劇場公開日 2014年2月15日

土竜の唄 潜入捜査官 REIJI : 映画評論・批評

2014年2月10日更新

2014年2月15日よりTOHOシネマズ六本木ヒルズほかにてロードショー

三池崇史お得意のエロ、笑い、暴力混成のハチャメチャ娯楽作

画像1

ホラー、ヤクザもの、アクション、時代劇とありとあらゆるジャンルを踏破し続けている三池崇史だが、エロと笑いと暴力の三大噺はもっとも好むテーマだろう。「土竜の唄」は原作が高橋のぼるのコミック、宮藤官九郎の脚本、主演が生田斗真の潜入捜査官もので、冒頭、全裸で車のボンネットに縛りつけられた生田が街を疾走する唖然とするシーンから掴みは充分。タランティーノの「デス・プルーフ in グラインドハウス」のパクリであるなどとは言わずもがな、映画自体が香港、韓国のノワールな潜入捜査官ものの脱力したパロディといってよい。

成績最低の落ちこぼれで童貞の巡査生田が、麻薬ルートを暴くために大暴力組織に潜入するが、とにかく映画は悪ふざけの連続で、指導係の遠藤憲一吹越満皆川猿時のトリオは「土竜の唄」を突然、コーラスで歌い出す始末だ。ただし「愛と誠」のミュージカルシーンよりは格段の進歩がみられる。さらに、生田が傘下の組の若頭・堤真一に惚れ込まれ義兄弟の契りを交わす際に、腕を交叉させ、血をすすり合うシーンは「仁義なき戦い」の菅原文太梅宮辰夫の引用だ。実際に幹部で伊吹吾郎が貫録たっぷりに登場したり、乱闘シーンでは、突然、「仁義なき戦い」ばりにキャメラが斜めに傾いで画面がセミ・ドキュメンタリータッチになるし、三池崇史はかなり遊んでいる。

生田の同僚のミニスカポリス仲里依紗は「ゼブラーマン」同様、エロっぽい姿態を披露し、関西暴力団の若頭に扮したフリークスなメイクがご愛嬌の岡本隆史や全身刺青のヒットマンなど異貌なキャラクターがゾロゾロ飛び出すのも楽しい。

ラストの港湾で対立する暴力団同士と警察が三つ巴となり、大乱闘、銃撃戦を繰り広げるクライマックスも、往年の石井輝男の「太平洋のGメン」ばりのハッタリがきいたアクションが見応え充分である。

高崎俊夫

Amazonで今すぐ購入

関連ニュース

関連ニュースをもっと読む
「土竜の唄 潜入捜査官 REIJI」の作品トップへ