タンゴ・リブレ 君を想う

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タンゴ・リブレ 君を想う

解説・あらすじ

平凡な中年男性が、趣味で通っていたタンゴ教室で出会った自由奔放な女性にひかれ、新たな人生観を獲得していく姿を描いたドラマ。劇中タンゴシーンの振り付けを、世界的なカリスマダンサーのマリアーノ・チョチョ・フルンボリが担当し、役者たちが吹き替えなしでタンゴを披露。フルンボリ自身も出演を果たしている。刑務所看守として働き、私生活は平穏そのものな中年男性JCは、唯一の趣味ともいえる週に一度のタンゴ教室で、30代の女性アリスに出会う。翌日、JCの働く刑務所の受刑者にアリスが面会に訪れる。アリスの面会相手は夫と愛人の2人で、その2人は同じ事件の共犯者だった。看守は受刑者の家族と付き合ってはならないという決まりがあるが、JCはアリスに心ひかれていき……。

2012年製作/97分/PG12/ベルギー・フランス・ルクセンブルク合作
原題または英題:Tango libre
配給:ファインフィルムズ
劇場公開日:2013年9月28日

スタッフ・キャスト

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(C)ARTEMIS PRODUCTIONS - SAMSA FILM - LIAISON CINEMATOGRAPHIQUE – NORD-OUEST FILMS –MINDS MEET –RTBF

映画レビュー

2.0新しい家族像はわかったよ。 でもこの映画のどこにタンゴがある?

2025年4月16日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

「ラスト・タンゴ」 (2015)
「タンゴレッスン」 (1997)
と2本の名作を観てきたので、今回は少々拍子抜け。
「セント・オブ・ウーマン」にもアル・パチーノの素晴らしいタンゴシーンがあるのだが。

本作、せっかくのプロのダンサーを配役に混ぜてあるにも関わらず、どっこにもまともなダンスシーンが無い。だからガッカリなのだ。

刑務所内での、あの逆光で撮られたまるで”力勝負のような”演舞。
そして粋を極めたあの熱きタンゴ論。
そこまではその後のストーリーの盛り上がりへの想像がふくらんで、期待が否が応でも奮まった。

つまりは
囚人たちのタンゴがどんどんと洗練され、人を動かし、評判になって、ついには法務大臣や観客を呼べるようになる・・てな展開や、みんなでブロードウェイツアーにでも行くのかと思ったが
結局ぜんぶがどっちつかずで物語につながらない。尻切れトンボ感が否めないのだ。

アリス役は素敵な女優さんではあるが、町の老人のダンスサークルで下手くそなオジンを相手にしてモタモタ練習するだけで、踊り自体に魅力なし。シンママをやりながら「健康のためにダンスは良い」と曰うのだからつまらない。

看守?その例にもれず彼は仕事も恋も、そしてダンスも鈍くさい。金魚も男も死んでいる。
最後のあれは一体なんなの?人助け?

親友にして愛人関係のあの囚人二人も、血の滲むような練習もせずに、言い訳ばかりの 逃げの人生ではないか。

「ああいうラスト」をどうせ噛ましてくるんであれば、あのアルゼンチンのダンサーもボルボに乗せて一緒に脱獄でも良かったのではないだろうか(笑)
5Pから6Pにね。
それで皆さまお揃いで脱獄ならば、ギャグに振れて、破綻した今作も もう少しは腑に落ちて観れたかも知れない。

僕としては、プロの舞踊家=アルゼンチン男マリアーノ・チチョと紅一点のアリスの壮絶なダンスを見たかった。
あるいはゲイの2人の息を飲むような灼熱のタンゴを、長回しで、火花を散らして、スクリーンに炸裂させてもらいたかった。
看守にも奮起してもらいたかった。

タンゴをかじった事のある僕としては、いろいろが残念で、
ちゃぶ台ひっくり返したかった。

☆2つ

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きりん

4.0男二人のタンゴ。 ダンスのイメージが一新。 ここだけでも必見。

2023年12月16日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

単純

「タンゴは魂の踊り、~、自分の本性が表れる(予告より)」そうだったのか、だからこうなのね。

ラスト。斜め上行く展開。
 はははと笑いしかなくなるのか、ふざけるな!と言いたくなるのか、乾杯したくなるのか、観る人次第。

なんなんだかなあ、という登場人物たち。
 それが、長男が動き出してから、緊張がはらみだし、そしてあの…。
 それまでどうでもよかった、勝手にやってくれよと半ば思いながら観ていた人々が、エンディングが流れるときには、気になって、気になって、つい考えてしまう。「この後、どんなふうにやっているんだか」
 私史上、最強のラストの一本になってしまった(あくまで、一個人の感想です(笑))。

冒頭も好きです。
 罪を犯して逃げる二人。思いもかけず成り行きで殺してしまった戸惑い。そして殺された方の若き警察官。撃たれてから息が止まるまでが、殺したドミニクの顔と交互に映し出される。そこに被るやるせなくも切ない歌。一瞬たりとも目と耳を離したくなくなるシーン。

