愚行録のレビュー・感想・評価
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闇闇闇
人間の闇を立て続けに見せられたなあ。ただどこかで聞いたことあるような、そんなにありえないほどでない闇。人の闇。飲み込まれていく。
胸糞悪くなる映画で紹介されていたが、その通りではあった。
が、人は闇を持っているものではある。。
悲し過ぎる映画でした
愚行録、タイトル通り本当に愚行なんだけど、あまりにも悲しい。兄は妹のためにどれだけの愚行を繰り返しているのだろう。虐待で亡くなった子供をなんとか産みたかったのは、唯一,心を許していた兄の子供だったからなんだとわかった時,悲し過ぎると思った。兄も妹を慰めたくて抱いたんだろうな。そして子供が死んでしまった時の2人はなんとも言えない安堵の顔だった。
一方、この兄妹を取り巻く人間たちの愚行は,なんと下衆なことだろう。壊れてしまった妹を守るため,兄は生き続けるのだろう。
救いがないこの映画だけど、嫌な感じはなく悲しみに包まれるのは、主演の2人の演技力かもしれない。個人的に満島ひかりちゃんが好きだからかも。
登場人物の大半がクセのある人間で最後まで飽きることがなかった。 一...
登場人物の大半がクセのある人間で最後まで飽きることがなかった。
一家惨殺事件の被害者の男がかなりのクズ男で笑うしかない。
主人公の男もなかなかのサイコパス。
一見の価値のある作品。
闇と傷
週刊誌記者の山本武志(妻夫木聡)は、1年前の未解決殺人事件を
再調査していた。
彼は実は犯人を知っていて、その犯人と疑う人物の確証を掴むために
再調査していたのではないのか?
私は観終えて、そんな感想を持った。
事件①
一年前。
エリート会社員・田向(小出恵介)妻(旧姓・夏原さん)と女児が惨殺された。
山本は田向と妻の交友関係を調べて人となりを探ってゆく。
すると田向は女友達を次々と変えて、ガールフレンドの父親の伝手で
就職を画策したりする男だった。
妻の大学時代の学友の宮村(臼田あさ美)からは夏原さん(田向の妻)の
良からぬ噂と恨みつらみを聞かされることになる。
大学の内部生と外部生のヒエラルキーは置いておくとして、
宮村は恋人中村倫也)の心変わりが夏村さんのせいだと考えている。
宮村と面談を重ねるうちに、
「夏村さんから酷いダメージを受けた女子学生がいた」
との証言を得る。
事件②
山本光子(満島ひかり)は父親の知れない子供を出産して、
その後その乳児が頭に酷いダメージを受けたことから、乳児虐待を疑われて
収監されている。
精神状態に異常がみられて精神鑑定を受けている。
光子は実は武志の実の妹で、小学校高学年から実父の性的虐待を受けていた。
兄の武志はそのことを薄々気付いていたが、自身も父親から暴力を振るわれ
高校3年になったある日、父親をボッコボコに痛めつけて、
それをキッカケに父親は家を出て行く。
拘置所に何回も面会に行く武志。
武志の鬱屈と心の歪みは、見ていても痛ましいほどだ。
妻夫木聡は冒頭の、バスで老女に席を譲るように促されて立ち上がり、
通路でよろけて這いつくばり、降車後は大きく足を引きずる。
バスが遠ざかると健常者として普通に歩行する。
彼の心の歪みをまざまざと見せつけるシーンだ。
宮村の証言の女とは?
光子は父親の失踪後勉学に励み夏原さんや田向や良家の子女が多く通う
有名大学に進学する。
夏原さんとその取り巻きに憧れを抱く。
光子は美しかったからヒエラルキー最下層ながらも夏原さんから
仲間に入れて貰う。
しかしそれが実は、良家のお坊ちゃんたちの性奴隷的ポジションだった。
夏原さんは男の子たちに光子を斡旋して利用していた。
その宮村の証言を無表情に聞いていた武志は、突然近付き宮原を
撲殺する。
さらに光子の弁護士橘(濱田マリ)が武志と光子の母親の再婚先に向かい
聞いた事実は時雨劇的だった。
光子の子供の父親は武志なのだった。
証言から浮かび上がる田向夫妻の裏の顔と実像にも驚くが、
武志と光子の心の傷と闇の深さにも驚愕する。
この映画(原作小説)は実は現実にあり得ることで、様々な事件の背後には
こんなあり得ないような闇の事実が潜んでいるのではないでしょうか?
