セッションのレビュー・感想・評価
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チャゼル監督の出世作にして、現時点最高傑作
🚨ネタバレ全開の上に長いです🚨
『ラ・ラ・ランド』にてアカデミー賞歴代最多ノミネートを獲得したデイミアン・チャゼル監督の出世作は、桁違いの熱量とカタルシスを浴びせられる大傑作でした!私的オールタイムベストです!!
「偉大なジャズドラマーの一人」になることを夢見て疑わない音大生の主人公ニーマンと、J・K・シモンズ演じる鬼教師フレッチャーの狂気に満ちたレッスンを描いた本作。
まずはやはり、フレッチャーのこの世のものとは思えない教育法が凄まじい!サム・ライミ版『スパイダーマン』シリーズにて、ある種悪役とも言える新聞社社長を演じた彼の、憎みきれない部分を捨て、鬼畜さを最大限増幅したようなキャラクターは、これ以上ないほどの適役でオスカー受賞も当然でしょう。
初めはニーマンに優しく接し、家族の話題で緊張を解してあげたフレッチャーですが、そこで得た情報を基に容赦無くニーマンの人格攻撃を始めるシーンは、彼の卑劣さが際立つ名場面でした。
一方のニーマンも誠実に音楽を追求しているようには見えず、「自分の承認欲求を満たすための道具」としてドラムを利用している節さえあります。
「現地では花形スポーツであり、スクールカーストの最上位に位置する」アメフト部に所属するものの、大学下部リーグでの活躍に満足している従兄弟をニーマンが心底馬鹿するのも、彼が「ジャズこそ至高であり、それを追求する俺は、お前らには理解できない世界に到達できる」と盲信しているからだと思われます。
このように肥大化した承認欲求を抱えた彼が、挫折を経て夢へのチャンスを再び手にするものの、そこでもフレッチャーの復讐に遭い、父親の元に敗走する姿は痛々しいことこの上ない。しかし、この後の展開によるカタルシスがとんでもなかった!!
どんな時も無償の愛を与えて受け入れてくれる父親の元を離れ、自身から二度も音楽を奪ったフレッチャーと改めて対峙し、全身全霊をかけた演奏によって彼を圧倒するニーマン!
ここでの、音楽ホールの向こうから呆然と見つめることしかできない父親の目線から、ニーマンが完全に「凡人には到達できない、向こう側の世界」に行ってしまったことがわかります。
そして遂には、フレッチャーに自身の存在を認めさせ、彼が忌み嫌っていた「Good Job」という言葉を言わせてみせたニーマンが演奏を終えたところで、そのままエンドロールに向かいます。
この切れ味と心地よい余韻に、私は完全にノックアウトされてしまいました。
OPとEDがどちらも「ドラムを高速で叩くニーマンと彼を導くフレッチャー」というシーンで構成された円環構造や、映画館や親戚の集まりにおける所作によって父親の凡人っぷりを端的に説明する手際の良さなど、優れた部分を挙げるとキリがありません。
未だに何者でもなく自力では将来も見通せない私にとって、本作は見返すたびに心のギアを入れ直してくれる大切な作品になりました。
やられたらやり返す!ジャズの有無を言わさぬ暗黒面を見た様な作品です。
前から観たかった作品なので千葉の「ユナイテッド・シネマ テラスモール松戸」でやってるのを知り、観賞しました。
観賞料金1,100円だったのもラッキー♪
で、感想はと言うと、凄い作品。
もっとハッピーエンドかな?と思っていたら、ドロッドロの暗黒面を繰り広げる、ジャズ版「仁義なき戦い」って言った所か?w
面白いと言えばめっちゃ面白いですが、いや~ドス黒い面白さに魅入られましたw
名門音楽学校に入ったアンドリューがスパルタ講師のフレッチャーに見込まれてから、狂気のドラマー地獄に身を投じていくと言う感じw
でも、誇張な表現でもなく、中盤辺りからは物凄い血で血を洗うぐらいの闘争になっていく。
