奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガールのレビュー・感想・評価
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ディテールの細かさと声を出して笑ってしまう瞬発力のあるサブカル恋愛コメディ
大根仁監督が「モテキ」以来、久々に手がけたサブカル恋愛コメディ。マガジンハウスを思わせるオシャレ系雑誌の編集部で働くコーロキ(妻夫木聡)が、ファッションブランドのプレス担当の美女(水原希子)の悪魔的な魅力に振りまわされていく様子が恋愛や編集者の「あるある」を交えながらコミカルに描かれます。100分というコンパクトな尺もよかったです。
ディテールの細やかさと、役者の魅力を最大限にいかした魅力的な撮り方で安定した手堅さがありつつ、時にそれらを全てすっ飛ばした瞬発力で思わず声を出して笑ってしまうところもあります。映画館で実際に声をだして笑う作品って意外と少ないと思っている自分にとって、本当に笑わせてくれるところが大根監督作品の凄さのひとつだと思っています。
ラブコメというより恋愛恐怖映画か!?
奥田民生がその音楽と行動で表しているような、何者にも動じない自分を持とうとしている男性編集者が、仕事で知り合ったセクシー美女に好かれようと、動じないどころか、昼夜を問わず振り回される。でもこれ、価値観の不一致とか、好きになった方が負けとかでもなく、出会ったのが相手次第で自分をころころ変えられるカメレオン女だったから怖いでしょう?というのがこの映画の問題提起。そんな女が本当にいるかいないかは別として、未だに理想の女性がこの世に存在すると信じている男の身勝手というか、ノーテンキというか、生来のロマンチストぶりがマジで痛い、これはラブコメというより恋愛恐怖映画。LINEの既読スルー、さらに直電、挙げ句の自宅訪問とエスカレートする"振られパターン"のリアルは、もっと痛いけれど。
これは、いったい誰を共感しろといいたいのか…
原作のマンガも軽く読ませていただきました。さわりだけね。驚くほどにそのまんま。妻夫木君の演技力も大したものですね。コミックの主人公になりきって、ちゃんとその場の空気を表現できている。
自分語り風に日常で起きたことを描いているので、どうしたって主人公の頼りない編集者に共感するしかないと思うのだが、惚れた女が仕事で揉めて、納まったと思ったら、メシに行くってどういう流れだ?(原作通りだけど)
しかも、その場で彼氏のDVを告白されたきっかけに、爆発的に付き合ってくれと迫り、あっという間に肉体関係。ずいぶん軽い女だこと。彼氏がいるのに、ノリで誰とでも寝る女が、「男を狂わせる」というのか。(これも原作のまま)
話が進むにつれ、出てくる人がことごとく絵空事のような薄っぺらい人物描写で、特に仕事に対するスタンスがどいつもこいつもオカシイ。笑えるという意味ではない。不思議で、不誠実で、非生産的で、不快だ。
私なら、こんな女一晩でもムリだ。別に水原希子がムリと言っているのではない。始めから天秤にかけられている状況で、浮かれている状況がムリだ。
持てるパワーをつぎ込んで、あらゆる角度から狂わせガールの魅力を見せようと努力しているが、同じようなエピソードの繰り返しになっていて、中盤、かなりダレる。肝心の男と女の精神的な結びつきがまったく描かれていない。どうして二人は惹かれ合うのか、何の理由もない。ただ、目の前にいただけの人だからとしか思えない。猿みたいに発情しているだけなのか。
お話しが進むと、狂わせガールのトンデモ奔放ぶりが露呈していくが、これも彼女の魅力のひとつなのか。男なら誰もが彼女に惚れ、自分のものにしようと悪戦苦闘し、周りが見えなくなる。これが、才能とでもいうのか。職場の人間関係大事だし、どんだけ身内とやりまくってんだよと、あきれることはあっても、惚れることはない。まともな判断力の持ち主なら、仕事のパートナーには成り得ないと分かるはずだ。それとも、そんな誰とでもつながっているような状況で、出来るほど、雑誌編集ってぬるい仕事なのだろうか?
