機能を搭載したプログラムに、事実としての記録をインプットしたとして、そのプログラムなりの判断材料として、アウトプットは、どの記録的事実をインプットしたかによって変わってくるのだろうが。それを、人は個性と呼ぶのか。…状況次第であろう。ペットとして所有している場合は、持ち主は、それを”個性”と呼ぶのだろう。
客観的事実・心的事実。勘違い。意味づけの違いによってその記憶は幾様にも変わってくる。
催眠術・認知療法…。健忘・抑圧・否認・錯覚…。
記憶が失われることは恐ろしい。やはり記憶はその人であることの証明か?でも、でも…。
感情。
生まれて最初に分化するのは”快”と”不快”の感情だという。そして、その次が”恐れ”。生命維持のためだという。そして、集団の中で生きるために必要な喜怒哀楽。共感の素。
旧型レプリカントは自然に年数がたつと感情が芽生えてしまうから、寿命を短くしている設定だが、
新型レプリカントは、記録と感情をわざと持たされる。なぜ?場合によっては”嘘”の記憶まで用意して。質問するKにジョシはそれらしい答えを言っているが、私には???。レプリカントの為というより、一緒に働く人間が共感を求める存在だから、感情や記憶を持たせているのだろうと思う。
機械相手にオペレーション業務をしていた超初期の電話オペレーターは皆ストレス抱え、がっての日本電信電話株式会社はカウンセリングを”企業”として導入した第1号と聞く。一般的に、人間は24時間機械相手のみとは働けない。
すべて人間の都合。
なんと罪深い。
☆ ☆ ☆
労働力として制作されるレプリカント。人間がやれない、やらせられない過酷な作業に従事するために。
その彼らに対する差別。
自分たちが必要としているのに、
自分たちが必要とするから、記憶とか、感情とかいろいろな機能をつけているのに。
「労働力を呼んだが、来たのは人間だった」という予告の『おじいちゃんの里帰り』(合法的にドイツに働きに来たトルコ人たち)。
アフリカ大陸から強制的に、北・中・南米に連れてこられた黒人たち。やがて、ネイティブとのダブルも生まれて”サンボ”と呼ばれ、差別の対象になっていった。もちろん、侵略者である白人たちとのダブルも生まれるようになる。
7K・8Kの零細工場や第1次産業等、日本の現場が必要としているのに、”不法滞在”扱いされる日本人以外の方々。
この映画での、レプリカントと人間の関係。
歴史から学ばないのか我々は。
ここも評価を下げる要因の一つ。
人間は、「ありがとう」の連鎖は生まれないのか。自分たちだけでは生きていけないのに。
(東京国際映画祭2021 屋外上映にて)
デザインがイイ
素晴らしい!
「人間」とは何か。その定義と、起こりうる差別。
圧巻の映像美、そして設定の細かさ。前作は遠い昔に観た、、、様な記憶がある程度だったので、ストーリーを理解するのに四苦八苦。それでも、惹きこまれる世界観とストーリー展開はさすが。人間、レプリカントの新旧が共存する世界、進歩する科学に倫理観が複雑に絡み合ってくる。
ライアン・ゴズリング演じるKに思わず入り込んでしまうくらいの迫真の演技。自身の生い立ち、記憶、やるべき事の悲しさ、明らかになっていく過去と現実が凄い。要所要所の伏線が中々回収されないもどかしさが、深まる謎が逆に心地良く、回収されていく衝撃も素晴らしかった。
ハリソン・フォード演じるデッカード、前作を全く覚えていなかったのが一番悔やまれるが、観ながらレプリカントという枠を超える謎を少しずつ理解は出来る。やはり楽しむなら前作を観てからがオススメか。
個人的にアナ・デ・アルマス演じるジョイがとにかく可愛く、一途な設定に心を打たれる。一番人間らしい配役だったのが悲しい。
最近では珍しく尺の長い映画だが、レジスタンスやウォレスのその後など消化不良な所もあり、もう少し深掘りして、Kの行動の動機付けとしていれば物語の厚みにも繋がっていたはず。
“作品”としては至極勿体無い印象。そのまま続編として企画があるのであれば、嬉しい限り。
雰囲気は好き
人によって評価別れそう
前作と比べるのは酷(こく)すぎるのですけれど
前作と比べるのは酷(こく)すぎるのですけれど、記憶の移植についての設定や、それを使ったトリックなどが上手くまとめられていると思いました。
そしてKの捨てられた野良犬感が如し哀しい描写などがよくできた方だと感心しました。
しかし、どうしても許せないことが二点。
まずKの持つ新型のブラスターのデザインが酷すぎます。あんなのホシクナイ!
