細い目

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細い目

解説

2009年に51歳で他界したマレーシアの名匠ヤスミン・アフマド監督が04年に手がけた長編第2作で、アフマド監督作品ではおなじみとなるオーキッドという名の少女が登場する“オーキッド3部作”の第1作。マレーシアの多民族社会を背景に、マレー系の少女と中国系の少年の初恋を大胆かつ繊細な描写で描き、マレーシア・アカデミー賞でグランプリをはじめ6部門、東京国際映画祭で最優秀アジア映画賞を受賞した。香港の映画スター・金城武が大好きなマレー系の少女オーキッドは、露店で海賊版のCDやDVDを売る中国系の少年ジェイソンと出会い、恋に落ちる。民族も宗教も異なる2人だったが、互いの家族に温かく見守られながら、かけがえのない初恋を育んでいく。しかし、民族的出自が原因で大学進学の道が閉ざされているジェイソンは、裏稼業の元締めであるジミーやその妹マギーとの関係を断ち切ることができない。一方、オーキッドにはイギリス留学の日が近づいてきて……。19年7月「伝説の監督 ヤスミン・アフマド 没後10周年記念 特集上映」(19年7月20日~8月23日、東京・シアター・イメージフォーラム)での上映されたのち、同年10月から全国で単独劇場公開。

2004年製作/107分/マレーシア
原題または英題:Sepet
配給:ムヴィオラ
劇場公開日:2019年10月11日

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映画レビュー

3.5監督のお祖母さんは、日本人とか。

2024年9月17日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

何の予備知識もなく観た。 多民族国家として知られているマレーシアで、マレー系の可愛い女の子オーキッドと、華人系の英語の上手な少年、自称ジェイソン(本当はAh Loong)が織り成す清新な物語。 この映画は、きっと作られた当時のマレーシアに戻って考える必要があるのだろう。 2005年頃のマレーシアでは、民族も言葉も宗教も異なるマレー系と華人系の若い二人が付き合うことなんて、なかったみたいだ。細い目というのは、あの国で6割くらいを占めるマレー系が、3割の華人系の容貌を揶揄していう言葉。華人系は、商売に長けているので、「こすっからい」とも言われたようだ。一方、華人系は、マレー系のことを、「のんびりしている怠け者」と言う。そんな二人が、周囲の怪訝な目にも関わらず惹かれてゆき、心から付き合う姿を描いたこの映画は、きっとマレーシア人の意識をも変えたのだろう。 それでは、15年近く経って、2019年日本でも公開された、この映画の普遍的な価値とは何だろう。 オーキッドとジェイソンは、育った環境もかなり異なる。オーキッドの家は庭付きの邸宅で、父も引退したようだが資産家であるのに対し、ジェイソンは、家族皆が狭いアパートで貧しく暮らす。車椅子の父親は母親との口論が絶えず、ジェイソンも露店で闇のVCDを売ることを生業にしている。その背景には、オーキッドが好きだと言っていた「男たちの挽歌」を思わせる香港ノワールのような世界が広がっていた。そんなに違う二人が、まるで「ロミオとジュリエット」のような物語を繰り広げたところに、観客は惹かれたのだろう。 私はと言えば、カクヤムというオーキッドの家のメイドを務める太った女性が、家族と全く対等に語り合い、むしろクイーンのように、君臨しているところがよかった。オーキッドの父親も、口ではジェイソンを認めないが、本当は母親と共に、彼を受け入れる用意があるように見えた。 監督のヤスミン・アフマドは、タゴールの詩を引用し(マレーシアの人々の残り1割はインド系)、音楽にもドヴォルザークのルサルカから、あの「月に寄せる歌」を使い、マレー語、広東語、英語の飛び交う映画を見事に作り上げた。きっと、留学経験もあるのだろうが、何と日本人の血も引いているらしい。是非、他の作品も見てみたい。

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詠み人知らず

3.0マレーシアとシンガポール

Mさん
2024年9月14日
Androidアプリから投稿

の区別もつかない状態だったので、複雑な人口構成やマレー人と華僑の対立など、初めて知ることばかりだった。 私自身の映画としての評価は今一つだったが、最後の主役二人のインタビューがよかった。 主人公はちょこっとだけ長渕剛に似ていた。

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M

4.0真っ直ぐで複雑で微笑ましく羨ましい映画。

2024年7月21日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

楽しい

マレー系のムスリムの女の子と中国系の男の子の真っ直ぐなラブストーリーでした。 女の子は監督自身の分身なのかな?初期のジョン・ウーと金城武のファンでマレーシア国家の成り立ちや多民族国家の差別や偏見等に一家言持つ賢く複雑で純真な人で好きにならずにいられるもんかって感じ。男の子はまあ普通に突っ張った良い子です(ちと浅いか?) 異なる民族のラブストーリーなので障害となる家族とか出て来そうなものだが、両家族共に知性で偏見差別の歴史をはね除けられる賢くて良い人達。偏見を持った人も出てくるが人数も少なく直ぐに偏見を捨てるなど深刻な描かれ方はしない。まあ当事国に住んでいる監督がそう撮ると決めたのだから、なんの文句があるものか!中国系に偏見を持ったイギリス系マレー人の男の子を主人公の女の子がケチョンケチョンにやり込めて、おまけにバスケット?ボールを蹴り飛ばす痛快さは本当にこの監督さん大好きって感じ。生きている姿を拝見したかった。 ラストシーンは観た人に解釈を任せるタイプのラストです、この監督が作る映画は現実と地続きだからだと思う。私にも私なりの解釈があります。 結構ごちゃごちゃした若い作品ではありますが、誠実に真っ直ぐに作られた映画です気分良し!観て良かったです。

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春

4.0初恋のひとに

2024年7月20日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

やっと再開したのに… 閉店まで話しても話しても話し足りないあの感じ 二人が愛おしてくて アフマド監督作品はタレンタイムしかみたことがなくて 今回ヤスミン・アフマド没後15年記念アンコール上映でやっと見られた 主演二人のメッセージ付き上映だった オーキットがすっかりお母さんの顔になっていた アフマド監督の穏やかな心と優しい目で見た世界をもっと知りたい 他の作品も見られる機会がありますように

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