はじまりのうたのレビュー・感想・評価
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U2のNYジャックゲリラLIVEみたい
ストリートライブのシーンがカッコイイ!思わず身体が動く!80年代U2のNYジャックゲリラLIVEみたいで絵面がどこかレトロな雰囲気。
バンド好きな人や、バンド組んだことがある人にはたまらないのでは。
80年代U2のNYジャックゲリラLIVE" Where the streets have no name " を彷彿とさせる。
始めの方と、中盤から最後にかけてのヒロインの表情が全然違う、笑顔が素敵。
あと、買い物前の娘ちゃんと
買い物後の娘ちゃん、これまた全然雰囲気違っていいね(^_-)-☆
ギター・ソロ、カッコ良かったよ!と、思わず頑張れ娘ちゃん!と応援したくなります。
悲しみに沈む友人が突然訪れてきたら、何も言わず抱きしめるスティーヴのような人に私はなりたい。
冒頭のグレタの歌のシーンからもうビビッときた。
いい!いいじゃないかこの歌!
その後のデイヴの録音シーンでさらに腰抜かす。 「なんだおい!!上手すぎだろ!」
それもそのはず、この人、あの人なんですよね。。。どっかで聞いた声だと思った。そりゃ上手いわ。
しかし、このことを知らない人間が歌声を聴いてハートを鷲掴みされる、というのは本物の証じゃないか。 「マルーン5」実力があるうえでの人気であること、おみそれしやした。。。
歌の歌詞で彼の心が自分にないことに気づくシーン。こことても繊細な表現。
グレタが、カラッとさっぱりした明るい女性でいい。ちゃんとしたスタジオで録音できないことに落ち込むこともなく、ダンの提案したNYの街中でおこなう野外ゲリラ録音の提案を目をキラキラさせて聞く。体裁や見た目やお金でなく、本当に大事にしたいこと自分の気持ちが求めるものに正直で忠実。バイオレットへの「いい女指南」もかっこいい!
そのバイオレットのギターソロ、しびれた!不安がる周囲を実力で黙らせた。いい!こうやって自分で道は切り開くもんなんだよな。
終盤のデイブのliveシーン。グレタの頬を伝う涙は単に感動してるんだと思ったら「最初は彼女のアレンジで歌いだしたものの、最後はポップス調のアレンジになった。ということに対する涙。」というレビューがあり、なるほどなと。確かに最後の繰り返しのフレーズのとこなんてもう我慢できずにマルーン5全開!だもんね。 失望の涙?それとも自分が否定したアレンジ版があまりに良かったので悔し涙? どれなんだろうなあ。
グレタはダンのこと好きになったんだろうな。
そのダンはなんで急に真面目になり、家庭に帰っていったのか?ちょっとここは唐突感あったな。渾身のアルバムができて満足したということかな?まるで燃え尽き症候群みたいだった。(笑
観終わった後、真っ先に思ったのが「出来上がったこのアルバム欲しい!!」
街の音とかきっといい感じでマッチしてるんだろうな。
誰かのレビューにあった 「全編通して純粋な音楽への想いが感じられる映画」まさにこれ!
