ニンフォマニアック Vol.2
劇場公開日 2014年11月1日
解説
「ダンサー・イン・ザ・ダーク」「アンチクライスト」「メランコリア」など、数々の問題作を手がける鬼才ラース・フォン・トリアーが、「ニンフォマニアック(色情狂)」を自認する女性の数奇な半生を、8つの章仕立てで描いた2部作の後編。快楽を求めて不特定多数の男と交わる主人公の女性ジョーにシャルロット・ゲンズブールが扮し、過激なベッドシーンも体当たりで演じている。そのほか、シャイア・ラブーフ、ユマ・サーマン、ウィレム・デフォー、クリスチャン・スレイター、ジェイミー・ベル、ジャン=マルク・バール、ステラン・スカルスガルドと実力派のキャストが集っている。
2013年製作/123分/R18+/デンマーク・ドイツ・フランス・ベルギー・イギリス合作
原題:Nymphomaniac: Vol. II
配給:ブロードメディア・スタジオ
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前後編のレビュー通じて。
ある色情狂の女性の人生を章じたてで、えらく哲学的に神話的に歴史的に学術的に語る本作。
基本は、色情狂の女性が、自分の過去をおっさんに独白するという長い対話の映画なのだが、
大学で色情狂の授業を教授から受けているような不思議な感覚に陥った。とにかく知性が光る。
ラースフォントリアー監督作品の中では、悲劇もなければ残虐性もなく、極めて観やすい。すごく真面目に色情狂を語るのが、シュールすぎてコメディチックにも感じる。
若き日の主人公役のステイシーマーティンがたまらなく美しいので、中身が薄くても画に見応えはある。(後編からおばさん役で別の女性になるのが悲しいくらい。)
なんで二部作にしたのかは謎で、一作でまとめられそうな内容だが、とにかく知性的な映画なので、変な満足感はある。
一応18禁だが、それはアーティスティックであって、扇情的ないやらしさは皆無。ある特異な女性の奇妙な一生を描いた作品という感じ。
ラースフォントリアー監督の倒錯した芸術性を、他作品よりは精神的なダメージを受けることなく手軽に楽しめるという意味では、アリだと思った。
2021年1月5日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD
さすがトリアー。美しい映像、哲学的な対話、実に直球、いやなところを突いてきて、ユーモアがあって、映画的エンターテインメントが成立している。
「ペドフィリアが実際に子供に手を出すのは5%くらいで残りの95%はファンタジーで終わる」のくだりが一番インパクトがあった。さすがトリアー、それはなかなか口にできない。でも真実のような気がする。
2020年8月1日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD
首の皮一枚で繋がった他の映像にすっ飛ばす様がスリリングであり、またユーモアが含有されている。
ニンフォをモチーフにしつつも決してエロを描いている訳ではない。しかしvol.1の方がその衝撃は上かも。
アンチクライストは見てて辛いが、こちらは製作者のセンスを気軽に楽しめるのでは。
2020年3月8日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD
個人評価:3.7
抑えきれない色欲を、4時間半もの時間をかけて紐解いていく。人間の強い感情の一つを、毎作品カタチを変えて描くラース・トリアー。今回は色情狂というテーマを存分に味わう事が出来た。
エロスになぞらえた主人公と、そのエピソードを聞く老紳士。まるでエロスとキリストが話している構図のように見え、最後のエロスの色情の前に、色欲の罪を見せたキリストのメタファーが、本作をさらに邪悪な作品に仕上げている。
自分の樹を見つける事で、強く生きる事ができるという父の教えが、ラストの救いの無い展開の伏線にもなっており、この世は辛く厳しい真冬の中で、あの樹の様に強く立ち続けなければならないと格言めいた印象を与えてくる。
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