太陽のめざめ

劇場公開日:

太陽のめざめ

解説

親の愛を知らず非行を繰り返す少年と、少年を助けるために奮闘する大人たちの姿を描いたカトリーヌ・ドヌーブ主演作。母親に置き去りにされた6歳の少年マロニーを保護した家庭裁判所の判事フローランスは、10年後、16歳になったマロニーと再会する。しかし、母親の育児放棄により心に傷を負ったマロニーは、学校にも通えずに非行を繰り返していた。フローランスは、マロニーと似た境遇にありながら更正した教育係のヤンとともに、マロニーにやさしく手を差し伸べる。フローランス役をドヌーブが、マロニー役を本作が映画初出演となるロッド・パラドが演じる。女優として「Mon roi」(日本未公開)で第68回カンヌ国際映画祭の最優秀女優賞を獲得したエマニュエル・ベルコの監督作品。

2015年製作/119分/R15+/フランス
原題または英題:La tete haute
配給:アルバトロス・フィルム、セテラ・インターナショナル
劇場公開日:2016年8月6日

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(C)2015 LES FILMS DU KIOSQUE - FRANCE 2 CINEMA - WILD BUNCH - RHONE ALPES CINEMA – PICTANOVO

映画レビュー

5.0「冬至」は、一番寒くて、暗くて、夜が長い。 カトリーヌ・ドヌーヴが絶賛した監督の眼差し。

2024年8月25日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

とにかく少年マロニーの演技・表情が素晴らしいから、鑑賞者はそこに驚いてほしい。 ドヌーヴもブノワ・マジメルも霞んでしまう なりきった非行少年だ。 執務室。 判事ドヌーヴに手を取られ、 おずおずと手を伸ばした、ハッとするあのシーン。 「辛い時は手を握るのよ」の言葉のあと、 その特別の体験のあと、マロニーが今度は母親の手を幾度も握るカットがある。 弟や母親。そしてガールフレンドのために。 守りたい相手の存在に気づいたときに、初めてマロニーの表情が変わってゆく。 母に対して、判事や保護司に対して、ようやく大人になってサナギの殻を破った マロニーは本当に素晴らしい演技だった。 厄介者で人さまの世話と迷惑になっていただけの自分が、今度は厄介者たちのために世話役にならねばならぬと悟っていく表情が、そこにある。 劇中、最初の保護司と、二番目の保護司と、双方ともに力尽きて泣いていたのだ。 とかく日本でも、児童相談所への風当たりは強いが、疲弊しきって辞めていく児相の職員や、家栽の人や、更生施設のスタッフや、 関わる多くの人材の奮闘に、心が動かされずにはおれない。 我が家には、 僕と兄弟として育った里子が二人いた。ひとりは盗癖がどうしても治らなくて、施設よりもこの子には家庭が必要だと判断されて、うちにもらわれてきた男の子だった。 いまは彼は刑務所にいる。 もうひとりは言語を絶するネグレクトを生き延びた女の子だった。 だからこの映画のすったもんだは、僕は肌感覚でよくわかる。 + + エンドタイトルロールには 慰めと希望の音楽が静かに流れる ― バッハの結婚カンタータ「しりぞけ、もの悲しき影」(BWV202) が流れるのだ。 バッハが、公式な教会行事や貴族たちの見栄のために依頼されて作った大作ではなく、おそらくはバッハは知人のために、プライベートで書いて贈ったのだろうと言われている小さな曲。 マロニー夫婦とみどりごのために、「冬の終わりと春の訪れを告げるドイツ語の歌詞」が、柔らかいアリアを聴かせる。 + + 判事ドヌーヴへの感謝とハグ、 保護司への慰めといたわり。 泣いている保護司に向かって初めて小声で「ジュ・テーム」と言えたマロニー。 そして、ニコリともしないが、しっかりと、しっかりと、我が子をその腕 カイナに抱いて、前を向いて歩いてゆくマロニーの姿・・ 非常に上質な映画を見せてもらったと思う。 名優二人の引き立て役として、=単なるエピソードのひとつとしての非行少年を登場させたのではなく、 堂々と完璧に、そして徹頭徹尾、「マロニーを絶対の主役」として立てたこの監督のセンスが 本作をここまで高いものへと輝かせたと思う。 セザール賞有望男優賞 受賞。 マロニー役ロッド・パラドは映画初出演。 そして、やっぱりカトリーヌ・ドヌーヴとブノワ・マジメルは凄い。 対話が素晴らしい。フランス映画の真骨頂。 子供が拾ってきてくれた石ころを、大切に受け取った、ドヌーヴのあの思いやりが 温かい。

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きりん

5.0こどもの気持ちを、繊細に表現

2021年10月30日
Androidアプリから投稿

秀逸な作品です。 養育能力の低い母親から受けた心の傷を抱えながら、成長していくマロニー。 彼が何を求め、何に怒り、どう表現していくのか、これが細やかに演出されている。 マロニーの成長だけでなく、周囲の大人たちの視線。ここも、素晴らしい。 どんなにひどい親でも、その親なりに愛があり(たとえそれが独りよがりでも)、常識的な人たちから見たら、ダメな親でも子どもは親を求め続ける。このジレンマが本当に、うまく描かれている。 国は違えども、日本でもまったく同じ光景を、どれほど見てきたことか。 このアンバランスを理解せずに、支援は成り立たない。常識が人を変えることはなく、マロニーと判事の交流を学びにするなら、陳腐だけれど「愛と信頼」が人を変えるんだろうな。 そして、親じゃなくても「信じてくれる大人」が子どもたちの回りにいれば、子どもはまっすぐ育っていく。 対人援助をお仕事にしている方々に、ぜひ観ていただきたい作品です。

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ミツバチば~や

3.0社会が試されている

2021年8月10日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD
ネタバレ! クリックして本文を読む
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ミカ

5.0チャンスを与える

2019年5月22日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

興奮

知的

迫力、DV、暴言、など凄まじい映画。マロニー(主人公で16歳)は交通事故、泥棒などで少年院に送られる。ヤーン(少年院のアドバイザー)もマロニーのような過去を持つ。だから必死でマロニーに社会で自分の好きなこと見つけて生きられる少年になってほしい。マロニーに対して最後まで諦めない判事(カトリーヌ ドヌーブ)とヤーンの姿に賛美。 人間、どこで道を間違って悪事に進むかわからない、特にマロニーのような愛のない破壊された家族の中で生まれて育つと、自分に自信なんてありゃしない。そこにあるのは、怒りだけ。ガールフレンド、ヤーン、判事との助けで、人を愛することができるようになる。 このような環境がマロニーを変えていく。 社会は未成年にチャンスを与えようとする(与えた)映画。 フランス映画で社会問題を扱う映画は、とても論理的な会話のテンポで進むので好きだ。

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