名門音楽学校に入って見込まれたアンドリューは落ちたくないプライドが狂気に変わっていくがフレッチャーの傲慢さが乗り移ったかの様になっていくんですが、成り上がる為、一流のドラマーになる為には手の皮を擦りむけるとかもあるかと思うんですが、もの凄いんですよね。
大好きなジャズ漫画の「BLUE GIANT」の描写とはえらい違いやw
アンドリューの狂気の引き金となるフレッチャーはスパルタどころの騒ぎではないくらいに厳しい。
今なら確実にアカハラ(アカデミー・ハラスメント)問題。実際にクビになってるから、アカハラなんだけど、ここまでの軍隊的な授業は確実に問題になりますわな。
シェイファー音楽院を退学したアンドリューと同じく同じくやり過ぎた指導でクビになったフレッチャーが偶然に出会い、フレッチャーがアンドリューに"俺のバンドにドラマーとして参加してくれないか?"と言われ、"二人が再びジャズの世界で共演していくんだな。ジャズは偉大で優しいなぁ。めでたしめでたし♪"と思っていたら、とんでもないどんでん返し。
ステージで"密告したのはお前だな?"と告げ、アンドリューに復讐を果たすフレッチャーはアンドリューに言ってない曲でスタートし、赤っ恥をかかす。
こっぴどくやられたアンドリューはステージを降り、父親の待つステージ袖に帰るところで"音楽と言う世界は非情な世界だなぁ…"と思いきや、再びドラムの前に座ったアンドリューは曲目と違う曲を叩き始めて、強引に自身が得意な曲「キャラバン」をやり始める。
やられたらやり返すを体現する情け無用のタイマン勝負にスッゲーと思っても"あぁ多分バッドエンドだろうなぁ"と思っていたら、アンドリューの狂気の暴走と超絶テクが炸裂。フレッチャーも認めざるえない程の演奏の果てに魂の「セッション」に昇華していくと言ったところでしょうか?
…まぁ一緒に演奏しているメンバーはたまったもんではありませんがw
面白いかと言えば面白いけど、ジャズの暗黒面をまざまざと見せつけられた感じで結構疲れたw
でも、すんごいモノを観た感じでナタリー・ポートマンの「ブラック・スワン」を思い出しました。
ラスト15分のステージ上での2人のやり取りとアンドリューのドラムは圧巻の一言に尽きますね。
劇場で観て良かった。これは映画館で観るべき作品ですね。もしくは音響設備の良いオーディオ設備で見た方がマル。
とにかく、フレッチャーを演じるJ・K・シモンズは怖くて迫力があって凄いけど、アンドリュー役のマイルズ・テラーが全然負けてないんですよね。
「セッション」以降あんまり作品に恵まれてない感じがしますが、今年の年末に公開される「トップガン」の続編「トップガン マーヴェリック」に出演するので楽しみ。
フレッチャーの一流を育てる為に妥協したくないと言う気持ちと姿勢は正直な話し、解らなくは無いんですよね。
「学校に入る事を軽く考えて、一流になろうなんざ甘いよ」と言うのは教えていた身からすると少なからずある訳で、ただ学校も商売なので、その辺りのさじ加減が難しかったりするんですよね。
「名選手が名コーチになれるかは別」なんて言葉がありますが、教える側と教えられる側の温度差はいつの時代も教育関係には頭の痛い問題であります。
かと、言って人権を貶めてやるのはやっぱり別な訳で、フレッチャーのやり方はまぁしっぺ返しを食らいますわなw
ジャズが好きと言うのもありますが、こういった作品は大好きで、感動したと言うよりかはグッタリするぐらいに疲れた感じで魂と頭を揺さぶられた様な作品ですが、観る側にもタイマン勝負を挑む様な作品は稀有だし好きw
まさしく映画を体感したって感じです。
もう、今から6年も前の作品で劇場での観賞を諦めてたから劇場観賞が出来てラッキー♪。
まだ未観の方はタイミングが合えば是非劇場で♪
そんな2人はスーパーコンボ
偉大な音楽家になりたいニーマンは、フレッチャーのバンドにスカウトされる。しかし、天才を生み出すことに取りつかれたフレッチャーによる狂気のレッスンによりニーマンは次第に追い詰められていく…。