最後1ドルでリリースしちゃうとこなんて象徴的(笑)
※早速サントラ入手しました! これから秋の街をこのアルバム聴きながら楽しみます。
咬みつけ!咬み殺して!キーラ・ナイトレイ
Keira Knightley
ルックスと「キーラ・ナイトレイ」がこれほどしっくりくる女優はほかにはいない。
まさに、狂った狂犬。
咬みつけ、キーラ。戦え、ナイトレイ。
原題「Begin Again」
このテイラー・スウィフトな原題とBegin Againなシチュエーションなんか全く縁のなさそうなキーラ。
しかし、これが実にいいのだ。
彼氏アダム・レヴィーンに新曲を聞かされ、表情がみるみるかわるなり、くそビンタ。今のレヴィーンにビンタできる女は確かにキーラしかいないんじゃないか、と思わせるほど、説得力がある。
俺もビンタもらいたい。
本作、音楽映画としての風貌ではあるが、実は音楽で成功するとか、路上でアルバムをつくるとか、そういう部分は結構描いてなかったり、適当だったりする。
つまり、体はファンタジー。
この辺を映画的に欠点とみることもあるかもしれないが、これはもう作り手が、意図的に、キーラのかわいいところ、かっこいいところ、咬みつくところしか興味がない、ぐらい、キーラ萌え。
そのスタンスなので、リアリティは全く必要なし。
もちろん、それなりにバランスも配慮し、ラファロの娘の参戦には、それなりにシンプルなガールズポップで楽しませり、最近のレヴィーンの匂って来るような臭い歌声とアレンジを半分自虐的に笑いに結び付けたりと、なかなか楽しい。
特にイヤホン分配器での、互いのお気にいりのプレイリスト公開と互いの音楽談義とダンス、といささか中学生の青臭いドリームを照れも臆面もなくやってくれるところがいさぎよくって、鼻で笑うを通り越して、ほっこりする、っていう、中二病感も満載。
それだけだったら、中学生なのだが、ラストの、キーラの、ラファロを、まさに噛み切り殺しそうなあのまなざしと、エピローグの分配器。
最高である。
さらに、ラストのキーラのチャリンコ。
泣くな、キーラ。その涙を咬み殺せ。咬み殺した微笑みがまた美しい。
追記
ここまでヒロインにヤラレてしまったのはホント久しぶり。ラストのチャリンコ姿や、エピローグの内容からして、これ、続編イケんじゃねえか?
お願いですので、イってください。
追記2
「音楽」映画は今年もたくさんあるけど、これと「きみが生きた証」は導入部から表向き非常によく似ている。ある意味、どちらも雰囲気映画ではあるのだが、あちらは「音楽」映画ではない、というのが決定的に違う。
キーラの笑顔が観たくって。
キーラとの出会いは、「ベッカムに恋して」。まっすぐにサッカーとベッカムを愛する女の子を、底抜けの明るさで爽快に演じていました。そのキラキラとした輝きときたら! その後、「パイレーツ・オブ…」シリーズが大当たりして大活躍!!…したものの。何だか薄幸な役どころが続き、最近では、華奢な身体がポキンと折れやしないかと気掛かりになるほどでした。
そして、本作。予告で生き生きと歌う姿に惹かれ、劇場に足を運びました。それなのに、冒頭の彼女はどんより・ボロボロ。あれ、またしても…⁈と心配に。けれども、音楽の力は絶大です。輝く者と輝かせる者を結びつけ、街の喧騒までも巻き込んで、ぐんぐんとエネルギーが吹き込まれていきます。
屋外で奏でられる音楽が、なぜこんなにも、彼らと観る者の心を浮き立たせ、躍らせ、奮いたたせるのが…。それは、掛け値なしの解放感であり、しがらみから解き放たれ、時に迷いながらも、地に足をつけて少しずつ自分らしさを取り戻していく、彼らの姿に重なるからかもしれません。
そして、物語を引っ張るのは、キーラ演じるシンガー、グレタとマーク・ラファロ演じる落ち目プロデューサーの微妙な関係。音楽パートナーとしての関係を深め、さらには恋にも…⁈というさじ加減が絶妙です。下世話な視点で言えば、今回のキーラも、ハッピーエンドではないのかもしれません。けれども、 夜のニューヨークを自転車で駆ける、ラストの彼女の笑顔は、久しぶりにキラキラとしていました!
そして、ふと感じたこと。良き映画の良き友は、しばしばぽっちゃりと太っている…。「50/50」の主人公を支える親友と同様、グレタを気に留め、背中を押してくれる愛すべきストリートミュージシャンの存在が効いています。演じるは、「イントゥ・ザ・ウッズ」でも歌い踊っているジェームズ・コーデン。「ワン・チャンス」のように主役を張るより、脇で光る俳優さんだなと見直しました。今後も楽しみです。
エンドロールの最後の最後まで、映画と音楽の楽しさが詰まった快作。春の雨の休日、明日からの活力になる素敵な映画に出逢えました。通勤途中、いつもの街を観る目が変わりそうです。
この映画を観てスプリッタを買った
イヤホンのスプリッタの、小道具としての使い方が好きだ。スプリッタは「分岐」させるためのものだが、一つの端末を2人で「共有」するために使うもの。スプリッタで音楽のプレイリストを共有する2人は、愛はあるけれどいつかは別れる。スプリッタが別れと想いの共有という相反する2つのメタファーに同時になっている。
ジョン・カーニーの映画は、いつもシンプルなのが良い。音楽を巡る政治的言説などは出てこないし、経済的な問題もあまり語られない。彼の映画で描かれるのは常に純粋な音楽への想いだ。音楽への原初的な衝動を常に大事にしている。今作ではそれを中年男性が体現するのが良い。いくつになってもそういう初期衝動のようなものを忘れないでいられたら、失敗してもやり直す力が湧いてくるのだろう。青臭いと思う人もいるだろうけど、青臭いから良いものもある。むしろ青臭いものをてらいなく語れることを羨ましいと思う。
いいストーリーだがマークラファエロは?
