日本で一番悪い奴らのレビュー・感想・評価
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全裸監督にも似た世界観
ほぼノンフィクションのストーリーで、
この映画を観た後に事件について調べてみるのは面白い。
北海道から天下を取りたいという脂ぎった感じは
まさに、全裸監督のようだ。
当時の札幌の街並みの描写が、現在の札幌が垣間見えてしまったのが残念だった。最近のコンビニやQRコードなど。それらは全裸監督のほうが上手だった。
道なき道、反骨の。
拳銃摘発が目的で、大量の覚醒剤密輸を北海道警察が計画・実行し、逮捕者が一人しかいなかった(他自殺1名)という本当にあった事件。銃器対策課は手段・善悪関係なくてチャカが大量に欲しいだけ。計画の段階での「シャブが出まわるのは関東なら、ま、いっか」のシーンは心底ゾワってなった。130キロ、末端価格40億...数字のことしか言わず他は知ったこっちゃない。
民間企業がより大きな利益を得る為に多少の支出は仕方ないかなみたいな感じで承認を得て密輸を実行する。
正義の味方であると同時に犯罪を知り尽くしていて悪人を操つり放題だし、どのシステムにもアクセス可能な何でもありの金稼ぎ最強集団。その活動費がどこから出ているかというと税金。
上からの命令は絶対服従なのだが、密輸を目の当たりにして流石にビビる新米刑事に「お前何の為にデカになったんだよ?」というシーンがさり気ないけど凄い良かった。遊牧民・屯田兵とか色々細かく入れてるし、すすきののユキを真剣に救おうとしたのも因果とか深い。
モロボシがチャカの仕入れに奮闘して、人格崩壊した流れだったのにラスト自分のことを差し置いて山辺太郎のこと気遣ったところに救いがあって良かった。言い直して家族同然といったのもちょっと泣けたし、何の為にデカになった?と共に凄く残った。
囮捜査など名前のある活動は氷山の一角で、上からの命令であればたとえどんな悪への導きになろうともやるプロ。何でもやる組織である。
国家権力による重大犯罪を映し出した気骨ある作品。尊い。
「必要悪」とは本当にあるのか?
70年代の刑事ドラマって、結構ダーティ・ヒーロー的存在が多かった・・・例えば「ダーティ・ハリー」とか「フレンチ・コネクション」のポパイ刑事とか、「セルピコ」とか・・・枚挙に暇がない。
どんだけ警察ってブラックなの?って思ったりしたが、所詮映画の中の話と思ったが、警察官と言えども同じ人間。警察と言っても民営の会社と同様に結果を出さなきゃ出世はできない・・・
90年代オウム真理教による国松長官の銃撃事件により、拳銃不法所持の検挙に力が入り、主人公に対し上司がハッパをかける。
焦る主人公は・・・・
なんだか都市伝説もしくはAVネタになる生保レディの契約に体を張る行為を連想させる。
そんなダーティ・ヒーローを演じる綾野剛は当初ピュアな警察官だが、どんどん汚れて行き、見事にボロボロになって行く。
当然の報いだが、そこに映画的カタルシスは無い。
お話は面白いのだが・・・
正義とは何か、人間は欲深い生きものである
【白石和彌監督の実力を再認識した傑作】
白石映画です。しかし、スコセッシ映画にはなれない。
おもしろい
1970年代~
北海道の柔道が強い警官が点数稼ぐために銃を買ったり人殴ったり挙句の果てにシャブ中になり逮捕される映画。
押忍、押忍の青年があんな簡単に悪になるとは…
綾野剛、音尾さんはもちろんのことデニスも良い演技、だが木下で冷めた。
綾野剛の演技力すごい。 新人熱血正義警察官時代と闇にそまってからは...
タイトルなし(ネタバレ)
市民の平和な暮らしと安全に貢献する。そういう正義の仕事が警察の本分と思い込んでいる警察以外の人にとっては、看過できない現実がすごくリアリティをもって描かれているように感じた。
警察の不祥事はけしからんと頭ごなしに怒ってみても、警官も僕らと何にも変わらないただの人間。ヤクザ相手に点数を稼ぐビジネスをしているプロフェッショナルと考えれば、むしろ僕らと変わらないどころか、ヤクザのほうに限りなく近い、そんな仕事なんだとも考えさせられる作品だった。
まぁもちろんこの映画にでてくるような警官はまれなんだろうけど、マル暴やなんかで長年働いているようなベテラン刑事が純粋な正義感だけで務まらないことは容易に想像がつく。
本作は実際の事件を元にしたフィクションということだけど、綾野剛の演技の入り込みようが見事で、昭和の時代のいい加減さというか、酔っ払ったまま馬鹿騒ぎして、でも誰も笑ってないみたいな冷たい感じがとても面白かった。
おとり捜査や違法行為に手を染めてまで、というより手を染める前提で点数を稼ぐことになんのためらいもない男の思考が、あの「狂った時代」の熱気を描いているようで、綾野の純粋さがその狂気の中で熱を帯びたまま破滅していくのは圧巻だった。
捕まってなお、道警に忠誠心を示し、また陽の目を見ることを夢見る。家族のような絆で男に尽くし、本当の家族には見捨てられ最後は死んでしまう男の人生。薬に寂しさを求めてしまう女たち。警察云々の話だけではない。人生の悲喜こもごもが鮮烈だった。
善とは何か?
邦画でやるから衝撃的
点数主義からの組織的弱点
『日本で一番悪い奴ら』(2016)
はじめは真面目な人だったのに、点数を稼いで行かなければならないというプレッシャーから、真面目が悪のほうに頑張ってしまい、転落していく。悪の不都合はさんざん見せつけられるが、その中の一瞬のシーンだが、主人公がエースの時はちやほやして身体まで差し出していた婦警が、主人公の左遷がわかると手のひらを返してすれ違うシーンは、女の悪の一種を見せつけていた。
主人公を見込んでいたホステスは、さみしさから覚せい剤をしてしまい、その後で、主人公も覚せい剤中毒になってしまう。半端な悪では悪に滅ぼされてしまう。悪の恐ろしさが、正義のはずの警察の不祥事や組織ぐるみの詐欺的な方法。男の暴力、カネ、立場の悪が見せつけられる中で、女の手のひら返しの怖さも見せつけられる。組織の在り方の怖さもある。真面目も悪に走ると悪だった。主人公の弟分なんかは、結婚式の時のシーンが印象的な後に、妻に見放されて、拘留中に自殺する。消極的な考えだとしても悪には向かわないほうが良いと思わされる。しかも正義のはずの組織が悪だくみをしていたなら・・・。映画やドラマの性交シーンや模擬シーンにしても、どうしたものかと思うが、悪のシーンを見せつけられると、麻痺してしまって、語りにくくなってしまいそうな、こうした作品は複雑である。
おもしろい!立派!
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