愚行録のレビュー・感想・評価
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人間の愚かさ
終始淡々と、そして暗鬱な雰囲気で物語が進み、どんどんと引き込まれていったところでアッと展開が変わって騙される。よい映画でした。エンターテイメント性もまずまずながら、これはやはり作品の風刺性というのか、込められたメッセージや意味を考えながら観る映画です。ぼーっと観ていると、終わったあとん? と思ってしまうかも。
登場人物ですが、どの方も演技が上手く、変に若手の人気俳優など起用していない点に好感を持てました。やはり特に妻夫木さんと満島さんの演技力は圧巻。妻夫木演じる主人公・田中は、ほぼ表情もなく、台詞も少ないのですが、ダークさ、心の奥底に隠し持つ闇のようなものを見事に感じさせてくれました。冒頭のバスのシーン、心底怖かったです。満島演じる光子も怖かった。心を壊した光子の、空を見ているような据わった瞳が印象的です。
個人的には、小出恵介さんがゾクッと来ましたね。普段明るい役柄ばかり拝見しているので、そのギャップで恐ろしくなりました。
物語の内容は案外わかりやすく、犯人像など序盤でほとんど検討がつきました。なので、本格ミステリーというか、謎や真相を解き明かす過程が好き、というような方はがっかりされるかも。
それにしても本当に、人間の愚かさを存分に知らせてくれる話です。出てくる人物人物、皆最低で不気味です。それでも、彼らの一人一人の姿は、必ず観ている私たちに当てはまります。私はどのタイプなのか考えてしまいました。
冒頭シーン
冒頭のバスのシーンは秀逸。見事に騙されました。
皆んなが皆んな愚行。
あまりの愚行ゆえに騙されまくりました。
妻夫木さんと満島さんはとでも良かったですが、大学生の満島さんはちょっと違和感かな?
自分が階級社会とは無縁故にか?
もしくは満島ひかりのルックスがあれば、ルックス格差社会の上級コースに乗れるのでは?という違和感か?
私も秘密大好き。
決して他人事ではない。
人間がしでかす愚かな行為の記録。
人はなぜ嘘をつくのだろう。
自分に都合のいいように嘘をつく。
自分にとって都合の悪いことを聞かれると反射的に嘘をつく。
バレると分かっていてもその場しのぎで嘘をつく。
平気な顔して嘘をつく。
ましてや自分は嘘が上手いと思い込む。
日常的に嘘をつく人は罪悪感なんてこれぽっちも感じていない。
嘘で物事が平穏に進めば、それでいい。
みんな嘘大好き。自分のことばかり。
そのくせ自分のことは何も語らない。
人のことは自慢げに他人に話す。
自分しか知らない他人の秘密は話したくてしょうがない。
ホント人間てどうしようもなく自分勝手で哀れな生き物だと
つくづく呆れる。
嘘をついたら回り回って自分に返ってくるということか。
現実社会の殺人事件の容疑者は動機の理由を口を揃えてこう答える。
「殺すつもりはなかった。」
やはり、ぷつんっと頭の中で何かが切れてしまうのだろうか。
エンドロール流れる静まり返った空間。嫌な気持ちになった。
そういえば妻夫木くん、最後の光子との面会シーン。
過去最高の表情。なんとも言い難い、情けなくて、不憫で、愛おしい。
救われてないのに救われた気持ちになった。
いい味出てきましたね。妻夫木くん。
二度観に行ってしまいました・・・これって愚行?
好きです♪
とても良かったです。暗い、嫌な気持ちになる感じ、雰囲気、どれも私 好みです。「怒り」に似たところもあると思いました。犯人は誰かな?と見る側に推理させて、衝撃の事実を突きつけられる流れ。好きです 笑
妻夫木聡(主人公)の暗くおとなしい性格。声 小っさいな~と心の中で突っ込みながら見てました(笑) そんな彼が妹のために取った行動は素直に衝撃を受けましたし、満島ひかりの演技も大変リアル(自然)で、この2人だからこそかな、と思いました。
気になったのが学生時代の なつはらさん。
大人っぽくて大学生には見えません。笑
他のキャストは見事に学生を演じていたと思います(とくに臼田さん)。
とにかく私が好きな雰囲気の映画です。
こういうのはデートには向いてないのかな、とは思いますが 笑
連鎖していく
救いようのない後味の悪ーい作品。(良い意味)
何とも切なくて悲しくて虚しくて。
それは、特別ではなくて、普通の人が経験してもおかしくはない事の蓄積により連鎖していく闇の心。
ここもか、ここもか、と繋がっていく感覚はとても気持ちが良かったけれど、なんとも胸糞悪い話です。(良い意味)
主演お二方の怪演あってこそでした。
どんな言葉を並べても褒めているようには聞こえないけれど、とても秀逸な作品でした!
