百円の恋のレビュー・感想・評価
全254件中、21~40件目を表示
女優安藤サクラさんの燃える闘魂
やはり映画は事前情報なしで見るのが最高だ。
作品が伝えたいことが槍のように心に刺さってくるこの感覚は、余計な情報なしだからこそ味わえる。
「痛い」
これがこの作品のテーマだと思う。
何が痛いのか?
それは、自分自身の「痛い」ところに向き合わないことだ。
主人公の一子しかり、妹のフミコしかり、狩野も、その他の登場人物たちも自分の「痛い」ところを隠し続けて生きている。
それが特にコンビニ「百円生活」でバイトする特徴ありすぎる人々によって群像化されている。
中でも特質して自分自身の何にも向き合ってこなかった一子だったが、その「痛い」ところをフミコが痛烈に指摘したことで家を出る。
この「痛さ」の裏返しが「怒り」になるのだろう。
しかしこの痛みは衝動的なもので長続きはしない。やる気のなさは変わらないものの、仕方がないのでコンビニのバイトを始める。
しかし
このタイトルは少し変わっている。
この百円が、一子の恋物語の道しるべのように設定されている。
コンビニ「百円生活」 お釣りの百円が足らないこと 狩野が買うバナナは一房百円 なぜか買ったバナナを忘れる狩野にそれを届けに行ったとき狩野が落とした百円 そして募金箱に入れる百円
募金には、たった一つできる社会貢献というニュアンスが、この二人にあったのだろう。
そうして、次第に狩野と百円と恋が一子の中で溶け合う。
「百円」に感じる安さ そもそもぶっきらぼうで昭和一桁の九州男児のような口調の狩野は、一子をデートに誘った理由は「断らないだろうと思った」からだそうだ。
狩野は自分の出る試合のチケットを一子に渡す。
このシーンも特徴的で、バナナを10房買うためレジまで持ってくるが、お金を忘れたと言ってチケットを渡し、バナナは持って帰らない。非常識なのか常識があるのかわからない。
このようなギャグを所どころに入れているのでシリアスになりすぎない。
一子は初めて見るボクシングの試合にくぎ付けになる。
「もう今日で終わった」試合に出られる年齢のリミット。虚脱感漂う狩野に見られるのは人生の敗北だろうか?
一緒にいたバイト仲間の野間に暴力を振るったのは、一子の彼氏だと思ったからだろうが、そもそもチケットを2枚用意している理由がわからないが、結果的にその晩一子はレイプされてしまう。
面白いのは、この出来事が彼女に与える影響はほとんどないところだ。そんなものは些細なことなのだろうか? それとも、一子はそこまで底辺にいたのだろうか?
馬鹿なのかギャグなのかシリアスなのかわからない。しかし、それがいい。
一子のトイレのシーンも不思議だ。
この2つのシーンが描いていたのは、一子が「女を捨てた」という言葉に掛かっているのだろうか?
また、その後狩野がレジに嘔吐するシーンがあるが、この突拍子もない行為は、狩野の一子に対する思いの裏返しだと思われるが、あまりにも突拍子もない設定に驚くしかない。これもギャグに近い。
すべては狩野の計画だったのは間違いないが、昭和一桁にも勝る恐ろしい男だ。
それなのに、
豆腐屋の女性に簡単に鞍替えする狩野。
安さと儚さ 百円の恋
「どうして帰ってこないの?」
「だれ?」
「妹」
たったこれだけの会話で「百円」の価値が清算された。
そして一子はボクシングにのめりこむ。
「怒り」が彼女を変えてゆく。
この怒りは一子の心を初めて煮えたぎらせた「何か」だった。
狩野と一緒に暮らしているときはぼんやりとしたボクシングも、次第にキレが増し、プロテストに合格し、ついには試合までが組まれるのだ。
後半はまるでスポ根もの。ロッキーの女子バージョン
ジムにも「ハングリー/アングリー」と書かれている。
さて、
一子は結果的にはダメだったが、彼女は、試合を見に来たフミコや狩野やその他の人々が自分自身の「痛い」ところと向き合わないことにメスを入れたのではないだろうか。
これこそがこの作品が最も伝えたいことなのだと思った。
担がれるようにリングを後にする一子を観客たちは拍手で送るが、フミコは顔を背けている。それは、一子が自分のすべてを出し切って戦っている姿に、フミコがこれまで思っていたことすべてがひっくり返されたからだろう。姉一子の雄姿を直視できないのだ。
ダウンして立てなかった狩野も、最後まで立った一子のプロ根性に、自分自身のふがいなさを感じ取ったのだろう。
そもそも練習の合間にタバコを吸っている選手などいない。彼自身の向き合い方が中途半端で甘いのだ。
「勝ちたかった。 一度でいいから勝ってみたかった」
嗚咽する一子
本気だから、本気で泣くのだ。本気じゃないから、中途半端に落ち込んでぐずぐずになる。
自分自身に本気で向き合うこと。それが一子の場合ボクシングだった。
一子の心を怒りに変えた「何か」は、一子の恋の本気度だったのだろう。
百円の恋が一度清算され、その価値に対する本気度がボクシングに火をつけた。
「勝ちたかった。 一度でいいから勝ってみたかった」
恋を掴んでみたかった。
一子の闘士と、自分に何が足らなかったのかを理解した狩野。
以前は蔑むように一子を見ていたフミコもまた、自分自身の「痛い」部分に向き合わなければならないと思っただろう。
しかし、さすが大女優の安藤サクラさん。
ボクシング技術も、ダイエットも凄すぎます。
アイドル的女優を捨て本気度マックス女優を採用し始めている邦画がなぜ面白いのか?
