そこのみにて光輝く

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劇場公開日:

そこのみにて光輝く

解説

芥川賞候補に幾度も名を連ねながら受賞がかなわず、41歳で自ら命を絶った不遇の作家・佐藤泰志の唯一の長編小説を、綾野剛の主演で映画化。「オカンの嫁入り」の呉美保監督がメガホンをとり、愛を捨てた男と愛を諦めた女の出会いを描く。仕事を辞めブラブラと過ごしていた佐藤達夫は、粗暴だが人懐こい青年・大城拓児とパチンコ屋で知り合う。ついて来るよう案内された先には、取り残されたように存在する一軒のバラックで、寝たきりの父、その世話に追われる母、水商売で一家を支える千夏がいた。世間からさげすまれたその場所で、ひとり光輝く千夏に達夫はひかれていく。しかしそんな時、事件が起こり……。

2014年製作/120分/R15+/日本
配給:東京テアトル
劇場公開日:2014年4月19日

スタッフ・キャスト

監督
原作
佐藤泰志
脚本
高田亮
企画
菅原和博
製作
永田守
菅原和博
エグゼクティブプロデューサー
前田紘孝
プロデューサー
星野秀樹
アソシエイトプロデューサー
吉岡宏城
佐治幸宏
キャスティングディレクター
元川益暢
ラインプロデューサー
野村邦彦
撮影
近藤龍人
照明
藤井勇
録音
吉田憲義
美術
井上心平
編集
木村悦子
音楽
田中拓人
助監督
山口隆治
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受賞歴

第38回 日本アカデミー賞(2015年)

ノミネート

優秀主演女優賞 池脇千鶴
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(C)2014 佐藤泰志/「そこのみにて光輝く」製作委員会

映画レビュー

0.58,000円

2014年5月22日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

幸せ

ネタバレ! クリックして本文を読む
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共感した! 6件)
しんざん

4.5佐藤泰志の心と同化してみせた奇跡的な作品

2022年3月30日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル、試写会、映画館、VOD

夭折の作家・佐藤泰志の原作を映画化する企画としては、「海炭市叙景」に続く2本目に製作されたのが「そこのみにて光輝く」。その後、「オーバー・フェンス」「きみの鳥はうたえる」「草の響き」と合計で5本の映画が存在するが、これが5本それぞれに佐藤の気持ちに寄り添った作風となっているため、メガホンをとった熊切和嘉、呉美保、山下敦弘、三宅唱、斎藤久志という監督陣には畏敬の念すら覚える。 その中で、比較するのも土台無理な話なのだが、「そこのみにて光輝く」という作品は、演出、カメラワーク、役者たちの息遣いなど含めて最も佐藤の心と同化してみせた作品ではなかっただろうかと、コロナ禍で全作品をつぶさに見直してみて改めて感じ入った。 綾野剛、池脇千鶴、菅田将暉ら俳優陣の仕事ぶりも見事のひとこと。

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共感した! 4件)
大塚史貴

4.0なんと頽廃的な作品、こんなの久々だ、いや初めてかもしれない。救いが...

2024年12月21日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

なんと頽廃的な作品、こんなの久々だ、いや初めてかもしれない。救いがない。良い子は見てはいけない作品(笑) 池脇千鶴、ただの童顔女優と思っていたら、いつの間に…買う(笑笑)

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共感した! 0件)
はむひろみ

5.0新しい気づきを得られた

2024年5月1日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

知的

難しい

幸せ

この作品を通して直接的に感じたことは、恋人でも夫婦でも、親でも子供でも、親友でも崇めるように尊敬する誰かでも、そのすべてを受け止めることなどできるのか? ということだ。 若気の至りで、仮釈放中のタツジ。父の脳梗塞、母の看病、体を売って働く姉、貧しさ。 タツオはパチンコ屋であげたライターの礼ということでタツジの自宅にお邪魔する。そこで見た光景。おそらく、誰でも引いてしまうだろう。 しかし姉のチナツに不思議な感覚を覚えるが、チナツもタツオと同じ心の揺らぎを感じている。 ストーリーそのものは少し前のメロドラマのようだが、この作品が視聴者に「誰かのすべてを受け止めることなどできますか?」という問いかけだと気づいたとき、生まれて初めてそんなことを考えたと思った。 タツオがそれらすべてを受け入れたのは、あの家族が日々感じている絶望に近い生き方と、石切現場で部下を死なせてしまった償いきれない自責の念とが調和するように対比したからだろう。 タツオが抜け殻になった要因はそれほど大きかったのだ。 中島はアウトローだが地元住民を守っている。彼のおかげで地元の活性が守られているが、多少厄介な部分もある。それが諸刃の刃になってオオシロ家に影響している。 中島が絶対悪でないところに現実味があると同時に、この作品の核について考える要素が出るのだろう。 タイトル「そこのみにて光輝く」この意味も多義的で難しい。 表面だけ追えば、タツジは一生あのままで、釈放されればまた中島に似た人物の世話にならざるを得ないのかもしれない。 オオシロの両親も相変わらずで、チナツもそこでしかいられないのかもしれない。 そしてタツオは山でしか仕事ができない。 しかし、 タツオ以外いったい誰がチナツのすべてを受け止めることができるだろうか? 正直に自分自身のことを考えても、誰かをそこまで受け入れることなどできないと思う。自分自身ですら受け入れられない部分があるのだ。でも、犬や猫ならできると思う。 「山へ行く前に、その亡くなった人のお墓参りに行かなきゃね」このチナツの言葉にタツオは大きく揺れ動かされる。タツオの心の闇をチナツも共有しているからこその言葉だろう。 「そこのみにて光輝く」の「そこ」とは、「すべてを受け入れること」なのではないだろうか? 物語は主人公らの再生を邪魔するように中島が介入してくるので若干うざいが、おそらくこれは物語上の都合でしかない。 母のあまりにひどい看護 父の性処理まで手伝わされているチナツ タツジのことで限界を感じ、そして首を絞める決心。慌ててそれを引きはがすタツオ。 海辺に立つ二人に朝日が輝き始めた。 それさえも受け入れるタツオの本心からの輝きが、まるで後光のようにチナツの顔に差し込む。 もし私が子供のすべてを受け入れられるのであれば、私は自分を神だと謳っていいだろう。 いまだかつてそんな考えさえ持てなかった。自分のすべてでさえ受け入れていないからだ。しかし、この作品を見て何か大きな気づきのようなものを得られた。 良い作品だと思う。

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