愚行録の真理
まず田中は確信犯だった。取材はあくまで表向きであり、真の目的は光子が関与している事を知る人間を消すことだった。宮村から光子が関与している一報があった時、田中は眉1つ動かなかった。光子が犯人である事を知っていたからだ。そして煙草の細工は計画的だった事を表していた。さて、この作品の最大の見せ場は冒頭と最後のバスのシ--ンである。冒頭のシ--ンは田中のスイッチが「ON」になった事、最後のシ--ンは「OFF」になった事を表している。今から愚行を極める田中、そして目的を達成した田中。更に最後のシ--ンにはもう1つの意味が隠されている。我が子が死んで安堵していたのである。これこそ究極の愚行である。光子の独白がその事に対して悲観的でなかったのは、光子も安堵していたからだ。監督はこの全く救いの無いスト--リーを何とか商業作品とするために、出来るだけ美しい映像と直接的な暴力描写をわざと無くしていた。そしてその演出を全て理解し演じていた主演の二人に心から拍手を送りたい。
… 動機が陳腐。
妻夫木聡、満島ひかりの共演はとても観がいがありました。
ただ、一家惨殺事件の真相を解明して行く内容にしては、大学生の恋愛とか児童虐待のトラウマとか… 一家惨殺まで結び付けるには動機が陳腐であまりにもステレオタイプ。
現実にこういった事件があるだけに、もっと掘り下げた物を提示して欲しい。そのてん同じテーマの李相日監督の『怒り』はその意味を考えさせられる作品でした。
近年の邦画のコマ割りデザインのポスターがダサすぎ!
ストーリーより、誰が出ているかによって観客動員に結びつくと言う、観客の映画を選ぶ能力低下による物なのだと思うが… どの映画も同じにしか見えない。
ポスターは作品の世界観を伝えるイメージビジュアルでもある訳なのだから、映画会社ももっとプライドを持って作品のイメージを創りをして欲しい。
「怒り」に続く胸糞良作
女に生まれなくてよかった!←
※あんちブルゾン
大学生ってこんな遊んでんの?笑
おれ大学生だけど
バイトしかしてないよ?
予備知識見ない方が
三度の衝撃を味わえますね。
お前の身内いいから早く事件のこと捜査してって思っちゃいました☆
ただ、フィクションなんでしょうがないですけど登場人物の関係性が出来過ぎですね(^_^;)世界は狭い!w
冒頭のバスとラストのバスのシーン好きっす!変化してますね。
んー悲しかったー。
去年の「怒り」に続き
日本胸糞界も盛り上がってきたw
妻夫木くんゲイ役から愚行録に、、
この人すげぇわwww
恐怖
最初のバスのシーンから
妻夫木聡の演技に恐怖を感じた。
また満島ひかりの独白にも
ブワァッと鳥肌が立つ。
登場人物全員が
普通なんだけど、嫌な奴
ばかりでリアリティがあった。
観終わってから、
愚行録というタイトルの
秀逸さに背筋が凍った。
嫌な奴しか出てこないイヤミス映画
とにかく登場人物がほぼ嫌なやつしか出てこない。惨殺された感じのいい夫婦と評判の二人について主人公が調べていくうち、女癖が悪く野心的な夫の過去や、向上心が強く他人を踏み台にしてきた妻の学生時代などが浮かび上がり、主人公と妹も虐待を受けていた子供時代が明かになっていく…。
元々の原作も緻密な構成のミステリーと聞いてたけど、それを上手く映画として再構成したなという印象。主演二人の怪演など、役者陣の演技も良い。ただし過去話の、特に学生時代のシーンが多く、それを現在と同じ役者が演じてるので、学生にしては年取ってない?っていう違和感は正直あり…。
ただその辺の作りの粗さを考慮しても、傑作イヤミス映画と呼んで申し分無い面白さ。ポーランド国立映画大学出身の石井慶監督はこれが長編初作品らしいけど、そうとは思えないほど、カメラの動線のシーンの繋ぎの巧さ、印象的なショットやローアングル、音楽の効果…映画として非常に丁寧な作りだった。
ミステリーが好きな人、イヤな気分に落ちたい人には、自信を持ってお薦めできる映画でした。
俳優陣がすごい
この映画の場合、「後味悪い」は俳優陣への褒め言葉でしょう。
明確な悪意を持っている人間のほうが物語としては理解しやすいですが、そういう単純な人物は登場しません。
だから難しいと思うんですが、微妙な感情やエピソードを表現するのがどの出演者も自然で上手すぎ。
いい暮らしがしたいとか軽んじられる人間にはなりたくないとか、自分が可愛いから多少後ろめたくてもとか、観ていてつい「仕方ない」と思ってしまいそうになります。
ストーリーは意外とあるようで無かったです。
人間の愚かな行いを描くための設定を、少しずつ出していく感じで進みます。
感想を引きずりそうな予感がある方は、誰かと一緒に観て、食事でもしながら発散することをおススメします。
殺されたのは成功者?