そんな理由まで見せてくれたような気がした。
最高に面白かった。
人間がしっかり描かれているいい映画
格好良い瞬間
中国でリメイクされて記録的なヒットをしている というこの映画を見てみたかった。 中国でのタイトルは「热辣滚烫」(やけどしそう)
動画配信で映画「百円の恋」を見た。
2014年製作/113分/R15+/日本
配給:SPOTTED PRODUCTIONS
劇場公開日:2014年12月20日
安藤サクラ
新井浩文
稲川実代子
早織
宇野祥平
坂田聡
沖田裕樹
吉村界人
伊藤洋三郎
重松収
根岸季衣
中国でリメイクされて記録的なヒットをしている
というこの映画を見てみたかった。
中国でのタイトルは「热辣滚烫」(やけどしそう)
一子(安藤サクラ)は弁当屋の娘。
店の手伝いもせずに怠惰な生活をしている。
ちょっと太っている。
妹の名前は二三子。
名前のつけ方のセンスが面白いなと思った。
出戻りの妹と折り合いが悪くなった一子は家を出て一人暮らしを始める。
無職では生きて行けないのでコンビニで働き始めた。
コンビニは百円商品をそろえた店なので
映画タイトルは100円の恋となったと思われる。
この店の店員は皆癖のある人ばかりだった。
毎日ボクシングジムの前を通る一子はボクシングに興味を持った。
ジムに入門し、ぎこちなかったのもだんだんと上手くなっていく。
太っていた一子はすっきりとスマートになった。
試合をやってみたいと思った。
会長に申し出る。
やめておけと鼻で笑われる。
女子ボクシングは32才が年齢の上限らしい。
一子はちょうど32才だった。
プロテストにも一発で合格した
一子に根負けした会長は試合を承諾した。
初戦の相手はメチャメチャ強かった。
一子はこの相手に勝てるのか?
ボクシングだけでなく男(新井浩文)とのロマンスもある。
この映画は安藤サクラの代表作と言っても間違いないと思う。
R15+となっているのは安藤サクラの濡れ場があるからです。
満足度は5点満点で5点☆☆☆☆☆です。
自分に価値を感じるために
みんな自分の「ものさし」を持っている。お金を持ってるとか、見た目が良いとか、お年寄りに優しくできるとか、箸の持ち方がキレイとか。
いろんな「ものさし」は、世界と自分をつなぐ架け橋であり、自分の価値を高めるツールでもある。
主人公・一子は、自分の価値を感じられる「ものさし」を持たない女だった。一般的な「女のものさし」はことごとく一子に低評価だ。「可愛く」ない。「若く」ない。「愛されて」ない。
かといって「働いて」ないし、当然「自立して」ないし、まさに「時価百円」くらいの自己評価なのが切ない。
そんな「ものさし」要らねーよ、とばかりに「女捨ててっから」とのたまう一子だが、とうとう「無償の愛」という「ものさし」すら失うことになる。
そんな一子が深夜勤務のアルバイトに就けたのは、当時の店長の「募金をしてくれる人は良い人」という「ものさし」だ。人生はわからない。
ボクシングに打ち込む狩野が気になったのは、はたして一子の中のどの「ものさし」だったのか。
狩野の「ものさし」はわりと明白に「誘っても断らなそう」という身も蓋もないヤツである。
遅すぎた恋に、人生は残酷だ。「若さ」と「可愛さ」で圧倒的に上回る女が現れれば簡単に愛は裏切られる。
愛した男が愛したボクシング。勝敗をかけて殴りあった相手と、互いの価値を認め合う行為。同じ「ものさし」を持つもの同士だけが、認め合える最高の瞬間。その煌めきを追いかけただけなのに。同じ「ものさし」を持ちたいと思っただけなのに。
一子の中で少しずつ「ものさし」が構成されていって、それが一子自身をも変化させる大きな力になっていく。その描写を一人で体現仕切っている安藤サクラは凄い。
誰かから自分を否定的に見られても揺るがない、むしろ前のめりにボクシングに打ち込んでいく様は「私の価値はこれだ!」という叫びにも思える。
一子以外の人物も様々な「ものさし」で劇中に登場するが、本来一番一般的でマトモな「ものさし」を持っているはずの新店長が「嫌なヤツ」に見えてしまうから不思議だ。
私も一子の熱に浮かされていたのかもしれない。
