三十三間堂・通し矢物語

劇場公開日:1945年6月28日

解説

成瀬巳喜男にとってはじめての時代劇。一六〇六年、京都の三十三間堂で初めて行われた通し矢を描いた作品。通し矢とは、朝六時から翌日の六時までの間に、六六間(119メートル)先の的に射る矢の数を競うもの。一六六八年、星野勘左衛門は一万五百四十二本の弓を放って、八千本を的に当てた記録を作ったが、十八年後、和佐大八郎が一万三千五十三本を放って、八千百三十三本を当てて新記録を作った。この出来事に基づいて小国英雄が脚本を書いた。

1945年製作/76分/日本
配給:社団法人映画公社
劇場公開日:1945年6月28日

あらすじ

和佐大八郎の父親は、通し矢の記録を打ちたてたが、後に星野勘左衛門に破られ自害した。父の名誉を回復するために、十七歳の大八郎は毎日訓練に励む。勘左衛門は名を伏せて大八郎に弓矢の指導をし、遂には自分の記録を破らせる。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.5 戦争末期の作品ながらとても楽しめる大満足の作品です

2025年11月23日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

三十三間堂通し矢物語
1945年公開、東宝

三十三間堂はご存知京都の大寺
修学旅行で来られた方も多いでしょう

1001躯もの黄金に輝く観音様そのすべてが国宝です
そしてそれが並ぶ巨大なお堂自体も国宝です
世界最大の木造建築物で、東大寺の大仏殿より大きいです

京都駅からもほど近く、京都国立博物館のお向かいにありますから、大人になってから再訪された方もとても多いでしょう
七条通りから入ったところに入り口があります
120メートルほどもある通した矢の通路は本堂の西側で、入り口の反対側にあります
うかうかすると、見逃して帰ってしまいかねませんのでご注意を

戦争末期の作品にも関わらず、戦争の影を感じるようなものは全くありません
むしろそれをことごとく排除して、本作のような平和な時代を望むという姿勢なのかも知れません
通し矢自体は江戸時代に実際に行われたことだそうです
現地に八千本の通し矢の事などの説明板などもあります

成瀬巳喜男監督には珍しい時代劇です
お話も面白く、演出も、テンポもよく、スルスルと観れます
長谷川一夫はカッコ良く、田中絹代も役にぴったり
大満足の作品です

戦争末期、空襲を受けなかった京都で公開当時に観た観客は戦争なんて重苦しいことを一時は忘れさることができたことでしょう

本作を観てから、三十三間堂を訪れられるとより一層思い出に残る観光になると思います

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あき240