野火のレビュー・感想・評価
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戦争を語る
戦後70年、戦争を語れる方々がいなくなる中、この映画は戦争の惨さ人間の恐ろしさを語ってくれる残すべき映画のように思う。
まず、これを観て戦争やろう、兵隊になろうと言う人はいないと思う。
100分弱ただただ、エグく救われない映像が続き、早く終わってくれ!この地獄から解放してくれ!と思ったが、まさにこれが戦争なのだなと観るのが辛かった。
だけど目を離せない映像の力もあり、トラウマになりそうだ。
あまりお金もかかってなさそうだけど、追い込まれていく心情や匂いまで漂って来そうな映像に気持ちが悪くなった。
だけど戦争映画は悲惨さとは別に、ここまで追い込まれても生きるんだ!お前はどうだ?と言われてるようで力が湧く部分もある。
気分が悪くなった
悲惨な戦場は、こんなにひどくて死にたくなるから止めようね!こんな経験したくないでしょ?
っていうのを感じるにはいい映画だと思います。(血とかいろいろチープすぎるし、現実味がないですが。血は嘔吐効果があるので普通に飲めないし…。)
戦争を肯定するつもりはありません。しかし、日本人は、祖国を愛し、オニギリパワーで粘り強く、作戦はいいのに徹底さに欠ける(笑)ところがいいところだったと思います。
戦争に行ったおじいちゃんは、この映画のような人でしたか?私は日本を守ろうとした人々の誇りを踏みにじられた気がしました。
戦後70年の野火
組織がその体をなくす中、そこに属する者は人間性を如何に失い、如何に保つか?こういったテーマ性は十分感じさせるもので、残虐な表現やグロテスクな映像もそのためのものだから許容できる。ただ、過剰に思えたし、残念ながらメイクや小道具がどうも安っぽくて、逆にリアルさを減じる効果をもたらしていたように感じた。個人的には市川版の淡々と状況が悪くなり、異常な惨状にまで進展していった方が、現実がどのようにも転んでしまう怖さを感じたかもしれない。(しかもあの作品は戦後15年後の作品だったから)。この作品で特筆すべきは、最後の永松の狂気の表情。
この世の地獄
市川崑監督で1959年にも映画化された名作小説を塚本晋也が再映画化。
巨匠に続く2度目の映画化というプレッシャーを感じさせないほどの衝撃作。
「鉄男」の監督が地獄のような戦場を描くのだから、そりゃあ生温い映画が出来る筈がない。
フィリピン・レイテ島のジャングル。
田村一等兵は結核で部隊を追放され、野戦病院からも入院を拒否され…。
いきなりの非人道的な扱い。
最前線、無用な者に居場所は無い。
当ても無くジャングルをさ迷う。
飢え、疲労…。
やがて仲間たちと再会するが、彼らもまた同じだった。
戦況も分からない、助けも来ない、唯一あるのは死の恐怖…。
極限状況下、獣のような本性が剥き出しになっていく…。
人体破壊描写はなかなかのグロさ。
並みのホラーも真っ青。
さながら戦争スプラッター。
周りは“肉”の付いた死体だらけ。
人間が人間じゃなくなった時の行為はただ一つ。
「グリーン・インフェルノ」で話題になったが、衝撃度はこちらの方が上!
塚本晋也念願の企画。
主演・監督・製作・脚本・撮影・編集の6役兼任からもその気合いの入れようが窺い知れる。
終始落武者のような虚ろな表情は戦争への疑問を訴える。
リリー・フランキーの怪演は強烈に印象に残る。
低予算なのは目に見えて分かるが、島の風景だけは高性能のカメラを使ったであろう美しさ。
「シン・レッド・ライン」を思い出した。美しい大自然の中で浮き彫りにされる人の争いと醜さ。
戦争を知らない世代に本作を見せるのはかなりキツいかも。
でも、これが戦争だ。
戦場は地獄だ。
この世に地獄があるとすれば、それは戦場だ。
こういうのを見せられると、涙を搾り取ろうとする戦争美化映画に辟易してくる。
期待したほどには.
