そこのみにて光輝くのレビュー・感想・評価
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必ずや、希望が光輝く
幾度も芥川賞候補になりながらも受賞出来ず自ら命を絶った不遇の作家・佐藤泰志の小説の映画化。
2014年度キネマ旬報ベストテン日本映画第1位他多くの賞に輝いた力作。
昨年11月のリリース時にレンタルしたものの、仕事疲れで途中で…(-.-)zzZ
再見しようと思ってる内に賞を総なめしている事もあり、初見のつもりで鑑賞。
どんよりとした夏の函館。
事故が原因で仕事を辞め、毎日ぶらぶら過ごす達夫は、パチンコ屋で荒っぽいが人懐っこい拓児と知り合う。言われるがままにバラックに招かれ、寝たきりの父とその介護に追われる母を水商売で養う姉・千夏と出会い…。
達夫を綾野剛、千夏を池脇千鶴、拓児を菅田将暉、実力派が名演を披露。
綾野剛はこういうインディーズ作品でこそ光る。五右衛門とか、ダメだよ…。
現在、若手の中で屈指とも言える演技派・菅田将暉のナチュラルな演技も見事。憎めない感じと危うさのバランスが絶妙。
そして、池脇千鶴。兼ねてから演技力に定評ある彼女だが、「ジョゼと虎と魚たち」と並ぶ代表作に。現年齢に相応した生活臭漂う女の色気滲み、ヌード&濡れ場も体当たりで挑み、綾野との絡みはAVのような生々しさ。
いつしか惹かれ合う達夫と千夏。
暗い過去を背負う男と家族を背負う女、不器用に愛を育む。
しかし千夏は、弟が勤める造園会社社長・中島の愛人だった。妻子が居ながら千夏と肉体関係を持つ、クズ人間。
演じる高橋和也はこれまで「八つ墓村」ぐらいしか記憶が無いが、こんなに巧かったけ!?と思うほどの凄みある演技を披露。
千夏に新しい男が出来たと知るや妬み、挙げ句の果てに暴力。
そして、ある事件が起きる…。
呉美保の監督作はユーモアとペーソス溢れるものが多かったが、ヒリヒリするほどのシリアスな作風。
ドキリとするような暴力シーンもある、生々しい濡れ場もある、とてもじゃないけど気軽には見れないヘビーな内容。
好き嫌いハッキリ分かれる。
しかし、役者たちが全身全霊を込めた演技、重厚な演出、見る者に媚びようとしない本気で描こうとしているものに、心奮わずにはいられない。
社会の底辺で生きる若者たち。
思い通りにいかない人生。
喘ぎ、息が詰まり、苦しい。
そんなどん詰まりの中でも、何かを求め、誰かを愛する。
必ずや、希望が光輝く。
池脇千鶴最高!
暗いイケメンが特に何をするでもなくいい女をゲットする話は見ていてムカムカする。それというのもオレのようにへりくだってヘラヘラして結局何も手に入らない場合が多いからである。殊更悲惨な感じで売春といった境遇を描かなくてもいいのではないだろうか。売春婦は売春婦で売春婦の日常があり、それが普通になってしまう悲惨さの方がずっと根が深い。この映画のように貧困、寝たきり、介護、売春という負の連鎖を、さあ悲惨ですよね!と描かれると安全な場所から見物させられているようで居心地が悪くて、そんな表現はあまり好きじゃない。
池脇千鶴がイケメンと海に入って若い二人なのでたまらなくなってキスをして体を求め合う場面はうらやましかった。いいなあ。
そこのみにて光輝く。
自分にはない経験ばかりで難しく感じたが
俳優さんたちの演技力が
とても素晴らしく感動した。
綾野剛さん、池脇千鶴さんの
体当たりは素晴らしく、
この暗い映画の中で子供のように無邪気で
屈託のない笑顔の拓児が印象強くて好き。
もっとこの映画を理解したい。
日本の抱える問題山積み
地方、高齢化社会、雇用問題などなど、真面目に日本の抱える問題を描いてる希少な作品でした。クソみたいな邦画が溢れる昨今でこのような映画に出会えて良かったと感じました。
逃げたくなるような現実と向き合いながらも希望を見出そうとする兄弟に涙しました。
うーん
原作を読んだ後に映画を見たので、原作と違うなーと思うところは結構あった。ただ、主人公の過去とかあえてかえる必要あったかな?と思うところも多々あり、多少違和感を感じながら見る事となった。
