映画がデジタルの時代になって、ちょこちょこ出始めた遊び心のあるイマドキの作風で面白かったね。
コミカルさと程よいシリアスさが両立している作品にはとても合っている。
とは言っても、何でもかんでもCGに頼る、実写なんだかアニメなんだかわからないようなものとは違って、自転車の疾走シーンの多くは本当に走っているようだ。
そのおかげか、全編を通して疾走感が凄かったね。立ち止まって話すだけのような場面がとても少なく、大半のシーンが自転車に乗っているという、自転車まみれだった。こんなに自転車ばかり見たのはツール・ド・フランスか本作かくらいだよ。
ストーリーはいたってシンプルなんだけど、過去回想や、時計が巻き戻って過去の場面を写すなど、楽しませるための工夫はかなりされていたね。
情報が前後して小出しにされるおかげで大したことないストーリーがスリリングになったと思う。
自転車の疾走とストーリーのスピーディーさで、とにかく「速い」という印象が強く残った。
作品の尺も短いしね。
あとは、あんな感じの自転車警官は本当にいるのか疑問に思い、ちょっと調べてみたことろ、本作の製作年にはいなかったけれど、今は本当にいるみたい。ニューヨークの話ね。
それと、作品の内容とはあまり関係ないんだけど、中国人がいっぱい出て来て、また中国資本の作品なんだとばかり思っていたら、とんでもなかった。
思いっきり喧嘩を売ってて清々しいくらい。
当然、中国では公開されなかっただろうし、日本も劇場未公開のようだし、恐らく興行的にコケたんだろうな。面白いのに勿体ない。