劇場公開日 2015年7月25日

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「是非みんなに見てほしい映画」野火 akuさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0是非みんなに見てほしい映画

2015年8月13日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

怖い

凄い…戦争とはこんな凄惨なものかと思った。
野火は昔から愛読書だったので、監督が戦争の体験談を血肉にして描いた作品と聞き、とても楽しみにして観に行った。
最近の映像はわざとエグいシーンはカットする風潮にある。
しかし、この映画はこれでもかって程の描画。手足が吹っ飛ぶと読んでも実際にイメージが出来なかったが、こういうことだったのか、と。見渡す限り死体の山。現実はこれに臭いが加わるのだから、どれ程悲惨なものであったのだろう。昔の映画「野火」では描けなかった、カラーだからこそ描ける戦争のむごさが十二分に現わされていたと思う。
私は戦争体験者ではないので戦争の悲惨さは想像することでしかできない。しかし、その想像を遥かに超えていた。きっとこれが真実だったのだろう。
死ななくてもいい命が無謀な上層部の作戦の為、たくさん南国で散っていった。戦って死ぬのではなく、ただ飢えて、逃げ惑って一方的に虐殺されて。挙句の果てに同じ日本兵を殺して肉を食らう。。いったい彼らの命はなんだったのか。見ていて涙が出てきた。
映画が終わった後も凍りついたみたいにみんな身動きせずじっとしていた。
こんなことが大昔ではない、たかだか70年前に起きていた真実。体験者がまだ生きているという歴史上では最近の出来事。
あまりにも戦争というものが風化されてはいないか?
お涙ちょうだい的な映画が多い中、戦争とは凄惨なものであると伝えてくれる映画だった。
期待以上の出来に大満足。DVDが出たら絶対買う。もう一度原作を読み直したくなった。

是非とも今の若者たちに見てほしい映画だ。

aku