綾野剛と、池脇千鶴、あと拓治役の男性は凄いハマり役で良かった。個人的には拓治役はもっといかつい男をイメージしていたけど、映画を見てみると全然違和感はなかった。
ただ、面白いかと言われるとそこまでかなという印象。時間があれば見るのは良いけど、そこまで積極的にお勧め出来る感じではないかなと思った。詳説版も同じ印象。
内容としては、昔の作業現場でトラウマを負った男が函館で無気力に
生活しているところを、パチンコ屋で知り合った拓治とその姉とのかかわり合いの中で、生き甲斐を見つけ出すっていうような内容。
正直、そんなに目新しいようなストーリーではないけど、役者の演技が良いので見てみるのもあり
キャストの演技力の高さ
内容は全体的に暗いが、とにかくキャストの演技力の高さが光った作品。主演の綾野さん以上に菅田さんの演技が素晴らしかったです。また映像がとても綺麗でした。
思いのほか、良かった
実は、賞を穫った事によるミーハー的遅れ鑑賞組です。
まずは、冒頭のカメラワークに興味をそそられ
綾野さん、池脇さん共にその演技に引きまれました。
中でも、最近注目している菅田さんも出演していている事をその場で初めて知り、改めて彼の演技を観て、脱帽でした。
暗く切ない話の中で、無邪気な明るさを織り交ぜて、暗い中にも少しホッとする様な部分も、見事に演技されていました。
それが、余計切なくさせる部分でもありますが、
そして、それも最後には……
レビューにはズレますが、菅田さんと、もう一人注目している若手女優の方が主演される映画もあるそうなので、この映画を観て更にその思いを強くしました。
出口のない暗さ
呉美保監督の「そこのみにて光輝く」。社会の底辺といわれるところで必死に生きていく主人公たちの姿に「誠実」という言葉を感じた。しかし、彼らの「誠実」は報われることなく、這い上がろうとしてもがけばもがくほど、さらに突き落とされていってしまう。
綾野剛と池脇千鶴という二人の人気役者が体当たりの演技で凄みを感じさせる。ひとことで言うなら「暗い」映画なんだけれども、70年代の日本映画の持っていた暗さとはまた別の暗さがある。70年代の日本映画の暗さは、社会全体は明るい方へ向かっているのに、自分たちだけがその明るさになじめないという暗さだったが、この映画の暗さは本当に出口のない暗さである。
原作の佐藤泰志さんの小説は恥ずかしながら読んだことがないのだが、CSで「書くことの重さ 作家佐藤泰志」というドキュメンタリー映画を見て、この人自身が抱えていた「誠実」な生き方と、報われない「暗さ」がこの映画にも反映されているのだなと感じた。
池脇千鶴に恋をする
冒頭、綾野剛の全身を追うカメラに「これは!?」と胸を踊らせ、その後出逢う菅田将暉のクズっぷりに慣れたら、池脇千鶴の美しさにもう堪らなく、あまりに贅沢な三人をスクリーンで見ていることが幸せだった。
自分の発言により後輩をなくしてしまった達夫、自分の身体を金に変え家計を支える千夏の出逢いはとてもキュートで、愛し合う姿も綺麗。千夏につきまとう中島の脅迫で幸せにはなれない千夏をなんとか救おうとする達夫と拓児。全部の幸せになれない原因が「拓児の仮釈放」という言葉に丸められた途端に物語の道が誰にでも見えてしまう。良い言い方をすればとてもとても分かりやすい。その冒頭とのギャップに「は?」となりながらも池脇千鶴の美しさと美保監督の依頼にある心も身体も脱いだ女優魂。とりあえず、池脇千鶴バンザイの作品。
泣いた
そこのみにて光輝くを観てから余韻が続いている。愛を求める姿が美しくてでも哀しくて。どんな場所にいても今いる場所から逃げたくないって思う。
個人的には底辺のクソ社長の『家族大事にしてたらなぁ、おかしくなっちまうんだよ!』で、すごい哀しくなった
池脇千鶴。
涙が出ないほど、なんか悲しいとかつらいとかじゃなかったんだなあ。
正直、前半は微妙だった。
なんでパチ屋で出会って家にいくのか
そしてなんで達夫と千夏は恋をするのか
(恋っていうと軽い感じでなんか嫌だけど)
そもそもなんなんだその家は。