ラスト、3年後の落ち着いたコーロキの姿に、「絶対嘘だ」と違和感を抱くのは私だけか。あんな仕事のスタンスで、ここまでの成功は手にできるはずもない。3年で、雑誌編集から、変名を使って、イベントアドバイザリーやコンサルティングにまで手を広げている。それでも立ち食いそばが美味いと言える質素な男は確かに魅力的だろうが、これだけ手を広げていて、価値観が乏しすぎる。
そば屋のカウンター越しに昔の自分を見て、まぶしさと悲しさに襲われ、町で偶然見かけたその後の狂わせガールには声もかけず、眉一つ動かさない。
この映画の価値観には、何ひとつ共感できない。
きこちゃんがめっちゃくちゃにかわいくて、ふりまわされる男たちにうぎ...
きこちゃんがめっちゃくちゃにかわいくて、ふりまわされる男たちにうぎゃーーー!となる。笑
男って、男って、、、うぇぇぇ〜〜〜と。笑
サブカル原作 meets 大人の事情
まず先に、大前提として原作のファンです。
原作の「奥田民生」と映画の「奥田民生」で、その言葉の意味が大きく変わる。まあ、色々あるだろうから仕様がないのでしょうが。大人の事情ですね。僕も大人なので分かります。
個人的には、原作ラストの畳み掛けるようなドンデン返しと、狂わされたオトコたちが繰り広げるスピード感あるコマ割りが大好きなのだけれど、映画ではもったりもっさり。大根監督、そういうの得意なイメージがあるから楽しみにしてたんだけど。そして松尾スズキなら、もっと狂気を表現できたのではないかと思ってしまう次第です。0.1mm浮いてる感(原作参照)が欲しかった。
安藤サクラの安定感は素晴らしいです。んで、キスしたくなる作品です。これは間違いない。
「原作→映画」で観るパターンって今まで多くなかったのだけれど、原作ファンが映像作品を避ける気持ちを教えてくれた作品。まあ何より大人の事情です。
こんな恋愛もあるよねw
ちょっとワガママで気分屋だけどめちゃくちゃ可愛い彼女、同性から見てもめちゃくちゃ可愛かったですw
男の子って単純。ちょっとヘタレだけど気持ちを素直にぶつける熱い感じを上手に演出してて良かった。
特に深く考えなくても観れるし、とにかく水原希子ちゃん可愛いかった!
長い人生、そんな恋愛経験があってもいい。
リリー・フランキーと松尾スズキが区別つかなくてもだいじょうぶだぁー。似たような俳優といえば、安藤サクラと江口のりこも似てるので、間違いやすい。
「私の彼氏DVなの」と告白されたために、守ってあげると言って即付き合うことになったコーロキとあかり。しかしコーロキが職場で浮かれてると、先輩の吉住(新井)が元カレだとわかったのだ。しかし、そんな難局を乗り越えて、仕事にも恋にも打ち込む奥田民生になりたい男コーロキは人生を楽しむ。
猫の話を書いてもらうために美上(安藤サクラ)ともすれ違い。余裕を持っていたら、土日の京都でのデートに間に合わなくなりそうだった。猫を捕まえ、美上に面白い記事を書いてもらえたのに、あかりとは別れることになった。「来てくれてありがとう」といった京都の宿に男のバスローブ姿があった。
そして最後は修羅場。吉住だけじゃなく、編集長(松尾)までもが同時にあかりと付き合っていたことが判明し、キレた編集長が吉住の顔を切り刻んで逮捕。雑誌マレは廃刊に追い込まれた。単に何股もかけていた女や恋愛ものと考えていたら、とんでもない展開に驚いてしまったが、収拾がつかなくなっても綺麗にまとめてあるところはgood。奥田民生みたいに生きられないんだよね。それにしても、水原希子のエロいキスシーンにはドキドキしてしまう。
「モテキ」の焼き増し。
「女は怖い」というような誘導と思われがちだけど、男の勝手な思い込みも同程度に怖い。モテキでやってたことと同じ。奥田民生の楽曲のつかいかたも好き嫌いは分かれる。ちょっとダサいなとおもってしまったが、ダサさがいいとも言えるのか?