人間の負の感情の強さと、それが増幅する様はリアルでした。
石川慶監督はこの後「蜜蜂と遠雷」を撮り、
妻夫木聡を主役に「ある男」で、高い評価を受ける。
冷静な犯罪に底知れぬ恐怖感
真相が分かってくるほど、気持ちが沈むが、引き込まれていく。主人公の目線を通して、種明かしをしたい気持ち。そして、そういう落ちかい。実は主人公も、もちろん妹も歪んでいたんだ。
でも、その歪みって誰でもあって、登場人物もおかしいと言えばおかしいかも。たとえ犯罪にはならなくても。登場人物それぞれについて語り始めたくなる。
不安定な感じのカメラワーク、犯行を見せず語らせる構成は原作なのか? パッチワークのようにつないでいく構成は秀逸。
満島ひかり最高!!
光子の唯一の希望は「好きな人と、好きな人に似た赤ちゃんと3人で暮らしたい」。
光子が子どもを産んだあと、兄は妹と赤ちゃんと一緒に暮らしていなかったようだ。
(原作では描写があるのか、読んだ方は教えてください。)
酷い環境で育った妹にとって、一人で子どもを育てることは難しいだろう。そんなことは容易に想像できたはずの兄が、妹と赤ちゃんを放置していたのか?
だとすると、光子のネグレクトと、二人を放置した兄の罪は根が同じだ。
冒頭のバスのシーン。兄は他人を傷付ける人間に対して、罪悪感を与える形で報復する。
同じ思考で、妹との間に子どもをつくり、放置した自分への報復として、罪悪感を持ち続けることを自分に課しているように見えた。
光子の無垢で饒舌な独白シーン。あの調子で、光子は兄に一家惨殺事件の真相を語ったはずだ。
二人は2つの秘密(千尋の父親と一家惨殺事件の真相)を共有した。
そして兄は光子の罪を自分の罪として丸ごと引き受ける。真相を隠蔽するためならどんなことでもする。
固い絆で結ばれた秘密の共有。それが光子に残されたたった一つの生きがい。独白のシーンで、光子の“これは大好きなお兄ちゃんとの二人だけの秘密だから、精神科の先生に言わないように気をつけなきゃ”って表情が、全てを物語っていた。
千尋ちゃんが亡くなったと聞いても、“秘密が一つなくなっちゃった”くらいの反応だった。
さて、慶応組と早稲田組はどちらも傲慢で下劣なエセエリートたちだった。「ああはなりたくない」のはお前たちのことだよ。
ラストのバスのシーン。狂気は我々の日常に潜み、平凡な顔の乗客に混じっている。
人間の本性をえぐる作品
人間とは優しく美しくしかし醜く悲しいものです。人間の醜い部分をまじまじと描く作品です。日本映画は暗いものが多いが、この作品は暗いがしっかり響く。そんな重厚感ある作品です。ただ怖いし、悲しい。
【”日本の社会は格差社会ではない、階層別社会である。”何気なく日々を過ごす愚かしき若き男女たちの表層的な姿と真なる実態を抉り出した作品。。間違いなく、満島ひかりさんの代表作であろう。】
ー 私達は、日々平穏なる生活を送っている。が、もしかしたらその中には羨望や嫉妬、駆け引きなどが介在しているのかも知れない。-
■エリートサラリーマンの夫、美人で完璧な妻(松本若菜)、そしてかわいい一人娘の田向一家。
そんな絵に描いたように幸せな家族が、ある日何者かに惨殺された。
事件発生から1年後、週刊誌の記者である田中(妻夫木聡)は、改めて事件の真相に迫ろうと取材を開始する。
◆感想
・今作は最近流行りの言葉で言えば、マウントを取り合う若き男女の愚かしき行為を描きつつ、哀しき過去を持つ女性(満島ひかり)の遣るべなき怒りを描いた作品である。
・彼女のジャーナリストでもある兄(妻夫木聡)が、足を引きずりながら歩く姿も、彼らの愚かしき父親の仕業であろう。
・出演する大学生たちの、”軽い人生観”はこの作品に趣を与えている。
一方、その軽き人生観の元、生きる男女を嫉妬と妬みを持った女性を満島ひかりが絶妙に演じている。
ー 獄に囚われた彼女が、自ら犯した忌まわしき事件を淡々と語る姿。-
<今作は、イヤミスどころではない、鑑賞後の嫌悪感と、哀しみが身に沁みる作品である。間違いなく、満島ひかりさんの代表作であろう。>
ブッキー凄い
2022年12月20日
映画 #愚行録 (2016年)鑑賞
一家惨殺事件と妹の逮捕という2つの事柄が並列に描かれており、その後の展開がどうなるのかと引き込まれていく作品でした。