そこまで性処理しなきゃいけないもんなのか。
風俗店で再会するとか偶然にもほどがあるだろ、しかも初対面のシーンからさほど時間経ってないし。
そこでキレたくせに達夫が謝りに来たらツンデレかよ、そして海水浴しながらキス。
もう意味不明。
流れが早すぎて唐突すぎてなんじゃこれ。
もしかしてハズレだったか。
って本気で思った。
でももう後半から引き込まれすぎた。
見終わってからなら、あんなよくわからないけど惹かれあった二人も理解できる気がする。
この作品では、愛してるとか、好きだとか、大切にするとか、一緒にいよう、そばにいるとか、そういう軽い言葉がひとつもでてこなかった。
お互いが知ることのない時間の映像のなかで他人を通して描かれ、ぶっきらぼうな言葉、表情、キス、セックス。
千夏の、どこまでも自分を犠牲にして家族を守ろうとする姿。
守りたいから守ってはいないだろう。
ただ、昔愛された記憶は消えないんだろうな。
特にたくじは、観ている私がとても愛おしく感じてしまう人間だったから、千夏もきっと弟を本気で守りたくて、あいつと一緒にいたのだろう。
池脇千鶴、本当に好きだ。
彼女以外で千夏役にはまりそうな女優は思いつかない。
あの美人ではない感じ、肉付きがいい感じ、スタイルが良いわけではない感じ
たしかわたしが小学生のときに太陽の季節というドラマで初めて知った
もう12年くらい前かな。
変わらず魅力的だ。
ラストシーンは息を飲む美しさ。
あの衝撃的なシーンからの、だったし。
そして映画タイトル。
こんなにラストが素晴らしいのなら
初めから真剣に観たのに、
という残念さから星4つ。
池脇が切なく可愛い
遠近法を強調した被写体の配置で、どの人物の感情にフォーカスしているのかを明確に表現した画面。光彩のトーンは、背景から射し込む光をデフォルメして、その場の登場人物の感情を表しているかのよう。画面の力が、セリフ以上に人物の感情を表している作品だと思う。
池脇千鶴がとてもいい女優になったと思う。
彼女の演じる千夏を含め、登場人物たちはみな社会の周縁で寂しさを抱えている。地方都市といえども、彼らの境遇や孤独を受け入れてくれる温かみはなく、大都市のようにその大きな渦にのみ込んでくれるわけでもない。千夏の不倫相手も、町の顔役であり、造園業者を営む経営者ではあるが、一人で会社と家庭を守らなければならない孤独からは逃れることができずに、千夏とのセックスに依存している。ここでは社会の誰からも見つめられることがなく、その中に居場所を見つけることができないでいる。
千夏の弟は、家族のために採石場で働く決心をする。
採石場の事故で部下を死なせた佐藤は、千夏たちのために、辛い記憶を克服して仕事への復帰を決意する。
そして、千夏は、寝たきりの父親を殺して、家族の負担を減らそうとする。
こうした彼らの新しい決意は、すべてが実現することにはならないのだが、そこには暖かな光の射す彼らの居場所が現れるのだ。
ラストの陽光の中で微笑む池脇がとても美しく可愛い。
素晴らしい
最悪の状況にあってどうしようもなく惹かれ会う二人。お互いを救い合うような愛の行き着く先もまた…
役者がみな素晴らしい。池脇千鶴の存在感と演技…そしてラストシーンの表情。こんな良い役者だったかと初めて気付きました。
家族って・・・むつかしいですね
綾野剛さんが見たいだけで 見に行きましが・・
見に行って よかったです。
家族って難しい・・と思いました。
家族って なんなのでしょうか?
妻は 自分の意思で 妻になるのだから あのような夫でも 受け入れるか受け入れないか・・決める事ができますが・・
娘・息子は決める事ができないしどうすることもできないですね。
捨てることができない。
どこから 狂い始めるのでしょうか?
貧困でしょうか?
無知でしょうか?
自分のためだけに生きて行けば もっと幸せになれるはずだけど、捨てられない「家族」
親が 子どもに本当に教えなければいけない事を 考えさせられる映画でした。
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