曽根崎心中(1981)

劇場公開日:

解説

近松門左衛門作の浄瑠璃「曽根崎心中」を野外にセットを組み撮影した舞台映画。監督は「黒髪」の栗崎碧。撮影は宮川一夫が担当した。1981年10月完成。1981年11月11日より日比谷芸術座にて限定上映。1983年7月2日より岩波ホールにて一般公開。

1981年製作/87分/日本
配給:エキプ・ド・シネマ
劇場公開日:1983年7月2日

ストーリー

醤油屋の手代徳兵衛は、主人に返すため友人の九平次に一時貸した金を催促するが、証文に押した印判は落としたものだと、却って衆人環視の中で辱めを受ける。主人に対する言い訳もあり、かつ不名誉をすすぐには自害するしかないという。かねて馴染の天満屋のお初がそれに同情し、曽根崎で心中するのだった。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第2回 日本アカデミー賞(1979年)

ノミネート

主演女優賞 梶芽衣子
助演女優賞 左幸子
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映画レビュー

5.0長き夢路を曾根崎の、森の雫と散りにけり。

2024年3月4日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

いやあ、すごいものを見た。文楽では同じものを見ているし、なんなら、文楽そのままを映像にしただけなので本筋に何の新しいものなどないのだが、これほどに新鮮な気持ちにさせてくれるとは思わなかった。
野外ロケやセット。通常正面からだけ鑑賞する文楽と違い、お人形が遠征に出てる感があって活き活きとして見える。二人が佇む橋の下を流れる川面に、北斗七星が揺らめいて映されているのなんてとてもロマンチックだった。おまけにカメラアングルも多角的で、「お初を刺そうとする徳兵衛の視線でお初を見下ろす」なんて状況は文楽では味わえない。さらにお初のその瞳が潤んで月の光を照らしている。なんてエモいのだよ。最後、藪の中に折り重ねられた二つの人形は、まるでさっきまでたしかに魂が宿っていた抜け殻のようだった。その姿に吸い込まれるように、僕の心も空虚な感情に支配されてしまった。
そして何より、上映後、観客からは拍手が起こった。起こるべくして起こった。それほどに見事だった。DVD化しないのだろうか。

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栗太郎