デッカードの持つオリジナルがアップで劇中に出てくるので、なおさらそれが浮き彫りになります。
そして、なによりもデッカードがお荷物っぽい扱いなのが許せませんでした。
ロートルながらの活躍を期待していただけに、アレには本当に怒りを禁じえませんでした。
さらに…訳あって4DX上映の方も観てしまったのですが、コレ4DX必要?
お見事
肥大化含みの蛇足後日談。
それでいいのだ
IMAX 2D 字幕で見たかったのだけれど、そんな上映をしている映画館もなくて、時間の都合もあって不本意ながらIMAXでも字幕でもないという「ブレードランナー2049」を見た。条件がそろえばもう一度見たい。どこかがやってくれないかな。
リドリー・スコットが製作総指揮なので、なにも不安を感じてなかったし、ドゥニ・ビルヌーブ監督は初めて見たのだけれど、ケベック人ならまちがいないだろうと、これもまた根拠なく安心して見ていられた。
私はブレランの熱狂的支持者でもマニアでもないので、むしろだからこそだと思うのだけれど、大満足だった。ひと言で言うなら「忠実」な作品だ。ふた言で言うなら「徹底して」「忠実」な作品で、三言で言うなら「徹底して」「忠実」な「敬意に満ちた」作品だと思う。「マトリックス・リローデッド」は不敬罪に値したのと真逆だ。
人類とは?世界とは?歴史とは?というテーマは大好物だ。ガタカ、マトリックス、A.I.、マイノリティー・レポートなどなど。作品に共感できれば「そうそう。そうだよなあ」。ちょっとちがうと思えば「信じるものがちがうなあ」。でも生きる世界は同じなんだから、お互いさまで生きていく。それでいいのだ。
ビジュアルは綺麗ね
映像クォリティー
吹替え版をBSにて。情報量が多いのでCMの間に情報整理しながら観れたのでよかったかも。
原作「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」からフィリップ・K・ディックを好きになったていながら前作の「ブレードランナー」は未視聴であったが、それでも十分楽しむことができた。
映像がとにかく素晴らしい。
映画館の大画面でしっかりと観たかった。
画面内に映るもの多いものの、映すもの焦点を当てるものがしっかりしており背景と混ざることなくクッキリと存在感を出している。
ホログラム映像などもすごいが、なにより砂漠のラスベガスが素晴らしい。
前衛的な巨大なシンボルが崩れている中を歩いていくK。不気味さもありながら、人の営みがかつてあったことを想像させる。
前半のサイバーパンク的な世界観から雰囲気がガラッと変わり黄色基調の画面が美しくも感じる。
それらの映像美だけでなく、ストーリーもしっかりと作り込まれており、一貫して『真実』について語っていたように感じた。
年数制限なく共感機能まで有するレプリカントは人間と何が違うのか。
人工知能だとしても愛し愛されることができる存在はモノなのか。それは偶然なのか?必然なのか。
今まで自分の経験だと思っていたことが実はそうでなかったとしたら、何を拠り所にすればいいのか。見ようによっては、「特別な存在」になるための、アイデンティティを見つけるための王道ストーリーにも見える、味わい深い話。
あとはとにかくジョイがかわいい。ジョイのような存在がいたら、結婚率はさらに下がりそうと思う。
あとやっぱりワイパーは既に進化しきった機能なんだなぁと実感した。
以下、印象的なセリフ。
「あなたは魂がなくてもよくやっている」
「文明の飛躍は使い捨ての労働力の上になされてきた」
「大義のために死ぬのは最も人間らしい」
前作と比べると・・
今日4DXで観ました。
まぁ、前作と比べるとどうしても・・ってのが、観終わった後の正直な感想です。
一番残念だったのが、前作はAI(レプリカント)が人間的な悲哀感を持ってたんですけど、今回の新型レプリカントは、何か人間より自分たちが超越的な存在って思ってる、ステレオタイプのロボット像に戻ってしまってたところ。
まぁ、主人公は違ったけれど。。
話としては何も解決してないってのも、モヤモヤ感の一要因。ウォレス社はまだ安泰だし。あの後、旧型レプリカントによる革命が起こるのかしら?
続編は・・さすがにないか。。
あと、4DXは久々で面白かったけど、この作品はやたら雨のシーンが多いので、4DXで観ると結構服が濡れます。
なので、デート中に観る映画ではないな、と思います(笑)
ひたすら美しい絵画を愛でる2時間半
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