しばらくしてから原作読んでみようかな
愚かさ
なにかしら行為そのものを言い訳して、正当化してしまうことなのかも。
この作家さんはいつもストーリーが良すぎて終わりが物足りなく感じてしまいがちなのです。そこを脚本が上手くカバーして着地してるのが素晴らしい。
不快で衝撃的なはずなのに、一定の温度で不協和音を奏でてるところが上手いなーって思う。
厚みや濃度がちょうど良くて、後から、じわじわくるのが、イヤだぁ
しかし、この監督さん上手いね。そして、主演の2人も巧いゎー
いつでも、誰でも殺られる可能性はあるよね。
タイトルと内容がぴったり
天気の良い日の朝から見るには胸糞悪い内容だったけど、作り話としては落ち度のない完璧な内容だった。
出演者全ての愚行をリアルな映像をあえて映さず脳内で想像させる作りになっていて、生々しい映像を見せられた後よりもじわじわずっと後味が残る。
ひとりで見た方がいい。
こんな演技できる俳優さんてやはりすごい。
映画ってすごい。
原作、怖くて読めない。
こういう独特な役って、やっぱり満島ひかりはうまいなぁって思う。 終...
こういう独特な役って、やっぱり満島ひかりはうまいなぁって思う。
終始愚行だらけ。踏み外すようなことをしない限りは人間誰もがもっている部分があるかもしれないけど、そう思うと人間の嫌な部分がすごく出てる。
ラストも後味悪い終わり方ではあるけど、嫌いではないかな。
現代日本人のリアル過ぎる本性
今作は、夏目漱石や太宰治の私小説を読んだ時のように、胸に突き刺さる言葉の連続であり、衝撃的な作品である。
週刊誌記者である主人公・田中武志(妻夫木聡)は、育児放棄で拘留中の妹・光子(満島ひかり)を気遣いながら、一年前に起きた一家3人惨殺事件の真相を追っていく。彼は関係者から被害者夫婦のことを聞くうちに、殺害理由が思い当たらないくらい善良な夫・田向浩樹(小出恵介)と妻・友季恵(松本若菜)の知られざる本性が次第に暴き出され、真犯人に迫っていくが・・・。
被害者夫婦はともに有名私立大学出身であり、付属学校から進学した学生だった。彼らとは異なり難しい大学入学試験を突破した一般学生との差が事件の背景になっている。現代は、貧富の差が拡がった格差社会だと言われているが、本作では、更に進んで、死語になった感のある、身分、階級、生い立ち、という言葉が飛び交い、実際に人々を苦しめている現実が露呈される。特に、主人公達家族の状況は、現代の家庭問題も反映していて悲惨であり、平等という言葉が空々しく聞こえる。
一年前の事件のことであり、インタビュー形式で、関係者一人一人に別々に話を聞いていくので、関係者は本音を吐露する。他者に遠慮しない建前なしの辛辣で自己中心的な本音は、聞いていけないものを聞いてしまった衝撃があるが、我々にもそんな感情が潜んでいることを否定することはできない。彼らの喜怒哀楽の少ない淡々とした話しぶりが不気味であり、凄味があり、何よりリアリティがある。眞島秀和、臼田あさ美、市川由衣など、芸達者の役者たちの演技力が光る。特に、妻夫木聡と満島ひかりの演技は出色の出来であり、大袈裟ではない抑制の効いた台詞、あまり変わらない表情で、心の中に秘めている憤り、怒りを見事に表現している。
真犯人の独白シーンが際立っている。何と表現すればいいのだろうか、人間の持っている全ての負の感情を詰め込んだ、切々とした独白は戦慄であり鳥肌が立つ思いがした。
観終わって楽しい気分にはなれない。しかし、絵空事でない現実を観たという実感が残る。リアル過ぎる現実に圧倒される作品である。
誰かしらに共感できる
カット編集版を見ました。
個人的には好きな系統の作品です。
この映画の良いところは、登場人物が語り、その中で見える愚行部分について、どこがしらで共感できる部分がある所だと思います。
自分のためにする、小さな愚行が積み重なるとどこかで自分の首を絞められることがあるかもしれない、と考えさせられる部分もありました。
☆3にしたのは、あと一歩物足りない感じがしたからです。
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