野火のレビュー・感想・評価
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これでもマイルドなんだろうな…
死んだ爺さんには銃創の窪みがあって、一言も戦争について話すことは無かったなぁ…と思い出した一本。 赴任地は、全く同じ地区。 「戦友会」としての付き合いで、30年くらい前に再訪して。 やっぱりそこでの思い出を聞いても、答えてくれなかったなぁ… 爺ちゃん子で、なんだかんだでド無口な爺様(今、不惑間際でクソ似てるのよなぁ)と一緒に、説明もなく岐阜まで戦友に会いに行くのに付き合ったり… (そこで会ったおじいちゃんに、いい子のご褒美で生まれて初めての「ジャンプ」を買って貰ったのよ、黒岩よしひろ氏のヴァリオンって漫画が始まった号だった) その人も聞いても戦場のことを話してくれなかったのだけれども。 逆にやたらと話をしてくれた方は…議員さんとかになってたな… 映画とは関係無い話をしたけれど。 四十手前にそこまで想起させる作品の力を受け取った。 物語的には、筋は?と言う意見も出るだろうけれど。 「戦争は絶対いけない」とか簡単に言うけれど。 当時は国、今だったら核家族の信念を護るために闘った(善悪は別次元でね)貧乏国家ニッポンの男たちの姿を。 例え現実はもっと過酷だったとしても、伝えてくれる作品。
もしも自分だったら
ずっとそう思いながら見ていた もしも自分だったら、主人公の田村一等兵ほど長い間正気を保っていられただろうかと 同じ状況には絶対なりたくないと強烈に思わせる、という意味では最も効果的な反戦映画かもしれない 映画としては、音楽の使い方やグロテスクシーンの感じがカルトホラーやホラーゲームのようにも感じた しかし、単純なグロさの強調ではなく、極限状態の中で精神を病んだ兵士が実際に感じた光景としてこのくらいの強烈さが必要だったのだろうと思った 現実はきっとこれよりもっと酷かったのではないかと思うと、見終わった後に気分の悪さだけでなく、やりきれなさが残った
焼き増し感。
市川崑監督の「野火」は数年前に観ている。細かいところまで覚えている訳ではないが、何故リメイクという道を塚本監督は選んだのだろう。 監督が伝えたいメッセージがあるのであれば、違う素材(原作)で料理してもらいたかった。 鑑賞して、嫌いではないけれど、新鮮さに欠く、と私は思いました。
極限状態
派手なドンパチじゃないけれど、これも戦争の一片。人間のグロさと残酷さが重くのし掛かってくる。戦場の狂った環境の中で正しい選択ができるのか。映像としても生々しい肉片、血飛沫、死体の描写が多く観るには覚悟が必要。 ビルマの竪琴と合わせて観たい感じ。
戦争は人を獣にさせる
『アメリカン・スナイパー』で思い知らされた、「戦争は人の心を蝕む」。 ならこの『野火』は、もっと酷い「戦争は人を獣にさせる」という事か。 兎にも角にも、全編通して、恐ろしすぎて怖すぎる。こんなの、どんなに怖いホラー映画より恐ろしいと思う。 人が人を食う、という事実。しかも敵じゃなく味方を。考えただけでゾッとする。 戦争は、人を凶器に変える。安保法案賛成で保守派の私でも、観た後に色々考えさせられる一本だ。 それにしても塚本カントクが1人6役ってすげーわ。 あと、元BJCの中村達也がいつの間にか俳優やってるっつーのも驚きじゃわ。
期待通り、予想通り
美しい自然と壮絶な肉片は、文に劣らないくらいの衝撃度です。 感じる嫌悪感が凄まじく、反戦というものを超越し、戦争への憎しみしか感じ得ません。 グロいです。美しいのにグロいからたちが悪い。原作を尊重した結果で見事なくらいです。ただスプラッターです。 大日本帝国だからこんな愚考を犯したとは思いません。戦争だから人がケモノになったんだと感じられます。そして例外なく戦争を否定したくなります。 美しいのはそこにある事物だけ…そこに介入していく行為全てが醜悪なんでしょう。
雰囲気とかテーマに沿うためだと思うけどカメラの撮影が荒いシーンが何...
雰囲気とかテーマに沿うためだと思うけどカメラの撮影が荒いシーンが何度かあったところが嫌だ。 原作を読んでないから色々言えないけど固まった物語の展開を作ってないから途中分からなかったセリフの少なさかなぁ。 戦争の映画だから、そういう風にしたんだと思うけど。 あとPG12じゃちょい厳しいやろ。
題材は良いと思うのだが・・・
原作積読(持っているが未読)
良い(好意的に見られる)ところ
1.戦争映画として?邦画では定番の女子供が出てくる、いわゆる「お涙ちょうだい」シーンがない。
2.実戦場のような、とことんグロく、目を背けたくなるようなシーンの再現への努力が見られる。
悪いところ
3.ストーリーがさっぱり分からず、映画とは思えない。監督の自己満足?