作中で売れっ子編集者が「これからニコ生で対談なんだ」とドヤるのだが、ほんの2年(2019年鑑賞)でニコ生がこんなに衰退するとは思いもしなかっただろうな。
いや2017の時点でだいぶ下降してたんじゃ?
後半でてくる女が、惚れるにいたる描写もステレオタイプで失笑。
ヤリたいボーイと思わせガール
Amazonプライム・ビデオで鑑賞。
原作は未読です。
水原希子がハンパなくエロい!
…その一言で本作を説明出来るんじゃないか?(笑)
それはさておき、奥田民生のような生き方に憧れる青年と、彼を振り回す自由奔放なかわいい女の子の地獄のような関係性を描いた映画でした。あかりに振り回されて、コーロキは心身共にボロボロに。挙げ句の果てには、あかりは男に合わせて変幻自在に自分を装えるカメレオン女だったと云うえげつないオチ。クライマックスの修羅場は当然の帰結だったし、そこへ向かうテンションはかなり大根節が効いていて楽しめました。
もしもあかりみたいな女がいたら、絶対好きになってしまうだろうし、コーロキみたいに夢中になっちゃう自信がある。
でも気をつけなくちゃ。エラい目に合うのは確実なんだもんなぁ〜。自制しなければ(笑) …出来るかな?(笑)
――
立食い蕎麦屋でコーロキが号泣するラストシーンを観て、これは恋愛映画ではなく、ひとりの青年の変化と後悔を通して人の生き方について問い掛ける作品だったんだなと思いました。
なんか妙に誇らしげな都会
この監督の特徴で、業界の映画であり、都市の映画でもある。
モテキもバクマンもSCOOP!も業界で都市だった。
東日本では、東京でなければぜんぶ田舎といっても過言ではない。
畢竟、日本では、どんな分野であれ、多少なりとも野望があれば、高校を卒業する17歳辺りで、東京に出なければ、何もはじまらないことに気付く。
だから、みんな東京へ出て行って頑張った。必然的に都市生活者が優越を持つばあいがある。すると、なんとなく、そこはかとなく、「どや」が漂う。
コーロキが仕事と恋愛を通じて、ひとまわり成長するのが映画の骨子で、そこには普遍性がある。
が、その結論に至るのに、紆余曲折──というか阿鼻叫喚があり、ここまでスパルタンな経験をしなければ、業界では生き延びることができないんだよとばかりに、業界のキビしさと禍々しさが誇張される。
それがどやに見える。
分かり易く言うと、田舎者に対して「この緊迫感とスピード感が東京なんだぜ」と言っているような気配が、加えてその前に「田舎者のキミは知らないかもだけど」が付く感じが、──原作に依存するとはいえ、同監督の映画の特徴としてある。
これを俗にうがちすぎという。が、個人的にはモテキでもバクマンでもSCOOP!でも、この映画にもそれを感じた。
だがこの映画は、放恣な女性を、許容するかしないか、それが水原希子だったらどうか──に印象が集約している。
とくに魅力をおぼえないなら、業界をポップに活写した映画になる。エキセントリックだが過剰ではない。おしゃれだが庶民的ではない。都市だが、業界は不条理である。やはり強調されるのは一種の「どや」である。
ハインラインの「月は無慈悲な夜の女王」の、原題The Moon Is a Harsh Mistressには、夜も、女王も出てこない。結局Mistressが翻訳できないからこうなっている。かつて女教師と訳されていたこともある。
夜の女王と訳したのは苦肉の策であろう。英語の起源は知らないが、ボンデージドレスを着て鞭を持った女性を指す。すなわちSMファッションの女性である。