ニーマンが大会やらで演奏する時、毎回失敗しないでとドキドキしながら見てしまうほど、フレッチャーの鬼畜教師ぶりは凄まじかった。とんでもないスポ根映画で自分なら秒で退学するなと思った。
特に最後のコンサートで曲をすり替えた時とんでもねぇ奴だなと思った。あれは単純な意地悪か、それともニーマンに期待してか?多分前者だろうな、クビにさせられたから。まあ、どっちでもえげつないけどね…
ニーマンに対し、偉大な音楽家になりたいという思いから頑張ってて偉いなぁとか思ってたけど、いとことの食事会あたりからあれっ…と思い始めて、最後の狂気のコンサートでのフレッチャーに向かって見せた「どうだった?」と問いかけるような表情で確信に変わった。
ニーマン自身、狂気の承認欲求に取り憑かれているんだなと思った。
それに対し、口が隠されていたが、フレッチャーはニーマンに、グッジョブと言ったのかな。きっとそうだよね。
嫌いな言葉って言ってたのにそれを言わせたといことで、天才として認めてもらえたのかな。
今後、ニーマンは褒めてもらいたくてどんな理不尽にも耐えていくだろうし、フレッチャーは目標であった天才を生み出すことに成功し、さらなる才能を引き出すことに躍起になるのかな。
この2人だからこそ互いの目標を達成できた、正にスーパーコンボだ笑。
不器用
・公開時に観て2度目なのでおよそ6年ぶりに映画館でやってたので観た。あれだけ演奏シーンがあって交通事故の所の印象がものすごく強くて、ドラムをしてる時の罵声とほぼ同じくらい。
・練習の際に、手の血を氷水でアイシング?していたけども、あれは実際にもそういうのをしてるのかなと思った。
・ニーマンの痛々しさがすごく感じられた。前回見た時はまだ29歳だったこともあってか、何者かになりたい、大物になりたい。そんな気持ちに共感していた気がする。だから、血だらけの手で演奏するのも当たり前だくらいに思って見てたような気がする。今回見てみて思ったのは、もっと厳しいパワハラで教えてたと思ったらあんまりそういう風に見えず、あれぐらいの事で諦めるなら仕方ないように見えてきて先輩ドラムが医大へ行ったのも良かったんじゃないかなとか思った。
・トランペットのシェーンは名前だけの登場だったけど、なんとも言えない気持ちになった。精神を病むくらいの努力というのか追い込みを科してようやく良い演奏といわれるとなると、楽しみで演奏はもはやできないだろうし、とはいえトランペットは人生だから捨てられないしと思い込んでしまうのを、果たして救うことが他人に出来るだろうかと悩ましい。なんというか、命を救う事はできたかもしれないけど、その先の葛藤は死ぬまで続くことになったんじゃないか、と。すがる物がひとつだけの人間の宿命というのか全てをひとつのものにかけた人間の負の側面がキツかった。
・ニーマンのラストの演奏が良かった。いわば教授に反撃を喰らわせているけど、全て教授の手の中感が否めなくて反撃としては物足りなく感じつつも、ニーマンが大きな飛躍をした感じが良かった。とはいえ、ニーマンの性格や環境だとあの演奏の後も苦しそうだけど。
・教授にしごかれまくって成功した人はいいけど、カンフル剤として使われた人たちとかの方が悲惨だと思った。トロンボーンだったかの間違ってなかった人は気が弱そうなのにあの後、どうなったんだろう。
・
オチが好き
オチで主人公が選手生命断たれるかと思いきや、最後のカメラワークで可能性を感じる瞬間が良かった。
お互いの未来を閉ざし合ったのに、ラストは分かり合えた気がする。
別れた彼女との電話のシーンも、すべてハッピーで終わらせない感じもバランスよかったな。
レンタルでいいけど、地上波でやってたら録画するかな。
疲れる
なんだかすごいや
タイトルなし(ネタバレ)
師弟の厳しくも暖かい物語と思ったらただではすませずどんでん返し!!
