彷徨える河

劇場公開日:

彷徨える河

解説

世界各地の映画祭で注目を集めるコロンビアの俊英シーロ・ゲーラ監督の長編第3作で、2015年カンヌ国際映画祭監督週間で最高賞を受賞した。20世紀前半にアマゾンを訪れたふたりの白人探検家の日記を基に、先住民族の視点から、失われつつある彼らの文明を描き出す。部族最後の生き残りである呪術者カラマカテは、アマゾンの奥地でひっそりと暮らしている。数十年にわたって他者との接触を拒んできたカラマカテは、孤独のあまりすっかり記憶や感情を失っていた。そんな彼の前に、聖なる樹木ヤクルナの調査に来たアメリカ人の植物学者エバンが現われる。エバンと共にカヌーでアマゾン深部へ漕ぎ出したカラマカテは、少しずつ記憶を取り戻していく。

2015年製作/124分/コロンビア・ベネズエラ・アルゼンチン合作
原題:El abrazo de la serpiente
配給:トレノバ、ディレクターズ・ユニブ
劇場公開日:2016年10月29日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第88回 アカデミー賞(2016年)

ノミネート

外国語映画賞  
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(C)Ciudad Lunar Producciones

映画レビュー

5.0体験映画の超傑作

tさん
2020年5月10日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

アマゾンの映像が凄かった。それだけでも観る価値あり。近代から全く切り離された世界に没入できた。

セリフによる説明的なシーンがほぼ無い。よくある擬似体験型の映画。しかし、この映画は、製作者のその熱意をすごく感じる。今まで俺が観てきた体験型映画の中では、トップになるかも。映像が凄いだけじゃなくて、ざっくり言えば、原住民族たちの世界の認識方法を伝えるという、ただその一点のみを実現するために、全て(演出、音楽、脚本、役者)が構成されていた。

さらにすごいのは、この映画から近代的な形式的な価値観(・・・と、言ったら良いのか)を意図的に削いでいること。「西洋文明は原住民族をこんなに酷く搾取していたんだ」みたいな、近代的な思想が全く感じられない。だからすげー。近代人の思想や主張や見方を削いでる。

カラマカテ(原住民族)の「物を捨てろ」ってセリフが印象的。

原住民族は「所有する」という概念が無いのかもね。むしろ、彼らは自然から「所有されている」と考える。

人間は自然の所有物(原住民族の考え方)。
自然は人間の所有物(近代人の考え方)。

どちらもフィクションなんだよね。

この映画を見ると「所有する」という近代人の考え方自体が、土台、人間には無理ゲーであることを示唆しているような気がした。「所有する」って脆弱なフィクションなんだよね。所有権など、いつだって捨てられるし、自分以外のみんなが所有権を信じなければ、効力を発揮しない。

対して、人間は自然の所有物というのは、自然界の摂理だから、とても強力なフィクションなんだよ。

布教区周りのエピソードは、近代人の「所有」というな考え方がいかに馬鹿げていて、害悪であるかを示していた気がする。

さて、「近代人」と「原住民族」どちらが賢いと言えるのだろう?

自然界の摂理を全く理解していない近代人の方がよっぽどバカに見えるんだよね。

改めて思ったことなんだけど、この映画、音がめっちゃ良い。この映画を印象付けているのは音なんだよな。河の音(+ジャングルの音)がずーっと流れ続けている。音の力ってすげぇ(音の力というよりも人間の身体の神秘なのかもしれませんが)と改めて思う。

風の音って、木がないと聞こえないんだよな。風で木が揺れるから風の音が聞こえる。

水の音は、海か川がないと聞こえない。

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t

4.0やっぱりカラー版をみたい

2018年8月9日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

なんでモノクロでやるかなあ、と最初は疑問だったが、途中からそのほうが良いと思うようになった。それはたぶんきつい描写の緩衝材として、時代感をぼかすため、また夢の映像を強く印象づけるのに役立ってる。
ふたつの時代を並行して見せながら、徐々に目的の地へ。その間いくつかの村を経る。結構内容は濃くインパクトがある。
でも、やっぱりカラー版をみたいかな。ジャングルの景色とか。

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okaoka0820

3.0こういう映画を観て、圧倒されているのに、それを言語化できない自分の...

2018年4月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

知的

難しい

こういう映画を観て、圧倒されているのに、それを言語化できない自分の作文能力のなさを痛感している。

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佐分 利信

4.5アマゾンの魅力、哀しみ、神秘が詰まっている

2017年12月13日
iPhoneアプリから投稿

素晴らしかった。

モノクロの映像がとても効果的。
アマゾンの物語は、遠い昔のようにも、幻のようにも感じる。
カラマカテの存在なしでは時の感覚すら見失う。

数十年の単位で時が移ろっても、変わらないアマゾンの森と、外部からの侵略をきっかけに変わってゆく先住民の暮らし。
明らかに朽ちてゆく人工物と、移ろいつつも人の手なしには変わらない雄大な自然。

カラマカテの目が印象的。
老カラマカテの、老いと哀しみを湛えた、何もかもを見通すような目と存在感が素晴らしかった。
若いカラマカテは、人を試すような非難するような鋭い目。

先住民の目線で見た、西洋の侵略を表現したものとして、アフリカにはバパラギがあり、アマゾンには本作ができた。
もう取り返しはつかないけれど、反省することはできるはず、と信じたい。

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sannemusa

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