世間ではだいぶ評判になっていた映画だ。監督・製作の塚本晋也の意気込みもだいぶ宣伝されていた。若い世代がこの映像を見てだいぶ驚愕したとの感想が多かったように思える。残念ながら、これは戦争の「記憶」さえ若い世代には共有できなくなってことを意味しているのかもしれない。
映画としては、グロテスクなまでに正直に撮られた映画という印象が強く、古い世代にとっては、新鮮で驚くような表現手法はなかったはず。だが、それがこの映画にリアリティを与えているのかもしれない。
しかし、一度見ればもうそれで良い、と思えてしまったのも、本当の気持ちだ。
映画そのものがメッセージ
これは凄い。塚本晋也監督の『作らなければいけない!』という気迫が全編に漲っている渾身の作品。
レイテ島の美しい風景と対比するグロテスクな人の姿。その妥協無き表現。目を背けるな!これが戦争なんだ!というのを突きつけられた気がした。
低予算・独自配給ということだが、限られた中で描きたいものを貫いたという姿勢に自分は心を打たれた。
塚本晋也監督にしか作れない戦争映画
演者達の激しい演技、何度もやってくる強烈なグロテスクシーン、強く伝わってくる「反戦」というメッセージ、この映画の全てに心を揺すぶられました。
塚本晋也監督を始めとする映画スタッフの方々全てに感謝。
すごいですよ
塚口サンサン劇場の爆音上映で観ました。
見てる間、「あ、俺瞬きしてないや」と何回か感じるくらい、テンションがず~と続く映画です。特に白旗上げてアメリカ軍に投降しようとしたときの「あぁ俺はこの大きな罪の当事者であり、被害者じゃなく悪者なんだ」と気付くシーンは本当に恐ろしいです。関西地区にお住みのかたはぜひ今週ごらん下さい!
正気じゃやっていけないような世界
テーマ的にも遺体や負傷の描写からも、グロいものが苦手な人には向いてない。「地獄の目示録」とかみたいな、正気じゃやっていけないような世界だった。自分の安心や生き残ることを最優先にすることは、決して悪いことでは無いんだけどな。
リリー・フランキー演じるところのイヤラシサ
昨日、川越スカラ座で、『野火』監督塚本晋也を観た。
後半のモブシーンでは血肉飛び散る質感がかなりリアルなのである。言い換えれば“戦争スプラッタームービー』と言える。鮮やかな質感がリアルに映し出されるのは市川昆監督のモノクロ版とは明らかに違っていた。
人間は極限状況に追い込まれると凄まじいものだ。特にリリー・フランキー演じるところの安田のイヤラシサ。臆病な人間の奥底に潜む汚い複雑な駆け引きが見え隠れするところが酷く悲しく、憎たらしく悪らつな笑みとともに非常な無気味さを感じる。リリー・フランキーの名演、素晴らしい演技だ。と思いつつもリリー・フランキーという奴は本当にイヤラシイ奴なんだなんて思い込まされてしまうほどの迫真の演技であった。
太平洋戦争で南方のジャングルにおける人肉食が事実なのかはよくわからないのだが…。しかし、水木しげる氏の戦記を読むと食料不足で極端な栄養失調とマラリアなどの伝染病病に苦しみ多くの日本兵が亡くなった事が書かれている漫画を読んだことを思い出した。そして、大岡昇平の原作小説も読まなくてはならないと思う。
この映画を観れば本当に戦争がヤバイのは歴然たる事実であることに間違いない。
鮮やかで重い
青い空と生き生きとした緑の中で、鮮やかな色の内臓がぶちまかれ人間は泥で汚れている。
音が怖くて、笑ってるのか叫んでるのかわからない声は、話の重さと合間って見終わった後もなかなか頭を離れない。
見てよかった。
うーん
昔の同名映画を観ていませんので単純に比較をしてはいけないとおもうのですが、それなりに残酷なシーンもありますが期待からは大きく外れたと思います。映像、台詞、役者どれをとっても重さが感じられません。
限られた予算内でむりがあったか?!