スポーツの世界でもそうだけど狂気的な指導者の元
天才がうまれたら美談だけど
病んだ人がいたら悲劇という紙一重。
この物語は天才と賞賛される一歩前で終わっているが、最後の演奏で師は彼の演奏に魅了されてしまっている。
師のやり方は賛否あるだろうが師を魅了させた彼には師のやり方を受け入れないで背を向け続けてほしいなー。
限界のない師弟関係
音楽の悪魔に魂を売った男たちの物語。
偉大なジャズドラマーになる事を夢見る青年アンドリューが、高名な指導者フレッチャーに常軌を逸したトレーニングを叩き込まれ、次第に狂気的な世界へと足を踏み入れていくというサスペンス音楽映画。
監督/脚本は『グランドピアノ』の脚本家で、後のオスカー監督であるデイミアン・チャゼル。
主人公アンドリューを演じるのは『プロジェクト X』『ダイバージェント』のマイルズ・テラー。
フレッチャー教授を演じるのは『スパイダーマン』シリーズや『ジュノ』のJ・K・シモンズ。本作でオスカーを獲得。
👑受賞歴👑
第87回アカデミー賞…録音賞・編集賞・助演男優賞(シモンズ)の三冠を達成‼️
第72回ゴールデングローブ賞…助演男優賞(シモンズ)!
第30回サンダンス映画祭…グランプリ・観客賞の二冠を達成❗️
第68回英国アカデミー賞…音響賞!
とても高い評価を獲得している本作。
狂気的な指導を行う音楽大学の教授と、彼に従事するうちに自らの内に眠る魔物を揺り起こしてしまったドラマーの青年の、常軌を逸したジャズ映画。
本作の監督であるデイミアン・チャゼルがこの作品を作ったのは弱冠28歳。この年齢でこれだけのクオリティの映画を製作するとは、なんとも恐ろしい才能と情熱を持った人物だと思いました。
本作を傑作たらしめている大きな要因は、間違いなくJ・Kシモンズです。音楽大学教授フレッチャーの気狂いじみた人物像を完璧に演じ切る彼の演技力の高さに驚かされました。
フレッチャー教授は下手をすると現実味がなくなってしまうほどイカれた性格と行動の人物なのですが、J・Kシモンズの演技力によって驚くほどにリアリティーを持ったキャラクターとして存在していました。
フレッチャー教授は主人公を導くメンターとしての役割と、主人公に立ち塞がるヴィランとしての役割を果たしています。
このオッさんのキャラクターが素晴らしく面白い!始めはいきすぎた指導に恐ろしさを感じるのですが、あまりにめちゃくちゃすぎてついつい笑ってしまう場面もありました。
天才的なジャズマンを育てることを目的として厳しい指導を行なっていると言っていますが、果たして本当にそうなのか?
彼の狂気に満ちた行動には、もはや理由は存在していない…映画を観ていてそう感じました。
フレッチャー教授の日本語吹き替えは名優壤晴彦さんが担当。悪役をやらせればこの方の右に出るものなし!気持ちの良いほどの切れ味を持った罵倒の数々に、思わず聞き惚れてしまいました。
本作の主人公、ニーマンを演じたマイルズ・テラーも素晴らしかった。
ニーマンは、はじめはいかにもお坊ちゃんという人物だったが、終盤に向かうにつれて狂人めいた人格に変貌して行く。その様は恐ろしくもあり哀しくもあり…
そんなニーマンの成長過程を見事に演じ切ったマイルズ・テラーに拍手!この映画のため、血が滲むほどドラムの練習をしたそうです。
全体的に黒を基調とした色彩で画面が構成されているため、非常にシックな印象を受ける映像は美しい。
家族の絆や恋愛が、音楽によって引き裂かれて行く様を非常に簡潔かつ印象的に描いている。
これらの描写を必要最小限で留めているため、間延びのないスマートな映画となっている。
クライマックスの演奏からのエンドロールが流れるタイミングはまさに完璧!ついつい拍手をしてしまうほどの美しさでした。
夢を叶えるために、これ程の代償を払う必要はあるのか?人間性を捨ててまで叶えたい夢とは、もはや呪いと言うべきではないのか?
この映画では、夢を追う人間は幸せにはなりません。
しかし、全てを投げ打ち何かに邁進する人間の狂気性と美しさがありありと描き出されており、少しも画面から目を逸らすことが出来ませんでした。
ジャズにはあまり関心がなく、詳しくもないですが、それでも十分に引き込まれました。
全く欠点のない、完璧に近い映画だと思います。それだけに少し綺麗に纏まりすぎていると感じてしまうところもありましたが、後世に残る傑作であることは疑いようもありません。
観た人間の心に火を灯す、闘う者のための映画です!
想定外のストーリー
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