BSで録画視聴。
ストーリーは単純で平凡。いいストーリーだが。
この作品は哀れなるものたちに出演したマークラファエロが出演。興味深く見たが、合わない。ピンとこない。
笑顔になれるラスト
序盤は、なんか暗い…という感じでしたが、途中からどんどん楽しく、爽やかなラストはとっても良かったです
それも音楽がとっても良い!
プレイリストに何曲も入れました
楽しい作品で観て良かったです
ジェームズ・コーデン演じる友達がホント優しい友達で、何も言わずハグするシーンがとっても心に残ってます
ただ個人的にはキーラ・ナイトレイがどうしても明るいキャラが似合わないように思えて、役柄になんか違和感がずっとありました
NYのロケーションもとってもステキでした
ニューヨークをぐるぐる回ってレコーディングするという、なんてすばらしい!
旧友のスティーヴはちょっとそこらにいない素晴らしい人で、私もこんな友達欲しい。
トラブルガムも、こういう人をナイス・ガイっていうんだなと思った。
現実にはなかなかいないこういうタイプの人間に出会えるから映画ってすばらしい。
路上で録音だ!と決まってから、どんどん展開していくのにとてもワクワクした。
バイオレットがギターを弾くシーンは、はじめ恥じらってたのに、ギューンと入った途端にノリノリになって、超キュートでカッコ良かった。
キーラ・ナイトレイは歌も素敵だが、頭も切れるお姉さん役で「まず、その尻軽な服装をやめなさい」にはシビレタ。そして「ショッピングする?」と来たもんだ。完全に惚れるね。私も学生の頃にこんなお姉さんに出会いたかった。
イヤホンで街を歩き回ったり、パソコンでやっちまうとことか忘れられない。
自転車で風切って、ドアップがうれしそうで、一緒にうれしかった。
これは撮影された場所をめぐりたいよね~と思ったら、ちゃんとこの映画の撮影場所案内図が作られてた(笑
あ~ニューヨーク行きたい!
あまり響かなかった。
ストーリーはいたって普通。
一応サクセスストーリーなのだろうが、あまりリアルな感じはしなかった。
音楽を題材にした映画はストーリーがまあまあでも曲が良ければ楽しめると思っている。しかし、この映画に関しては好みの問題もありそうだが肝心の曲もわりと普通で、一曲も頭に残っていない。
特にサントラを聴きたくなったりもしなかった。
音楽を題材にした映画で好きなのは、「ONCE ダブリンの街角で」と「CODA」なのだが、その2作には遠く及ばず、といった感想。(ONCEは本作と監督同じだけど…)
落ち目の音楽プロデューサーと傷心帰国する直前だった女性シンガーの出...