そこから、刑務官の場面になる。変わらずに繰り返される味気ない日常。そこに、活性化をもくろんで始めたダンス。というと『Shall we dance』を思い出すが、趣は全然違う。刑務官の生活は徹底的に無味乾燥・不器用極まる。

そして刑務所の場面になり、冒頭のドミニクたちが登場。奇妙な関係。ファムファタール。その息子。

そんな男四人とファムファタールの関係を軸に、
タンゴが彩を添える。

彩を添えると書いたが、男4人とファムファタールのやり取りよりも、タンゴをめぐる展開の方がひきつけられてしまう。男二人で踊る場面、刑務所の皆で練習する場面。つい体が動きそうになる。ダンスの場面は複雑かつ高度で真似なんかできやせぬが、練習場面は同じようにやったら、いつかあのタンゴが踊れるかなという大それた思いを抱きそうになる。そんな思いだけでなく、練習のステップ自体が格好いい。

なんて、タンゴに魅せられていると、あれよあれよと破滅の道へ。息苦しくすらなってくる。
と、その息苦しさがMAXになった段階で、ギャグのような展開へ。冷静に考えると、その展開すら破滅の道をまっしぐらなのだが、計画性に縛られた人生を送ってきたであろう人物の、子どもじみた計画性のない行動を見ていると、「これでいいのか?…これでいいのだ」と言いたくなるようなラスト。しかもここで終わるか?

ラストまで鑑賞して、監督は何が言いたかったんだろうと、今までの展開をすべて覆された感がありつつ、「リブレ=Free」、人生なんて計画通りにいかないよね。そこで生まれるなにかもあるよね、と笑ってしまう。

たぶん、心がちょっと疲れていて、かつちょっとの心の余裕(隙間)が、ある人しか受け入れられないだろうな、と思う。
心が一杯一杯の時に観たら、なんだよこれ、時間返せぇ~とちゃぶ台返ししていただろうな(あくまで、一個人の感想です(笑))。

 ドミニク(演:アムネッケル氏)がいい。他の役も観てみたい。
 フェルナン(演:ロペス氏)は、あの『パンズ・ラビリンス』で恐怖の大王ビダルを演じた方。ここでも(ビダルとは違ったキャラで)決めてくれます。
 息子アントニオ(演:シャセリオ氏)はデハーン氏に似ている。それも儲けもの。
 JC(演:ダミアン氏)とアリス(演:パウリスヴィックさん)は、なんだかなぁの極致だが、あの微妙なキャラをしっかり演じてくださったからこそ、このラストが効く。

とはいえ、やっぱりこの映画での立役者は、あのタンゴを踊ったフルンボリ氏とテグリ氏でしょう。このタンゴがなかったら地味な映画で終わってしまったが、このタンゴがあるがゆえに、主要メンバーの関係性すら艶めいたものに見えてくる。

タンゴは偉大だ。

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とみいじょん

4.0話が弾けまくり。

2014年3月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

怖い

興奮

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ハチコ

3.5これは気のいい看守にとって、幸せなのか不幸の始まりか?

2013年10月5日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

脚本も担当しているアリス役のアンヌ・パウリスヴィックが、スレンダーながら美しいボディーラインと相手をじっと見つめる瞳で、体全体からエネルギッシュな色気を発散する。
アリスの夫、フェルナンはアリスに負けないだけの野性的な気迫の持ち主で荒っぽく、看守の目も気にしない。その共犯者のドミニクがアリスの愛人でもあるというのが、この作品の肝。三角関係にはならず丸く収まっているのだ。

彼らに対し、皆からJ.C.と呼ばれる主人公の看守は、一時停止線を越えることもなければ見通しのいい田舎道でも赤信号をじっと待つようなマジメ男だ。しかも気が弱く、号令に従わないフェルナンに注意もまともにできない。

アリスたちとJ.C.の接点となるのがタンゴだが、タンゴがもっと話の中心にくるのかと思ったが、そうでもなかった。タンゴはあくまで話の流れをつくるキッカケに過ぎない。本流は、アリスの奔放さに吸い寄せられる男たちの行く末だ。

とはいえ、監獄の自由時間を使ってのタンゴのレクチャーは見応えがある。
本物のダンサー、アルゼンチンのマリアーノ・チチョ・フルンボリとパブロ・エルナン・テグリが踊るタンゴは、素人目にもキレがよく野性味のある振付で迫力がある。映画には関係ないが、あの脚さばきを見ていると、なるほど同国のサッカーが上手くなるはずだと感心してしまう。

おどおどしながらも、まったく違う世界に引き込まれていくJ.C.に「おいおい、だいじょうぶか?」と声を掛けたくなるが、彼にとって幸せなのか不幸の始まりなのかは曖昧で、何とも足元がおぼつかない風変わりな運びとなる。自分の感覚ではハッピー・エンド。

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マスター@だんだん