ブレードランナー 2049のレビュー・感想・評価
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前作は観てからが吉
「メッセージ」の監督ドゥニ・ヴィルヌーヴによる
SF映画の金字塔作品「ブレードランナー」が35年振りの続編となって
復活するということだけで劇場で見る価値ありでしょう。
前作のラストより30年。(前作が2019年設定)
デッカードとレイチェルのその後を
新たなブレードランナー、Kが追うストーリー。
監督は前作のリドリー・スコットより変更しており
制作側に回ってはいるが、これはブレードランナーの
正式な続編であると言って問題ないでしょう。
美術面も含め、そこに漂う空気感は間違いなくかつてのそれです。
俳優陣もハリソン・フォード含め非常に良く、
タイレル社を買収しレプリカントの製造を務める
ウォレス社の代表にジャレッド・レト(「スーサイド〜」のジョーカー)、
Kの上司にロビン・ライト(「フォレストガンプ」のジェニー)など。
そして何よりKに取っての心の癒しジョイのアナ・デ・アルマスに
心を奪われる男性陣も少なくないでしょう。
劇場ならではの音響により重低音が響きわたり、
捜査によって闇から光が灯っていく様が表現されているようでした。
主人公Kの記憶を辿っていくと同時に
自分が何者かを探るのが本筋となって展開される。
またKは最新型のレプリカントで
非常に人間的であり、感情を時折強く出す。
寿命も前作の4年というくくりはなく、
数年生きる設定となっている。
ストーリー的には作られた模造人間が
生きる糧とは何なのか、目的となりうるものは何か。
人間が人間たりうるものは何なのかと
より人間の魂を感じさせるストーリーであった。
また背景や撮影がとても美しく
ダークなサイバーパンク都市を前作で描いたが
荒廃したラスベガスの赤い砂漠や空気などは
また格別の美しさがあった。
ブレードランナーのファンのみならずSFが
好きな方は是非劇場で体感して頂きたい。
面白いは面白いんだけど
ちょっと期待値が高すぎたのと、自分の個人的な好みとは少し外れていたというのもあって、☆3.5。
具体的に言えば、ちょっと思ってたよりアクションが派手というか、前作のデッカードが拳銃片手に刑事ドラマ規模のアクションを繰り広げる雰囲気が好きだったので、ちょっと油っこく感じましたかね。
同じリドリー・スコットからの続編他監督シリーズで言えば、『エイリアン』と『エイリアン2』みたいな関係にも似てる気がする。
と言っても、扱ってるテーマの面白みや深みは、SFど真ん中であり、ブレードランナー直系であるとはっきり言えます。脚本はとてもよく出来ていると感じます。
ちなみに前作の予習はしたほうが絶対に良いと言えるでしょう。
前作を知らないと結構置いてけぼり食らうのでは?と思います。
ついていけず
ジョイのかわいさ
後半、肩透かしを食っちゃったけど・・・
前作から30年経った2049年の地球・カリフォルニア。
使い捨ての労働力として作られた人間そっくりのレプリカント。
30年前は「より人間に近づけよう」として作られていたが、それはある種の行き過ぎを招き、レプリカントたちは反乱を企てるようになった。
そのため、感情も薄く、人間に従順な新型レプリカントが作られていた。
LA警察に勤務するK(ライアン・ゴズリング)もそのひとり。
彼の役目は、反乱を起こし、その後、地球で潜伏生活を続ける旧型レプリカントを見つけ、解任(始末)すること。
役目を果たす中、Kが見つけた旧型レプリカントの遺骨には、驚くべき痕跡があった。
それは、その遺骨が女性であり、出産した形跡があるというもの・・・
というところから始まる物語で、脚本は、前作の脚本をデヴィッド・ピープルズとともに担当したハンプトン・ファンチャーと、『エイリアン:コヴェナント 』の原案を書いたマイケル・グリーン。
人間とレプリカントを区分していることのひとつが、生殖による個体複製。
生物と非生物の区分線である。
遺伝子操作によってつくりだされたレプリカントであるが、生殖能力を持たないことから「非生物」と割り切ることが出来、それ故、労働力の対象となりえた。
しかし、生殖能力を得ることは、すなわち「生物」とみることが適切であり、したがって、「人間」と敵対する存在となりうる脅威である。
そのような理屈で、LA警察でのKの上司(ロビン・ライト)は、旧型レプリカントが産み落とした子ども(成長しているので、現時点では大人)を探して抹殺せよ、とKに命令する。
一方で、レプリカント製造技術を継承した会社のオーナー兼科学者ウォレス(ジャレッド・レト)は、生殖により制限なくレプリカントを増やすことができると目論み、その子どもを探すよう部下のレプリカント・ラヴ(シルヴィア・フークス)に命じる・・・