落ち目の音楽プロデューサーと傷心帰国する直前だった女性シンガーの出会い。
デモ音源を作成する際の前向きな展開は観ていて楽しい。
結局契約を見送ったのも冷静な感じでよかった。
女性シンガーは元カレと寄りを戻すのだろうか。
ルーフトップ・コンサート・イン・N.Y。 堂々たるニューヨーク映画!…良くも悪くも。
落ち目の音楽プロデューサーと傷心のシンガーソングライターとの出会いと交流、そしてそれにより生じる変化を描いたミュージカル・ドラマ。
監督/脚本は『ONCE ダブリンの街角で』のジョン・カーニー。
恋人と別れ失意の中にいるシンガーソングライター、グレタ・ジェイムズを演じるのは『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズや『ラブ・アクチュアリー』のキーラ・ナイトレイ,OBE。
零落したかつての有名音楽プロデューサー、ダン・マリガンを演じるのは「MCU」シリーズや『グランド・イリュージョン』の、名優マーク・ラファロ。
ダンの娘、バイオレット・マリガンを演じるのは『トゥルー・グリット』のヘイリー・スタインフェルド。
グレタの友人、スティーヴを演じるのは『ガリバー旅行記』『三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船』の、名優ジェームズ・コーデン,OBE。
ニューヨークを舞台とした大人の悲喜交々。主人公の一人であるグレタを演じたキーラ・ナイトレイがとにかく美しい✨彼女×N.Yという組み合わせの時点でもう勝ち確みたいなものである。
ワシントン・スクエア公園や地下鉄、エンパイア・ステート・ビルが見えるルーフトップなど、ニューヨークの名所の数々を美女がバックバンドを連れて歌い回る、というわかりやすいほどにわかりやすいニューヨーク観光映画。おしゃれで洗練されていて煌びやかで、それでいて品が良い。この映画を見れば誰でもニューヨークに足を運びたくなるだろう。
美女とニューヨークとマルーン5。基本的にはこれだけで出来ている映画であり、ストーリーなんてものは無いに等しい。登場人物はどれも書き割りのようで、まるで生活感というものが感じられない。
各キャラクターそれぞれの悩みも薄っぺらいし、それが解決するまでのプロセスにもあまり共感を見出せなかった。
この映画の締めの部分もなんだかなぁ…。レコードレーベルを通さず、自分たちでアルバムを売ります!でも大物ミュージシャンのコネは使います!値段は1ドルです!1日で1万枚売れましたが、売り上げはバンドメンバー全員で折半します!…甘ったるい寝言みたいな話だなこれ。この頭の中お花畑感には、どんな御伽話でも敵わないだろう。
グレタが歌うライブハウスのシーンから映画は始まり、その後このシーンを終着点としたダンとグレタの、それぞれの長い回想が始まる。これがまどろっこしいというか、物語が全然前に進んでいかないというもどかしさを覚えてしまった。しかも、映画の頭とダンの回想の終わりで、同じグレタのライブシーンが2回も映し出される。そりゃ2回目にはダンの想像する伴奏がついているんだけど、前回その歌を聴いたのは15分前な訳だからね。そんなに短いスパンでおんなじ場面を見させられるというのはダルいし、作劇としても鈍重に過ぎる。
普通にダンのパートから映画を始めれば良かったと思うし、グレタの破局の件なんてそんなに尺を取って描くべきことだとは思えなかった。そんなことより、もっとダンとグレタが音楽的な価値観の相違でぶつかり合ったりしながら、次第に絆が芽生えていくような友情構築のドラマをしっかりと見せて欲しかった。
クライマックスは、マルーン5のボーカルであるアダム・レヴィーンが演じるデイブのライブシーン。
マルーン5のファンからしてみればそれで良いのかも知れないが、彼のことをよく知らない門外漢の自分からしてみれば「お前の歌なんか知らねーよ浮気男😡!!」というのが素直な感想。
そこをフィーチャーするのなら、グレタのルーフトップ・コンサートがクライマックスで良かったんじゃない?とか思ってしまう訳です。
ダンとグレタのラブストーリーになるのか…?と思わせておいて、そこには着地しない。この抑制が効いたストーリーテリングは上品だと思ったけど、もしこの2人がデキちゃったらそれはそれで問題がある。ダンは一応既婚者だからね。
不倫映画になっちゃったらそれこそ物語がしっちゃかめっちゃかになっちゃう訳で、そういう風に考えるとそりゃこの映画の結末はこうせざるを得ない。無難な着地ではあるのだが、そこに面白みがあるかと言われると微妙である。
正直、ストーリーには全く乗れなかったのだが、とにかくキーラ・ナイトレイが美しく、そしてニューヨークの華やかな街並みには心が躍った。ニューヨークのPVとしては完璧な出来であり、そういう意味ではこの作品は堂々たるニューヨーク映画であると言えるだろう。
下手に中身が無い方が良い!ただ街を綺麗に撮ってくれればそれで良い!それが「I ♥ NY」!!…なのか?
