聖の青春のレビュー・感想・評価
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実話として面白いけど、映画としては?
視る人の視点の置き方による作品
最高のコスプレショー
雰囲気映画
映画になったことが嬉しい
それほど将棋に詳しい訳ではないのですが、村山聖棋士の活躍をニュースで何度か見たことがありました。訃報を知ったときも悲しかった覚えがあります。それはこれほど才能があって片鱗も見せていても、誰にでもわかる実績がなければ、将棋に興味の無い層からは忘れ去られてしまうのだろうなという想いからでした。
小説と映画では結構違いがありますが、僕はそれで良いと思います。映画はまず将棋に興味のない層に、村山聖という羽生名人にも劣らない凄い棋士がいたんだという事を知ってもらい興味を持って貰う機会。そう考えれば映画の構成は納得の出来です。小説は村山聖という凄い奴が居たんだという知識を前提に読んだ方が絶対に感動できますから。
ガリガリガリクソン
天才ばんざい
生と性
『聖の青春』(2016)
村山聖棋士が生きて活躍していた頃から、29歳と訃報が載るまでの時期にもメディアを通して触れていたわけだし、大病を抱えながらのおおまかな彼の個人史も知ってはいたけれど、そして本人の顔もメディアを通してみていた人で。今ではネットで検索すれば出てくる事ではあるが。こうして実話をもとにした映画で壮絶な生き方をみると辛い。将棋が出来なくなることと、子供が欲しかったのにできなくなるという二重の苦悶から手術に抵抗し、しかし手術を行い。手術で一度死から遠のいたように思えたが、再発してしまった。実話なのか、羽生棋士に勝利した後で、羽生を誘い、食堂で語り合ったのは。古本屋の娘とも言葉を交わすだけで男女の恋愛物語ではまるでなかったが、そうした淡いエピソードや、なにより子供が出来なくなってしまう状態で手術が必要なんだと言われたときの気持ち。これは恋愛の出来なかった人の恋愛物語でもあったし、最期を看取る村山の両親の夫婦愛が表されているし、途中で羽生が人気アイドルと結婚する挿話があり、将棋という勝負の他の、男女のある人生の風景が、未遂の物語ながら逆に強く感じさせられる。羽生との最後の対戦には看護師が控えていた。20キロ増量して臨んだ松山ケンイチと相手役として東出昌大。見事な演技だった。棋士の仲間たちとの関係性もみせる。生と性、ともかく存在が実在しているのを思い起こさせる。
確実に読める所までは読まなければ負ける
役者は熱演、監督も奮闘してるのにクライマックスの演出が…
実在の早逝した棋士、村山聖を題材にした作品。ドラマ化、舞台化もしている。
昨今の棋士関連のニュースを見るたび思うのですが、やっぱりちょっと凡人には想像つかないほど、厳しい勝負師の世界。村山聖はこの作品以外にも、複数の将棋作品でキャラクターのモデルになっている人物。
→https://ja.m.wikipedia.org/wiki/村山聖
棋士に限らずですが、勝負の世界で生き残るだけでなくトップ争いができる人々というのは、それこそ凡人に想像つかないくらい、信じられないくらいの負けず嫌いであり、それでいて偏屈か変人の筈ですよ。元々の才覚がある上に、人並み外れた情熱と努力を傾注できるからこそ、その場にいる。そういう人々がもしただの「いい人」に見えるとしたら、それは彼らが日本人らしく負けず嫌いな面を表に出さないよう(自然と)訓練してきたり、いろんな人たちの視線に晒されることでどう振る舞うか発言すべきか身についているからです。ただこういったことは勝負事の世界では副次的な事であり、本作の村山聖はこうした側面を切り捨てている人物に描かれているので、いわゆる映画的な「好かれる主人公」とは当然違います。
その上で松山ケンイチは相当な覚悟と熱量を持って、彼を演じていることがわかる。話題になった20kg増量というのもその表れの一部に過ぎず、最も驚いたのは後半、髪を切ってからの表情。もはや松山ケンイチの顔ではなかった。
彼に相対するのが、東出昌大演ずる羽生善治。東出はハマり役。正直、彼は台詞芝居に難あり。しかしこの役者の雰囲気・外観を存分に活かした撮り方をした森義隆監督にも、もちろん東出本人にも、大いに拍手したい出来でした。
なのに、なぜクライマックスでくどくどしく、もう見た映像を回想シーンとして入れてしまうのか…。ここがかなり台無しでした。いやいや、大半の観客はそのシーン頭の中で想起できてるから。わざわざ提示しなくても。
こういうところをついつい「邦画の悪癖」と呼んでしまいたくなるんですけど、要は観客を信用してないんですよね。2時間強の映画内で、どう考えてもストーリー上重要だったシーンを、もう客が忘れてると思ってる。だとしたら客が寝てる前提だろと。2時間ドラマじゃないんですから。そう思ってるのが監督なのか、配給会社側なのかは定かじゃないですけど。
役者の熱演を、派手さを抑制した映像が光らせていただけに、大事な場面での演出が残念でした。
音と表情
最初のシーンはいらない、「人や」のセリフもわざとらしいし、一般人があの状態で将棋会館に連れてくわけない。連れてくなら事情を知っている身内だろう。村山という人間がどういう人間が一発で説明したかったのだろうがあれは冷めてしまった。
音の使い方はとてもいいと思った。弦1本で鳴らすようなBGMは駒の音を際立てているし、役者の表情による演技を邪魔しない。
役者の演技はすごい、特に説明なく表情だけでバトルを展開するというのが映画として素晴らしい。
人間ドラマに重きを置いているのもいい。
染谷将太の鼻血だしながら戦うところは、グッと来た。情けなくて、わかってるのだけど、どうしようもない。あれは僕たちなのだ。その遠くに村山や羽生がいて崇拝のあまり憎い。文字通り命をかける村山が、羨ましくもあり哀れでもある。
淡々としているのはいいのだが、盛り上がりがなくテンポがもたつく。いくつか眠くなるシーンがあった。
でもいい映画でした。
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