月世界の革命闘争を描くSFだが、タイトルを意訳すると「結果的に、月はわたしを徹底的に鍛えてくれた、きびしい教官だった」という意味だ。
月を擬人化し、闘争を教練としてとらえている。
世のなかの事態は、構造的に、敵や大きな厄介が、結果的に自分を鍛えてくれるばあいがある。コーロキにとってあかりは教官だったといえる。狂わせるガールがHarsh Mistressだったわけである。
一応、この映画もその構造を持っているが、素直には落とさない。木下編集長がコーロキとの会話で、好きな女に去られ、見返してやろうとの奮起が、こんにちの自分をつくったんだと吐露していたので、恋愛→失恋→成長の曲線を予期すると、狂わせるガールが、それを粉砕する。
あかりが江藤社長の「ゲロうま」をジェームスブラウンの「ゲロッパ」に変換して口まねするのだが、人を酒席で笑いものにする、あかりの卑しさを寸描したこのシーンは冷静だったが、因果応報とはならない。
だからもし水原希子が、それほどでもないなら、大きな不満足を覚える──かもしれない。放恣な女性を、許容するかしないか、それが水原希子だったらどうか──に印象が集約している映画、とはそういう意味である。
業界の不合理から、谷村美月がADとなって魑魅魍魎たるテレビ業界人のなかで生き延びる映画「明日やること ゴミ出し 愛想笑い 恋愛。」(2010)を思い出した。ラスト数分で逆転する荒唐無稽なコメディだった。この映画で溜まったもやもやを、すっきりさせるのにうってつけと思う。
水原希子ちゃん可愛い
大根監督作品に出てくる女性が好き。
水原希子ちゃん、江口のりこさん、安藤さくらちゃん。
チョロっと出演の天海祐希さんに、松本まりかちゃん。
みんなそれぞれの良さがあって、見てるだけで楽しい。
しっかし男子ってのは単純だなぁーって評価を読んで思いました。コーロキに共感するのかーって笑
まぁ、現実世界にはあかりのような見た目の人はいなくても、中身あかりみたいなのはいるんでしょうね。
ぶっちゃけ、女子会のあかりみたら、友達なりたいって思えるから、狂わせガールなあかりも好きになれそう。
奥田民生の曲をよく知らないし、彼の生き方も知らないので今ひとつその点は楽しめなかったけど、主人公の想いはよく伝わる映画やったかな。
濡れ場祭り、ありがとう。
・松尾スズキがいい人のまま終わるわけねえんだ
・自分の身を守るために、生きていくために相手に迎合して演じるという部分は、男女問わず誰しもあてはまるところがある
・得体の知れないサイコパスな輩に翻弄されるサスペンスだけど、このサイコパスには誰もが共感できるところがあるのが、おもしろい
・妻夫木くんがかつてのまっすぐな自分をみて泣いているのか、女を思い出しているのか、悲喜こもごもな泣き顔がよかった。しかも場所が吉そば。
・人は人を見たいようにしか見れない
・人を見たいように見ようとして、何が本当かわからなくて、得体の知れない奴に翻弄されまくるって、「三度目の殺人」と同じ構造じゃないか
・今の時代に、ピンク映画を作るとこうなりますという作品なんじゃないか
・エロまっしぐらだとイカ臭い作品になっちゃうけど、奥田民生という要素がそれをいい感じに脱臭してる
楽しい大根仁の世界
なんか最後は無理矢理な感じはするし、浅い話の積み重ねでしかない、しょうもない話。ただこの話って現実のしょうもない話と比べれば、かなりハイレベルであり得ない。大根仁監督の作品と聞かなくてもわかる、味付けが上手くまとめた感がある。キャストも上手い下手では無いキャラを絶妙に演じてたと思う。
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