意味分からんかった・・・
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音楽のプロデュースに夢中で、家庭に問題をかかえるおっさん。
恋人と共に音楽での成功を夢見るも、恋人のデビュー確定後に捨てられた女の子。
この二人が出会い、おっさんが女の子をプロデュースする。
そしてゲリラ的に街中でプロモーションビデオを撮影する。
女を捨てた男の方はそこそこ成功し、ライブを開催する。
そこを女が見に行く。
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まさに上記のような内容。意味不明なまま突然終わる。
ここでの評価を見る限り、多分良い映画なのだろうとは思う。
でもおれには全くもって意味が分からんかった。
音楽映画…かな!?
ある音楽雑誌のサウンドトラックアルバム特集の写真を見て、「あ、これウォッチリストに入れていたかも…」で観てみたら、「ああ、これ観たことあるよね…」。まあ、それほど印象の薄い映画でした。
決して、嫌いな映画ではないし、好感は持てるし、街頭ライブとか楽しいところもあるけど、私の場合、入り込むことはなかったですね。
決定的なのは、役者がギターを弾けないこと。コードも押さえられない人が、ギターを弾いて歌っているフリをしている。これでは演奏シーンも楽しめないし、これで音楽映画を作っているつもりかしら、と監督の姿勢を疑ってしまいます。
ということから、私としては観ても悪くないけど、お勧めではありません。
報われない美女と自業自得の野獣がタッグを組んで新しい息吹を奏で幸せを求める、素敵な音楽映画
公開当時評判が高かった「ONCE ダブリンの街角で」(2007年)が長い間気に掛かって未見のままでしたが、そのジョン・カーニー監督の今作を観る機会を得ることが出来て、とても気に入ってしまいました。公私共にパートナーとして売れっ子歌手デイブとイギリスからニューヨークに来たシンガーソングライターのグレタという若い女性が、レコードレーベルの創立者で二度のグラミー賞の実績を持ちながら長いスランプに陥り、家庭も崩壊した音楽プロデューサーのダンという中年男性と偶然に出会って化学反応を起こす音楽映画の、その語り口の巧さ、演出の呼吸がいいことに感嘆しました。タイトルバッグを兼ねる唐突なプロローグのライブバーのシーンから、そこに至るまでの説明がほぼ前半部分を占める長尺なのに弛みが無く、一寸いかがわしく、同時に明け透けながら、人間味とユーモアが感じられる演出タッチが観ていて、とても心地良く楽しめたのです。そのストーリーの意味合いや流れを暗示する曲の歌詞がまた、観る者の想像力を掻き立てます。主役二人を対照的な(報われない美女)と(自業自得の野獣)に意図した設定も、脇役との関係性で補足していて説得力があります。例えばデイブとグレタが2年間の付き合いと睦み合うものの、デイブファンから写真を頼まれる様子があり、レコード会社での扱いも、スタッフ用のコーヒーの買い出しするグレタがアシスタント並みの扱いと見せます。そこからデイブの裏切りをビンタ一発でお返しする展開の無駄の無さ。また親友スティーヴが路上ライブで熱唱した後の白けた視界の先からグレタが現れて再会を喜び合うシーンと、スーツケースと自転車を引っ張りながら無言で近寄るグレタをまるで恋人のようにスティーヴが抱きしめるシーンの描き方の見せ方。ギャシャーンと倒れる自転車にグレタの心情が表れています。この自転車の扱いの巧さ。ダンが娘バイオレットを迎えに行くシーンも良い。飲んだ酒の瓶を隠し、口臭を誤魔化し嘘を付くところから、父親の良いところを見せるつもりで会社に乗り込むも無様な姿を晒す羽目になり、家まで送ると妻の容赦ない全否定の愚痴に襲われる。ただ、家の中まで入って来たダンにバイオレットが食べ物を上げるカットで、そんな父親を嫌いになれない娘の気持ちが推し量れます。脚本と演出を兼ねたジョン・カーニーの巧みに計算された映画的な表現力に感心しました。