自分の価値を賭けた大勝負は、さながら女版「ロッキー」とも言える。「ロッキー」が証明したかったのはエイドリアンに相応しいかどうかだったのに対して、「百円の恋」は恋よりも彼女自身に重きを置いてるのが、タイトルと違っていて面白い。
自分の設定した「ものさし」で、自分の価値が低いのはカッコ悪いかもしれない。でも「ものさし」すら持てないのはもっとカッコ悪い。
百円が百十円になったくらいでも良いじゃない。
そこに自分への自信があれば。
女に出来ないことはない
武正晴監督の作品で一番好きな映画だ。主演の安藤サクラが時系列通りに太ってから身体を絞っていったそうで、役にかける気概が違う。
ラブシーンで、イチコがユウジの要求に応えるシーンがなんとも鈍臭くていい。日常生活でのソレは、キラキラした映画やドラマのようには上手くいかないものだと思う。両方が納得?満足?のいく性行為なんて、意外と少ないのかもしれないと思った。
ボクシングシーンが本気でスカッとする。音楽がいいタイミングでかかるから更に高揚感が溢れてくる。
何もかも忘れたい時には、この映画がおすすめです。
作品に関係ないのだけれど、安藤サクラのお姉さん安藤桃子監督が作った映画館【キネマミュージアム】が、高知市の映画館の中に入ってないから早く入れてほしいです。よろしくお願い致します。
どんどん鍛えられていく安藤サクラがすごい
社会的地位の低い女性のパートが、あまりにも貧乏のそれで辛い。取り巻く人間もクズ。新井浩文がモテるヒモ男を演じているのが生々しい。
ボクシングを通じてだらしないからだがどんどん引き締まっていく過程がかっこいい。
最後大泣きする安藤サクラを連れて歩く新井浩文の画が映り、なんとなくかわいらしさを感じて終わるのもとても良かった。
これが痛みってやつか
感想
女性不利的な弱い立場の人間が、怒りや葛藤を超えてリベンジをするストーリーに熱くなった。
個人的にハラハラしたのは、レイプされるシーンとされる前のあたり。
私的にはかなりベストに近いもの。
私がやりたいものに近いのかもしれない。
ドラゴンタトゥーなどもそうだが、女性差別の男性有利の社会の中で反骨的に、強い女性になっていくキャラクターにかなり共感を覚える。
原作者がすごいのか、脚本家がすごいのか。どちらもすごいのだろうが。
この胸に残るモヤモヤはなんなのだろう。
切ないような、気持ちがいいような、人間模様。
私が思う、本質的な人間の本性、自分の中の悪との戦いは、この映画の主人公にはあまり含まれていない。
だからこそ、このモヤモヤの正体がきになる。
ただ、彼女が絶対にずっと葛藤していたのかと言われると違う。葛藤する場面が所々に点在しているだけで、彼女の性格的にただのんびり暮らしている。
葛藤を描くべきだが、葛藤を全体に散りばめる必要はないのか?
悪、ではないが、本性、ではあるのか?強くなりたい。負けたくない。女だからって、男だからって、搾取される側にいたくないというのは本性?でも隠して生きてきたわけじゃない。しかし、外に出なかった感情。
そうか、今まで隠しているわけでもなく、気づいているわけでもないけど、外に出てこなかった、あるいは出さなかった「生の感情」の発生が僕の頭の中のモヤモヤの正体なのかもしれない。
それは、怒りなのか、愛なのか、喜びなのか、悲しみなのか、どんな感情であれ、その人物に眠っているまだ見ぬ感情がどこかにある。
ソーシャルネットワークで言えば、マークの「ビジネスで成功したいという自己承認欲求」が、会社を膨らませることになったが、ただ1人の親友を失うことになる。
Zガンダムでいえば、カミーユの「父親と母親に認められたい」という気持ちが、ガンダムに乗って戦争に参加するきっかけになった。
ドラゴンタトゥーで言えば、女の「ダニエルクレイグに対する恋心」が、最後のシーンにつながる。
しかしまだ断定はできない。
これからも映画を見続け、私がどんな映画が好きで、どんな映画を作りたいのか研究していくことにする。
圧巻でした
パンチある
安藤サクラさん本当に本当にすごい!ニート時代の社会性がなくて不器用な感じからどんどん変わっていく感じ。動きもビュンビュンで超かっこいい。演技大好き。
一子は根は真面目で素直なんだなあと思いました。だから応援されるし、したくなる〜。
展開も飽きることなく最後まで見られた!