と物語は展開していく。
前作が、未来社会を舞台にしたハードボイルド映画として始まり、クライマックスで俄かにSF的有意が屹立したのと比べると、幕開けからSF的有意に満ちた映画になっている。
そして、レプリカントが産み落とした子どもはどこに居、誰であるか、産み落としたレプリカントとは誰で、その父親は誰なのか。
母親と父親は容易に想像がつくし、子どもが誰かも、観客側はおおよそ想像できる。
なので、主人公Kがそれを知った後のドラマがどのように展開するかが、観客側としての興味焦点。
だが・・・
ありゃ、あっさり、想像していたのと違っちゃった。
なんだか、肩透かし。
いや、まぁ、別に、そういう展開でなくてもいいんだけど、こちらは結構身構えて観ていたのでね。
石女(うまずめ)から生まれたレプリカントの救世主、その救世主による創造主殺し(父殺し)・・・
そんな西欧の宗教的観点が入った物語を期待しました。
なにせ、監督は『灼熱の魂』のドゥニ・ヴィルヌーヴだもんね。
と、後半の展開は個人的には肩透かしを食った格好だけれども、そこへ至るまでは映像も語り口も、まずまず満足。
特に、前作の人間とレプリカントの間の愛が、レプリカントとAIとの愛という一段高い次元になっている点などは、興味深かったです。
SF映画の真骨頂
ストーリーは前作より面白い
是非前作を観てから
寸評ではいろいろな意見はありますが 私もコアなファンとして今回の2...
素晴らしい!
素晴らしい続編
漆黒の近未来
あのブレードランナーから30年後の世界。
あの頃描かれていた、漆黒の近未来的な映像は、健在でした。
ただ、ストーリー構成の前半がやや間延びした感じでしたが、デッカードの登場あたりから、過去に遡ってのミステリアスな要素も含まれ、グッと面白くなりました。
ブレードランナーKにまつわる真実が、一転二転して、結局はレプリカントはレプリカント以上には、なれないということなのかな…。
最後はなんか、悲しさと切なくさが込み上げてくる感覚でした。
『ラ・ラ・ランド』とは全く違う、クールなライアン・ゴズリンの魅力も堪能できましたし、同じシリーズで30年以上も経ってるのに、準主役を演じることができるのは、ハリソンってやっぱり凄い!
人間の証明
リドリー・スコット監督の傑作SF『ブレードランナー』。
その30年ぶりの続編が遂に公開! おまけに、
監督ドゥニ・ヴィルヌーヴ、主演ライアン・ゴスリング、
製作リドリー・スコット、共演ハリソン・フォードという
ファン垂涎、海老8本入り天婦羅うどん並みの超豪華布陣!
(2つで十分なのに!)
2時間45分という長尺にはやや躊躇したが、実際に観ると
その贅沢な映像世界とエモーショナルなテーマに目が釘付け。
...
とはいえ、最初に不満点から書いてしまおうか。
終盤のアンドロイドの反乱が描かれないのは、
この映画がアンドロイド“K”を巡る私的な物語だ
としてもフラストレーションが溜まる。
盲目の創造主ウォレスのその後が描かれないのも
フラストレーションが溜まる。
オリジナルを知る故、「アクション映画ではない」と
割り切って観てはいたが、それでもカタルシスを
得るには最後の海辺の決闘では物足りず、フラ(以下略)。
あとは、アナが自身の記憶を基にアンドロイドの
記憶を制作していたなら“K”以外のそれにも彼女の
何らかの記憶が埋め込まれていたはずで、ならば
“K”以外のアンドロイド型ブレードランナーの記憶
についても触れてほしかった。登場しなかったが、
部隊名がある以上はたぶん居るよね、“K”以外にも。
...
ここからは気に入った点。
まずはその映像世界について。
オリジナルより30年後が舞台ということで世界は
ますます開発と荒廃と貧富二極化が進んだと見え、
2049年の街並みは電子回路のように無機質で、幾何学的で、
降り続ける雪も相俟って質の悪いエナメルのように灰白い。
猥雑な色合いのネオンと巨大なホログラム広告、
そのきらびやかな内容とは裏腹に、街行く人々の
姿はまるでスラムのように汚れてぼろぼろだ。
で、この荒涼たる退廃美にエレクトロサウンドが加わると
「ほあぁ……もっとずっとこの混沌の未来世界と
ズゥンと腹に響く重低音に浸っていたい……」
となる。ならない? なるんである(断言)。
琥珀色の様式的デザインと波の反射光が美しい
ウォレス社内部や、汚染地域のごみ山のような風景など、
『ブレードランナー』続編としての世界観は見事。
オリジナルを知る人間にはニヤリ&仰天のシーンもあり、
デッカード再登場(罠仕掛けすぎ)は言わずもがな、
ユニコーンおじさん(何だその名前)に加え、
まさかまさかのレイチェルも再登場!
