チョコレートドーナツ

ALLTIME BEST

劇場公開日:2014年4月19日

チョコレートドーナツ

解説・あらすじ

同性愛に対して差別と偏見が強く根付いていた1970年代のアメリカでの実話をもとに、育児放棄された子どもと家族のように暮らすゲイカップルの愛情を描き、トライベッカやシアトル、サンダンスほか、全米各地の映画祭で観客賞を多数受賞したドラマ。カリフォルニアで歌手になることを夢見ながら、ショウダンサーとして日銭を稼いでいるルディと、正義を信じ、世の中を変えようと弁護士になったポール、そして母の愛情を受けずに育ったダウン症の少年マルコは、家族のように寄り添って暮らしていた。しかし、ルディとポールはゲイであるということで好奇の目にさらされ、マルコを奪われてしまう。

2012年製作/97分/アメリカ
原題または英題:Any Day Now
配給:ビターズ・エンド
劇場公開日:2014年4月19日

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映画レビュー

4.0お涙頂戴と侮るなかれ

2025年6月16日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

泣ける

悲しい

癒される

年のせいか涙腺が緩んで困る(笑)。

本作は、ヤク中の母親が逮捕されて天涯孤独の身になってしまったダウン症の少年と、たまたまアパートの隣に住んでいたという縁で彼を仕方なく引き取ることになった中年のゲイカップルの間に本当の家族のような愛情が芽生えるのだが周囲は理解してくれず…という物語である。

これが泣かずにおられようか。涙腺決壊である(笑)。



特にダウン症の少年マルコが涙を誘う。

マルコのポツンと寂しそうな背中が映るたびに涙腺が刺激されるのだけれど、物語もさることながらマルコ役を演じたダウン症の少年が撮影現場という緊張を強いられる場所で頑張って演技をしたことを想像してウルウルしてしまうのである。



ある意味ちょっとあざとい映画だとも言える。
ベースとなる実話はあるのだけれど、あくまでベースであって、少年の監護権を巡る裁判沙汰や、ラストに少年の身に起こる事件などは全て創作である。



物語のかなりの部分が創作だからといってこの作品の価値が減じるわけではないけれど、人によっては創作と知って興醒めしたと感じるだろうし、LGBTQに対する世間の差別的態度を強調するために話を盛っていると感じるかもしれない。



確かに本作はLGBTQに対する差別をなくそうという一種の啓蒙映画であって、物語自体はそんなに意外性はなくけっこう先が読めてしまうし、主人公たちの前に立ち塞がる保守的な人たちもかなりステレオタイプな描かれ方をしている。



一歩間違えばLGBTQのためのプロパガンダ映画になりかねないのであり、事実そう感じて拒絶反応を示す人もいるかもしれない。



でもこの作品はLGBTQのための政治的映画という枠を超えて自分の心に深く突き刺さってきた。
それはもちろん劇中のマルコ少年の健気な姿に涙腺を刺激されたというのもあるのだけれど、それよりも主演のアラン・カミングが体当たりで演じてみせたゲイの中年男性の生々しい姿に感銘を受けたというのが一番大きい。



アラン・カミングはバイセクシャルであることを公言しており、一度女性と結婚したが離婚して、その後男性と結婚している。
こういう言い方が適切かどうか分からないけれどアラン・カミングは「本物」であり、この映画には「本物」が持つ生々しい迫力が感じられるのである。



アラン・カミングは確かな演技力を持つ一流の俳優だけれど、とりたててイケメンというわけではない。もちろん顔立ちは整っているし華のある俳優なのだけれど、いわゆるハリウッド的な美男子ではない。しかも撮影当時アラン・カミングは四十代後半である。


うっすら髭の生えた中年のアラン・カミングがゲイバーで女装して歌う姿や裸で彼氏とイチャつく姿など、こう言ってはなんだけれど美しくもないし格好良くもない。



この、美しくもないし格好良くもないゲイの中年男性の生々しい姿を堂々と演じ切った「本物」のアラン・カミングの姿を見て、たとえ周りや世間から嘲笑されようと毛嫌いされようと自分自身のセクシャリティに正直に生きることの大切さ、いや、セクシャリティに限定しなくても自分自身に正直に生きることの大切さを教わったような気がして自分は震えるほどの感銘を受けたのである。



この作品は、自分に自信があって世間を堂々と渡っていける強い人たちから見れば、LGBTQの政治的主張が鼻につくあざといお涙頂戴映画ということで片付けられてしまうのかもしれない。



でも、さまざまなコンプレックスを抱えて世間の中で生きづらい思い、肩身の狭い思いをしている人たち、かく言う自分もそういうコンプレックスだらけの一人なのだけれど、そういう人たちにほんの少し顔を上げ、ほんの少し胸を張って生きる勇気を与えてくれる、そんな稀有な映画でもあるのだ。



お涙頂戴と侮るなかれ。



自分は本作の製作に携わった全ての人に、よくぞこの作品を世に送り出してくれたと最大級の感謝を捧げたい。

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盟吉津堂

4.5すごく考えさせられる作品

2025年6月14日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

泣ける

悲しい

合同会社everfreeの代表、梶清智志です。
TikTokのお薦めで上がっていたので鑑賞してみたのですが、すごく考えさせられました。

深く胸に刺さる作品でした。
偏見や制度に翻弄されながらも、「愛すること」「守ること」に誠実であろうとする主人公たちの姿が印象的で、何度も心を揺さぶられました。

小さな行動が社会を変えていく、その連鎖の力を信じたくなる物語。
悲しみも希望もリアルに描かれ、「本当に大切なこととは何か?」と静かに問いかけてくるようでした。

ラストには言葉が出ませんでした。
ものすごく衝撃を受けるとともに、深く深く心に刻まれるものになりました。
経営者として、会社を、事業を営む者として、自分の行動を見直すきっかけになりました。

今を生きるすべての人に観てほしい、魂に触れる作品です。

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梶清智志

3.0奈落の底に

2025年6月11日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

同性愛の二人が障害のある子を引き取るという難しい問題だが、本当の家族のように温かく愛情深く接していて幸せに暮らしていたのに世の中の性差別や偏見で一人の子供を不幸にしてしまうという結末が悲しすぎて観ている自分まで奈落の底に突き落とされてしまった。

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ゆうき

4.0他者を認める

2025年6月3日
iPhoneアプリから投稿
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りか