50年前の作品は知らないがやっぱり大手でメジャーに公開してほしかった フランキー以外は知らない方ばかりいきなり本編何時 何処で どの部隊でどの状況下かナレショー解説は無し今どきCG特殊効果も無いアナログ的 実写フイルムも交えて一流俳優揃えたらもっとリアルに!!!!
「野火」を観て・・
太平洋戦争のフィリピン戦線が舞台。田村一等兵は肺病のため部隊を追放され、野戦病院の入院も拒否される。ひとりレイテ島をさ迷い歩くが、食料品も底をつき極限状態の中で他の日本兵と合流する。密林のジャングルで暑さと餓えは続く。「お前が食われるか、俺が食われるか」の選択まで迫られる。残虐なシーンや目を被いたくなる場面も・・
1959年の戦争映画のリメイク。
蠅の羽音はベルゼバブの笑い声
観ようか観まいか悩んでいた映画。
塚本監督の作品は一つも観たことがなく、『鉄男』という有名な作品さえも観ていない。俳優としてはいくつか見かけたことはあったが。
でも、この映画は絶対観なければならない、その為に地方の映画館で、リバイバルが行われているのだから。特にロケ地であった埼玉県の深谷市ではこの映画を重要視していると感じた。
内容は、沢山のレビュアーさんが細かく描写していらっしゃるので、そちらに任せたい。
私の感想としては、この世の地獄がフィリピン、レイテ島で繰り広げられていたことに改めて思い知らされた。そのギャップの激しいこと。どこまでも澄んだ自然、狼煙を上げるような煙、極彩色のジャングル、そして、人間の肉、血、本能・・・
そんな世界で、人が人を喰らうことで、それでも生きたいと願う渇望。騙し、騙され、あるいは暴力で攻撃していく狂った人間。戦争の本質は正にここなのだと、頭を揺さぶられる圧倒感がそこにある。
それでも人間は同じ過ちを繰り返す。多分、これからもずっと。。。
この世界に放り投げられたとき、真っ先に死ぬのは自分なんだと改めて自信を持って想像できる。だからこそ、こんな状況にならないようにしなければならないのだ。
弱い人間の戯れ言かもしれないが。。。
ブランキージェットシティのドラマー(中村達也)が、伍長役で出演している。この人、観たことあるなぁと思ったら、斉藤和義とユニットを組んで、ドラマのエンディングをやっていたのを思い出した。そうか、この映画はロックなんだ。
地べた這い回り、忌まわしき戦争の記憶
大岡昇平の同名小説を1959年に市川崑監督が映画化しているが、そちらは未見。
本作では、役者たちの血色がいいのは目をつむれば、緑濃密なジャングルでの飢餓と人間性が殺がれていく過程は凄まじい。
また、短いながらも繰り広げられる戦闘シーン(暗闇の中で数多の日本兵が撃ち殺されるのですが)は、非常に恐ろしい。
ビュンビュン鳴る銃声、轟く爆音、さらに『鉄男 TETSUO』を彷彿とさせる耳障りな音楽もあり、まさしく塚本晋也監督作品印が刻まれている。
機会あるごとに田村一等兵(塚本晋也)と出遭う安田(リリー・フランキー)と永松(森優作)も映画に深みを与えている。
末期的戦下でもタバコと食料と交換して生き延び、終いには年少の永松に「猿」を捕ってこさせて生き延びる安田には、戦下における人間性を感じてしまう。
(経済の象徴としてのタバコ、「猿」が殺され捌かれるところは直接見ないというヒエラルキー上位者のいやらしさ)
なので、レイテ島でのエピソードだけであれば「傑作」といってもいいが、巻末に奇跡的に帰還した田村のその後が描かれる。
あの地べた這い回り、「猿」まで食べた忌まわしき戦争の記憶が甦ってくる・・・
ここは蛇足ではありますまいか。
いや、違うのか。
戦後70年、あの忌まわしい出来事を、ひとびとは忘れてしまっているのではないか、と問いかけているのかもしれない。
むむむ、ちょっと評価が難しい。
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