(あれはCGだそうだが、ショーン・ヤング本人も
撮影現場でアドバイザーとして参加したらしい)
...
世界観の継承もだが、テーマの継承も肝要だ。
オリジナルで描かれたテーマは、
生きたい、何かを感じていたいと切望する
アンドロイド達を通し、『人間である』ことの
定義とは何かを問うものだったと解釈している。
『ブレードランナー2049』もそのテーマを継承。
主人公がアンドロイドであることを前提とし
(デッカード=アンドロイド説は明確には
示されていなかったしね、今回までは。)、
魂を否定される主人公が自分は何者かを探る展開、
さらには肉体すら持たないAIの感情をも描くことで、
より具体的に『人間とは、魂とは』を問う内容となっている。
...
ジョイについて。
”ジョー”を愛し続けた人工知能ジョイは大量生産品だった。
”ジョー”への愛情もそうプログラムされていたからに過ぎない。
だがそれでも、巨大なホログラム広告のジョイに接した
”ジョー”は、「これは彼女では無い」と感じた筈だ。
そしてジョイ自身も、自分が”ジョー”へ抱く感情が
偽物だとは考えていなかったと僕は思う。
(それはそのままデッカードとレイチェルの関係でもあるから)
極個人として見れば彼女は”ジョー”を本気で愛していたし、
雨粒を、世界を感じたいと(ロイのように)願っていたし、
肉体を持たない自分でも”ジョー”を悦ばせたいと、
自分の心を殺してあんな哀しい手段を取った。
大量生産された感情は本物では無いか。
そんなまがい物の感情には価値も無いか。
本当にそうだろうか。
言ってしまえば人間も、生まれた時からの好き好みは
遺伝子配列であらかじめ設定された結果かもしれない。
だがその先の、『大切なものの為に何を懸けるか』、
それは自分自身の選択なのではないか。
...
映画の最後、
恋人を失い、自身が特別である事も否定され、それでも
”ジョー”はデッカードを救い、愛する娘と引き合わせた。
なぜ俺の為にそこまで?というデッカードの問いに
”ジョー”は答えない。だけど思うに、理由はきっと、
『俺が人間ならそうするから』
誰かを愛し、それを失う痛みを知る。その痛みを
共有した他の誰かが幸せになる為に、己の命を張る。
こんな美しい不条理を為すのが人間でなくて何だと言うのか?
モートン、アナ、デッカード、そしてジョイとの出逢いを通し、
アンドロイドとして産まれた”K”は”ジョー”となった。
AGTC(遺伝子)でも0/1(コード)でも無い。
生まれでも無ければ製造過程でも無い。
人間であるから人間なのではなく、
人間らしくあろうとするから人間。
己自身が何を想い、何を為すかこそが人間なのだ。
...
どうしてもエンタメとしての見応えを求めてしまう性分ゆえ、
前述のフラストレーションは感じた訳だが、
『ブレードランナー』続編としても
『人間とは』を問う物語としても見応え十分。
大満足の4.0判定で。
<2017.10.28鑑賞>
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余談:
しっかしオリジナルの舞台が2020年だったから
遂に時代が追い付いちゃった訳ですね。ガッデム。
映画ほど悲惨な未来にまだなっていないのは救いだが、
宇宙開発も、自我を持つアンドロイドやAIも、
もうちょっとだけ先の未来かしらね。
車もしばらく、空を走る予定も無ぁさそうさ。
(どっかで聴いたぞそのフレーズ)
いきなり!ブレードランナー
と、某チェーン店風に書きましたが、正直な感想です。
主人公のレプリカントとしての葛藤やAIとの恋愛模様などもありますが、そんなものは付け合わせのコーン程度の意味合いしかありません。
本作のメインはSF描写、つまりブレードランナーの世界観の描写です。例えば、静謐で人工的な秩序に満ちた狭い室内からの、重低音あふれる混沌とした街並みへの切り替え。まさに“世界の壁”を、これでもかと描写しています。
そういったブレードランナーの世界観を、160分という大ボリュームで味わえる本作。正直興味ない方には無駄に長くて退屈に感じるとは思います。が、設定資料集を見ながらニヤニヤするのが好きな人には、たまらない作品になっています。
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