4.血が噴き出すシーンなどが安っぽい。
5.カメラワークが悪い。
6.結局の意図が分からず、原作を読んだ方が早い?
1.邦画の戦争映画の多くは、女子供を相手に商売しているのか、必ず女子供を絡めたお涙ちょうだいがあり、辟易するが(実際に戦場に行き痛い目に合うのは男たちである)、この作品では銃後の話がほぼ皆無であり、大騒ぎするほどでないにしろ画期的に思われる。残念ながら、小さな映画館でしか上映されないようであるが。
2.後述するようにストーリー的な評価はゼロに近いが、およそ、戦記などで語られているグロい部分を具体的に映像化しており、あまり見たいものではないが、その努力は評価したい。戦争の「カッコよさ」げな部分は見事に排除され、ただただ、戦場での狂気が描かれている。
3.致命的なのは、ストーリーらしいストーリーがないこと。原作を読めと言うことかもしれないが、映像作品としてその中で完結していなければならないはず。監督が自分の描きたいところだけ描いたような、単なる残虐映像作品になってしまっているように感じる。例えて言えば、プライベートライアンの前半部(上陸シーン)だけを抜き取り、それを全編にわたって流しているような印象。プライベートライアンは国家礼賛の要素も少なからずあり、この監督の意図するものではないようだが、なにがしかの背景やストーリーがないと、作品としては印象に残らない。
4.画竜点睛に欠けると言うか、血が噴き出すシーンにリアリティがない。このため、その他諸々も嘘くさく見えてしまう。また、広いジャングルで意図したように敵の機銃掃射が当たるシーンがあるが、2度も3度も織り込むものではない。
5.初めに見た印象。特にアップが多すぎである。現場状況が全くつかめず、一兵士の視点で考えると鳥瞰的な視点は不要であろうが、もっと引いた画を見たかった。
また、ハンディカメラの多用も、臨場感と言うよりブレが酷く、船酔いに思えてしまい不快だった。普通に撮れないものか。過ぎたるは及ばざるがごとし。ハンディカメラはUボートなどでも使われたと思うが、あれは閉じた空間だからこそ生きるのであり、ドアップなうえに画面ゆらゆらはないだろう。
6.ラストはある程度予想はついたが、正直、制作意図がさっぱり見えなかった。ガダルカナル攻防戦を扱ったシンレッドラインも全く中身を覚えていないが、この作品も同類か。印象に残るのはホラー映画的な映像表現のみ。個人的に駄作と言っても良い。
その他
・会話の中で「全然良い」的なセリフ(具体的セリフは失念)が現代的に見え、興醒め。この作品、兵士の言動は総じて現代風に聞こえる。
総論
映画としては稀に見る駄作かもと思えるが、今後の邦画の戦争映画の発展を考えるに、戦場での悲惨さをちゃんと描写してほしいので(お定まりのお涙ちょうだいは結構)その点では評価できる。また、ナレーションで説明しない点も良い(ただそれだけでストーリーがないような今作には必要だったか)。
戦記などを読むと、再現すべき映像はいくらでもありそうなのに、いつまでたっても大和とゼロ戦。あるいは架空戦記。さらにお涙ちょうだいのメロドラマ。
最前線のみの映画がやっと出てきたと感じる。ホラー映画的なのが、いささか残念。
傷の疼きが教えてくれる
第二次世界大戦末期のフィリピン戦線。美しい、美しい自然の下の凄惨な生き地獄。ひたすらに飢え、何が正気でどこから狂気なのかわからなくなる…。 観ていて眼をそらすことは許されないように思いました、とにかく、それが大事だと思いました。 緊張を強いられる恐ろしい世界ですが、主人公・田村一等兵はじめキャラクターに魅力があり、引きずり込まれます。 リリー・フランキー、森優作、凄かったです。中村達也演じる伍長さんは、独特のカリスマ性があって印象的でした。 先行上映会には、塚本晋也監督が登壇されました。 「重く苦しいものが残るけれど、良いトラウマもあるのです」と穏やかに語る言葉が印象深かったです。 理屈はなんとなく正しいみたいに思えても、傷の疼きが絶対ダメだと教えてくれるはず。新しい傷をつけてやるという気概が作品から伝わりました。 2015.7.12. 福山駅前シネマモード
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