ラスト男についていく終わり方だけはちょっと好みじゃなかった(T . T)
投げやりだった人生をボクシングで輝かせるオンナ
親から殴られたことも、男から殴られたこともない。
なのに私はボクシング映画が大好きだ。
この「百円の恋」はボクシングに魅せられた女の、ちょっと風変わりな
ボクシング映画です。
「ロッキー」シリーズ、
ロッキーの宿敵アポロの息子の、
「クリード」の2作品。
嗚咽が込み上げてどうしようもなかった、
「ミリオンダラー・ベイビー」
邦画にも名作が多い。
菅田将暉とヤン・イクチュンの、
「あゝ荒野」前後編。
私のマイベストである、森山未來の代表作、
「アンダードッグ」前後編。
監督は、
「百円の恋」の武正晴監督なのかー、知らなかった。
松山ケンイチと東出昌大の、
「ブルー」もいい、
ブルーもボクサーの性(さが)を描いてて、
殆ど勝てないのにボクサーを諦めない男・松山ケンイチと、
才能はあるけれど、いよいよチャンプに上り詰めようという時、
失明の危機が訪れる東出昌大。
一様にボクシング馬鹿揃いだ。
子供を殴ったことも、夫を殴ったこともない。
なのに何故かボクシングシーンは血が騒ぐ。
無気力、だらしなさ、不潔、自堕落、やや鈍感!
そんな感じの32歳。
斎藤一子(安藤サクラ)
だらしなく緩んだ体型、なぜか尻や腕をいつも掻いている・・・
シラミでも飼っているのか?
そんな一子が出戻りの妹と喧嘩して、生まれて初めて一人暮らしをはじめる。
「百円生活」というコンビニの深夜店員になるのだ。
店に百円バナナを大量に買いにくるボクサーのバナナマン(新井浩文)に、
試合のチケットを貰い。
ここで突然一子の人生の歯車が動き出す。
一子が生まれて初めて「やる気」を出したんだ。
バナナマンのボロ負けの引退試合をみた一子は、
→殴り合って、終わったら、肩を叩き合うのが、→なんかイイ、
のだそうだ。
好きになった男もボクサー。
新井浩文も得体の知れない男で、
善人なのか?悪人なのか?
判断は付かないが、駒を振れば落ちて行く予感!
そんな男。
「百円生活」の店員も掃き溜め感満載で、どう転んでもいい人ばかり。
そんな一子だって「パンチを喰らわしたくもなるさ」
やはり試合のシーンは迫力があった。
「一発ぐらい当てて見ろ!!」
…………そんなに簡単に当たるもんじゃ、ない……………
4ラウンドだけど3ラウンドとられたら、即負け!!
もう一度言うけれど、
ボクシングのパンチの応酬は見応えあった。
ストップモーションとか撮影技術での特殊な仕掛けはは少なかった、と思う。
本気でカラダとカラダのぶつかり合いだった。
安藤サクラの存在を知った映画だった。
サクラの好演はたまたまでも偶然でもなく、
満を持して「当然過ぎる」実力者の登場だった。
それほど美しくもなく、若くもなく、巨乳でもなく・・・
しかし安藤サクラほどの役者根性を持った知的な女優は日本には
ホントに少ない。
それが寂しい。
(女優は金持ちと結婚するための腰掛けか!)
(相手役の得体の知れない男・新井浩文がなんと刑務所の中・・・
・・・とは!)
安藤サクラ、
父親の奥田瑛二、
夫の柄本佑、
義弟の柄本時生、
義父の柄本明、
実姉の安藤桃子監督。
華麗なる一族の台頭が嬉しい。
非現実的なストーリーだけど引き込まれた
安藤サクラの人間力に引き摺り込まれるシュールでカッコいい作品
音量のバランスどうよ?
とにかく安藤サクラがすごいの一言。 人生に投げやりな女が家出をし、...
全254件中、21~40件目を表示