特に観る気もなく、たまたま残業帰りにやっていたという、消極的観賞。
決めては満島ひかりとダーク調の画が良さげという事。
大学生の描写としては皆、ハツラツさに欠けていたような。
実際の惨殺描写が少ないのが良いところ?
親になると、子まで殺すことないんじゃないの?と、作り事ながら思ってしまうが、具体的描写がないのは許せる。
ダーク調の画は良かったが、学生がチャラチャラやっているところは、もうちょっとヒラヒラしたライティングが良かったかも?
土地開発を目指す男の住居としては、随分殺風景と言うか安っぽいと言うか?まぁ絵空事のような家族の死に場所として、的確な描写だったのかも。
まぁまあ楽しめた。
兄貴、事情を知っていての行動なら、ちょっと怖い。
愚行、、録、?
人間の嫌な部分、愚かな行為、最悪的状況を掻き集めて、これでもかというくらいに劣悪に仕上げている。過剰なくらいに。
その意図が読めてしまい、興醒めしてしまった感がある。
ストーリー展開は在り来たりであるし、
虐待された人間が殺人を犯すという内容、、
やはり、あくまで映画であって、それ以上何も残らなかった。個人的に。
バスのシーンは良かったと思う。
人間性の描写としてはよく出来ている。
妻夫木くんと満島ひかりの演技は素晴らしかった。
満島ひかりさん
原作を読んでから映画を見た
あまりにも話し方もそっくりで原作から飛び出してきたのではないかと疑うくらい満島ひかりさんの演技は素晴らしかった
これだけでわたしはかなり満足
原作とは違う点、省略されてる点がいっぱいあったので、原作も読むべき
そうすればたぶん映画で何を言いたいのかわからなかった人も納得すると思う
繰り返しになってしまうが満島ひかりさんの演技力にほんとに感動した
俳優たちの演技力に圧倒された
原作小説を読んでから映画館で鑑賞した。
際立っていたのは、妻夫木聡と満島ひかりの演技力だと思う。主人公の田中は、原作ではインタビュワーなので、一回も発言をするシーンがなかったため、映像化に当たって演技することは難しいのかなと思った。しかし妻夫木さんはそのような難しい役を見事に演じ切っていた。登場人物の「愚かさ」を引き出す優秀な聞き手としてだけではなく、自分自身にも闇を隠し持っている主人公の二面性が十分に感じ取れた。また、満島ひかりは心が壊れた人間を見事に演じ切り、特に終盤の罪を独白するシーンは圧巻だった。
妻夫木さんと満島さんだけではなく、登場した全ての俳優さんが、演じる役のイメージとぴったりだった。個人的には、夏原さんの取り巻きだった中山さんの女優さんのチョイスは(誠に失礼なのだが)絶妙だったと思う。
作品に登場する人たちは、当然みんな愚かな行為をしているのだが、とりわけその行為自体を愚かだとも思わず、武勇伝的に語っている姿を見ると、より一層愚かに見えた。特に、田向が渡辺と一緒に邪魔な女を貶め、その後二人で行きつけの居酒屋で笑いあっている姿には正直ぞっとした。人の不幸を平気で笑うような悪魔のような、性根が腐った人間にはなりたくない。
しかし、人のことを外見や学歴、家柄で判断したり、人を貶めてよい生活を送ろうとする行為は決してフィクションではなく、現実の世界でも十分起こりうるし、私自身にも心当たりがあることなのだ。そのことを考えはじめて初めて、この小説の本当の恐ろしさに気づかされた。
原作を未読で映画を見た方は、ぜひ小説の方も読んでほしい。映画では拾いきれなかった箇所(光子がなぜko大学に入れたのか、夏原さんの結婚後の「愚行」・・・etc)がいくつかあるので、映画と原作の2度楽しめると思う。
全260件中、161~180件目を表示