警察の取調室でのことをそのまま描いている。
確かに事件そのものが明確化するのは取調室で、犯人の話す事情を想像するしかない。
そこに客観的な証拠が照らし合わされることで供述の真否を探るのが警察の役目だろう。
この一室だけをシーンとしたのは良かったと思う。
ただ若干古さは感じられる。
物語は取り調べをする警官の家庭の事情と犯人の犯罪にいたる事情が似ていることがすぐにわかるが、供述の嘘を見抜く根拠は非常に警官らしく納得ができるものの、もっと「あっ」と言わせるような事実か、または警官の家庭に何か起きるとか内容がもっと飛躍してもいいように思った。
作品として上手くまとめているが、その驚きやまったく別の派生がない分、見ていて飽きてくるのも事実。
殆どの視聴者が疑うのが犯人の供述の真否から始まるし、その点だけで妻の犯行を想像する。
この路線のまま進行し、終わってしまった物足りなさ感は否めない。
主人公は部下が沼津へ行く心配をしているが、自分の妻の鬱は少々深刻な気がしてならない。
警官は犯人に「辛いことをよく話してくれました」と言って頭を下げたが、犯人の背景が自分の足元に迫っていることに蓋をしているのではないかと疑ってしまう。
ここをクローズアップするのであればそれはまた考える面白さになって良い。
この物語の雨は、雨の公園を想像させる。
「12人の怒れる男」と同じように、物語の中に土砂降りと青天を組み込んでいるが、犯人にとっては土砂降りのままでしかないのも、取って付けた感が否めない。
犯人にとって雨とは、家族三人で遊びに出掛けることのできる日であり決して悪い日ではない。
タイトルもこの作品を想像させるし、取り調べ室だけで終結させるのも悪くはないが、視聴者の期待値を下回った残念感が惜しかった。