神々のたそがれ

劇場公開日:2015年3月21日

神々のたそがれ

解説・あらすじ

「フルスタリョフ、車を!」「わが友イワン・ラプシン」などで知られるロシアの巨匠アレクセイ・ゲルマン監督の遺作で、アンドレイ・タルコフスキー監督作「ストーカー」の原作者ストルガツキー兄弟のSF小説「神様はつらい」を15年の歳月を費やして映画化。完成を目前にして急逝したゲルマン監督の遺志を継ぎ、息子の映画監督アレクセイ・ゲルマン・Jr.が完成させた。地球より800年ほど発展が遅れた惑星を調査するため、30人の学者たちが派遣された。しかし惑星では文明の発展を拒むかのように圧政や虐殺、知識人の抹殺が繰り返されていた。惑星の人々から神のように崇められる存在となった地球人の男ドン・ルマータは、権力者たちの蛮行を傍観し続けていたが……。主人公ルマータ役に「ミッション・イン・モスクワ」のレオニド・ヤルモルニク。

2013年製作/177分/ロシア
原題または英題:Hard to Be a God
配給:アイ・ヴィー・シー
劇場公開日:2015年3月21日

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4.0ルマータとゲルマン監督と芸術への目覚め

2025年6月28日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

地球とは違う別の星という以外、全くSF要素のないSF作品で、これをSFにカテゴライズしていいのだろうかと疑問に思う。

内容は、わけが分からない、意味が分からないの連続で、そもそもストーリーなどというものが存在していたのかすら怪しい。
少し意味がわかりそうなシーンがあったかと思えば、また次の瞬間にはわけが分からなくなる。

映画に求めるものが、表に見えているストーリー(多くの人がこれだと思う)の人には全くもってつまらない退屈な作品だろうと思う。
妻は、作品に潜むテーマや裏のストーリー、それと登場人物の内面を見る人で、やはりあまり面白くなかったようだ。
しかしどうやら私は、ショットの素晴らしさとその繋ぎに重きを置くタイプらしく、このわけが分からない、意味が分からない作品を楽しんでしまった。

地球人の額についているカメラ映像という設定らしく、カメラの前に突然割り込んでくる花や物や動物、こちらを覗き込んでくる人など、自分がその場にいるような映像は実に気持ち悪く、その気持ち悪さは片時も目を離すことを許さない。
そして、複雑に入り乱れる人や物や動物をとらえた長回しは、強烈な印象を残す。

滑らかに移動していく視点は、ボールをカメラに変えたピタゴラスイッチだと気付いた。
一つの長回しシーンだけでも驚愕のカラクリだというのに、それがほぼ全編その調子なのだから、本作を21世紀最大の傑作と言う人の気持ちも分かる。
撮影期間が6年だそうで、そりゃあこれだけの物を撮ったらそうなるよなと納得しかない。

ここから一応内容について。
多分ネタバレではないと思うが、気になる方は注意。そもそも本作でネタバレなどという概念が存在するのかすら分からない。
サーカスのショーで、ピエロが出てライオンが火の輪くぐりをして空中ブランコがトリだよと聞いてこれがネタバレになるだろうか?
それだけ観なければ分からないし、あ、いや、観ても分からないんだけど、とにかく、観て初めて価値が生まれる作品だろうと思う。

原作小説は69年発表で、当時のソビエトに対する批判などを隠し持った、幾度となく繰り返し成長のない人間の愚かさを描いたものかなと思う。
それを、本来の意味が薄れてきてしまった、こんな後になって映画にしたアレクセイ・ゲルマン監督は、この原作に何を見出だしたのか考えてしまった。
そして、妻とのディスカッションを経て、人の愚かさに嘆き悲しむ主人公ルマータに監督自身が重なったのではないかとの結論に至った。

作品の登場人物たちは、会話の最中に突然食べたり、他人の顔を突然小突いたり、急に顔に何かを塗りたくったり、黒服などはルマータを捕らえると大勢で詰め寄るが、そのあとどうしていいかわからない、など。人間の姿をして言葉を話し、少し知恵がある以外はサルと同じだ。動物園のサル山を見ているような混沌や喧騒。
つまり、ルマータがアルカナル人に嘆いたように、ゲルマン監督は現代の私たちに対して、お前たちサルと同じだぞ、もっと賢くなれと嘆いていたのではないか。

製作期間15年。完成前にゲルマン監督は亡くなってしまった。
20年嘆き続けたルマータと15年嘆き続けたゲルマン監督が見事に重なってみえた。
ルマータがルネサンスを促すように吹いたラストの笛は、ゲルマン監督にとっての本作品で、やはり重なってみえた。

これを観て芸術とは何かに目覚めなかったら自分たちはいつまでもサルなのかなと思った。

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つとみ

5.0汚い、不快、☆5。

2017年12月4日
Androidアプリから投稿

圧倒的な完成度、情報量、突出した作品であることは間違いなく、スゴいから、で☆5にしたくなる作品だ。

グチャグチャで汚ならしく、死体とか刑具とかイヤなモチーフも多く、色がなくても観ているのは結構辛い。そして訳のわからない台詞が多くて気分が悪い。モノクロだし、ゴチャゴチャで状況が解りづらい。脇の人物や垂れ下がっているのものが頻繁に視界を阻んで不快だ。

時々視線を送ってくる人物がいるせいか、自分も映画の中の世界にいるカメラマンの気分になってしまうことがある。それもまた、不快である。

スゴいものを観た、という達成感はあった。映画通じゃないので知らないが、こういう映画は他にあるんだろうか。中々特殊なのでは?

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JI

3.5分かり易くてメッセージもシンプル。ただし、事前に予習しておくこと

2016年5月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

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ヒロモチ

3.5わかりやすい寓話であるが、観客にはツラすぎる

2015年9月10日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

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りゃんひさ