後半の見所は、正式な録音スタジオが使えず、苦肉の策でニューヨークの街中で強行するライブ録音の臨場感含めた音楽作りが生き生きと描かれて見惚れてしまいました。ただ本来あるべき音楽の音への拘りからすれば、このユニークさを邪道と感じる人がいてもおかしくありません。予期せぬ騒音や風などの自然音が混じってしまい、喧騒の正体が気になる繊細な音楽愛好家もいるでしょう。制作費を抑えたいダンのこのアイデアは、あくまで映画のストーリーとして創作されたフィクションと捉えるべきと思います。それでも偶々裏道で遊んでいた子供たちがコーラスを担当するところなど良い味わいですし、地下鉄ホームのゲリラ録音の可笑しさ、摩天楼に囲まれた夜の屋上のロマンティックな雰囲気での盛り上がりなど印象深いシーンが続きます。このアルバム作りが進む中で、グレタの恋人デイヴとの復縁への期待やダンの家族の再生の予感を織り交ぜた脚本も、巧みに練られていて素晴らしいと思いました。それとセントラルパークのシーンでは、ジョージ・シドニーの「愛情物語」で名シーンになっていたベセスダの噴水が登場しています。ロケーションとしてはありふれた場所なのでしょうが、優れた音楽映画の優しさを想起させるカメラワークに一寸嬉しくなりました。
主演のキーラ・ナイトレイは、音楽家として自立するグレタの内面の葛藤を等身大に近づけて表現していました。無名のシンガーソングライターのグレタ役には新人の女優か音楽家が最適だったのではと思いますが、このナイトレイの地味な演技に彼女の真摯さが感じられて、良かったと思います。才能が有りながら運に恵まれないダン役のマーク・ラファロは、汚れ役と言っていいキャラクターを愛嬌あるユーモアを醸し出しながら丁寧に演じていました。妻ミリアムのキャサリン・キーナーとの相性も良く、変な夫婦像を演出と共に構築していて面白かったです。個性が光っていたのは、娘バイオレットを演じていたヘイリー・スタインフェルドの若さ溢れる演技。今この瞬間の存在感がありました。音楽家のアダム・レヴィーンとシーロ・グリーンについては何の知識もありませんが、作品に合った演技を全うしていて、俳優陣全体のまとまりのある音楽映画になっています。役柄で驚いたのが、ジェームズ・コーデンが演じたスティーヴの人の良さでした。女性にはモテそうもないですが、優しい心を持った善人でグレタには恋人以上に必要な男性です。世の中に、こんなお人好し男性が意外といるものです。
これら俳優への演技指導も含め、初めて観るジョン・カーニーの映画的な手腕には感心するところが多く、近年の作品の中では私好みの良作と評価したい。演出の息遣いと音楽愛が一つになったカーニー監督の秀作。温もりを求め街に生き音楽を奏で幸せを願う物語が、とても素敵な映画になっています。
キーラ・ナイトレイ この映画に費やした準備の熱量には舌を巻く
TVを録画して見た。
面白かった。キーラ・ナイトレイは、こんなにプランを立てて演技ができる人だと思わなかった。すごかった。誰かモデルがいるのかなあと邪推してしまった。
でもこの映画に費やした準備の熱量には舌を巻く。
主人公が、訣別の為(自分の心の清算の為)の曲に、元カレが感動してよりを戻そうとするシーンは良い!!!
男だから分かるわ!女の気持ちも分かるわ!(そうされてきたから)男と女の違いを浮き彫りにしている。
でも、ストーリーは、面白いちゃー面白いのだが、日本のアニメ風の、自分の利益を度返しして、感動させるやり方は、安易である。主人公が際立ってる部分は、利益の度返しである。
日本アニメの「どうして命を懸けて僕を助けてくれるんだ!」「だって、俺たち、友達だろう!」的な
(この例えは言い過ぎだが)
1ドルで売り飛ばすシーンは、感動するし、物語が締まるが、
もっとリアリティがあるアナザーストーリーが良かった。2ドルの提案に乗るのもなんだしなあ?
彼女には、メジャーになる力も容姿もある、元カレを歌で引き寄せる力もあるが、それを簡単に捨ててしまうかっこ良さに、リアリティーがないと言っているのだ。(捨ててないのかもしれないが、音楽のシステムが分からないから、あれは成功なの?)
この映画の軽さにもつながるのだが、だから悪くはない。そこに主人公のエゴイズムを入れると、かなり重くなって台無しになる可能性もある。
何度も観てる
題名通り何度も観てるが、自分の中では結局バイオレット役のヘイリースタインフェルドが1番輝いてるのは気のせいなのかなあ?
グレタもダンも素晴らしいが、いつもバイオレットを目で追ってるし、好きなシーンを何度も見返すとバイオレットのギターシーンと、ダンに促されて笑顔になるシーンが1番好きです♪
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