ハドソン川の奇跡のレビュー・感想・評価
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実話
実話を盛ることなく歪めることなく
ドキュメンタリーちっく。
あの日の空を通して、今のアメリカに良心を問う
2009年の真冬日、ジャンボ機が鳥の群れに衝突し、両エンジンが停止、墜落を阻止すべく、ハドソン川に緊急着水。
機長のとっさの判断により、乗員・乗客155名全員の命を救った実際の事故を基に、巨匠クリント・イーストウッドが主人公の機長役にトム・ハンクスを迎え、初タッグを組み、挑んだヒューマニズム大作。
航空機事故を扱った映画では、ジョージ・ケネディがレギュラーを務め、70年代に人気を博した『エアポートシリーズ』がやはり思い浮かべるが、見せ場である事故当時のパニック描写を派手に描くのを回避している。
むしろ、其の後、審議委員会に過失責任を激しく追求された機長の葛藤に迫り、人間心理を問う事で、創り物ではないリアルな緊迫感を産み、観る者を引き込んでいく。
無茶な着水などせず、直ぐに空港に引き返せば、済んだのではないか?と検証シミュレーションが判断したため、機長の責任を巡り、やりきれない裁きが続く。
大惨事を喰い止めた英雄から一転、危険に曝した容疑者へと世間の見方が賛否分かれる危機は、ロバート・ゼメキス&デンゼル・ワシントンの『フライト』が未だ記憶に深い。
ドラッグ&アルコールまみれで糾弾されるのは自業自得だったデンゼル・ワシントン機長とは対照的に、今作のトム・ハンクス機長は、清廉潔白なのが大きな特徴である。
航空経験ゼロで機械を頼りに、犯罪者に仕立ててしまう委員会の矛盾と権力への怒りに、ストレートに感情移入できる世界観こそ、イーストウッド映画の真骨頂と云えよう。
冒頭で、機長が毎晩うなされる墜落事故の悪夢は、9・11の惨劇を暗示し、更に、夫婦はリーマンショックの余波をモロに受け、住宅ローンの支払いに頭を抱えるetc. 当時のアメリカは正にドン底時代だった。
見渡す限り暗闇だらけの現実において、多くの人命を救った機長は、光を照らす唯一のヒーローだとマスコミは持ち上げるが、其の分、バッシングの標的と化し、家族も苦しめられる。
しかし、長引く審議に精神を折れず、機長は最後まで真実を説き、無罪を掴めたのは、決して自分だけの手柄で起こした奇跡ではなく、副操縦士、CA、管制官、そして、レスキュー隊etc. 多くの協力が合致して、成立できた事を充分に理解し、素直に感謝している人間だったからに尽きる。
テレビをつけると、いつもトランプとヒラリーが罵り合っている今のアメリカ。
醜くて呆れるばかりである。
あの日の空の出来事を通して、アメリカ国民の一人一人の良心をイーストウッドは改めて問いたかったのかもしれない。
では最後に短歌を一首
『空に帰す 沈む翼に 問う現実(いま)を 机上の嵐 夜明けに駈ける』by全竜
とてもいいヒューマンドラマ
トム
現場が全て
実話を基にしているし、オチも知ってる。
そんな中で、どうやって映画を盛り上げ見せるのかなと言う興味、トムハンクスだから外れないだろうという考えの中鑑賞。
あらすじは予告編やフライヤーのまま、『ハドソン川の奇跡』と言われたハドソン川への不時着で乗員全員が助かったお話。
そして機長はヒーローとなり一時時の人に。
これが報道されて知っている情報。
-----ここからややネタバレ含み(全く流れを知りたくない人は以下読まないでください)-----
でも実際は、事故を審査する部門から「本当に川に着水するしかなかったのか?本当は空港に戻れたのでは?」と投げかけられる。
同じ状況でのシュミレーションでも空港に戻れた。
「事故の原因を究明するため」という仕事をしている立場の人からすると、やはり原因は知らなければならない。
でも現場には現場の意見がある。
周りもフォローしたくともシュミレーションの結果がある手前、何とも言えない。
流れは完全に機長の判断ミス。どう立証するか?
トムハンクスが立証したあの瞬間、「どうだ!お前ら見たか!」ではなく、「現場ではこういうことが起きる。現場にいないと分からない。」という考えが全面に出ていて良かった。
これは普段の生活でも言えるなと思った。
正しいことをどう証明するか。相手を負かすのではなく、自分たちがしてきた正しい事と事実、そして角度を変えて見ると、結果として相手を納得させることが出来るのではないかと思った映画だった。
にしてもトムハンクス。
ハマるわ。
イーストウッド監督・・
ハドソン川の全貌が分かる
ゲームじゃない。
ドラマチックな映画ではなかったですが、いい映画でした。
空港を飛び出した旅客機がバードストライク(鳥が飛行機に衝突する事故)
により、ハドソン川に着陸するという、実際にあった話を元に作られた映画です。
「208秒の奇跡」と呼ばれ、この時間はスリル満点でした。
飛行機の事故に関して悲しい経験を持つニューヨーク市民にとって、機長は英雄になります。
しかし、乗員乗客全員を助けましたが、危険に晒したということで、委員会の厳しい追及を受ける事になります。空港に戻れたのではないかと。その根拠もまたすごい。すごいこと言うなと思いましたが、これも仕事なのでしょう。
機長もその選択が良かったのか悪かったのか悩んでいるようでした。確かに着水は生存確率少ないみたいです。
しかし訴えます「人的過失を問うなら人的要因を考慮すべき。」そのとおりゲームじゃ無いんだから。
デンゼル・ワシントンの「フライト」のように、機長には闇があるのかなと思っていましたが、サイドビジネスがうまくいかないこと以外には、これといって、問題はありませんでした。これが淡々とすすむ原因なのかもしれません。「フライト」のデンゼル・ワシントン演じる機長は、弱い人でした。
淡々と避難させる機長と落ち着いて救援するニューヨークウェイの職員さんCAが声を出衝撃に備えよと何回も叫ぶシーンや乗客が勝手に川に飛び込むなど、なんかリアルでした。
ラストの委員会のシーンはアメリカっぽい。
賞賛の裏側に!
実に冷静に当時の【世界中の賞賛】の裏側を描いている映画だと思う。
何十億もする飛行機一隻を川底へ沈めてしまったんだから、その金を回収するためになんとか保険料工作をする現実とただただ155人の命の重みを背負って瞬時の自分の判断を信じきって対応する様を丁寧に冷静に描いている映画だなぁと思う。流石、クリントイーストウッド!!!!
世間を騒がす事件には必ず表裏があることを感じさせてくれるいい映画です。
さすがの
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