唐人お吉

劇場公開日:

解説

京映プロの第一回作品で江戸末期の外交にからむラシャメンお吉の生涯を描くもの。脚本は「祇園囃子」の依田義賢、「忍術罷り通る」の若尾徳平、これに「君に捧げし命なりせば」の若杉光夫が共同で執筆し、若杉光夫が「君に捧げし命なりせば」につづいて、監督にあたっている。撮影は瀬川順一、音楽は「サラリーマンの歌」の飯田信夫。出演者は「魅せられたる魂」の山田五十鈴、「若さま侍捕物帳 恐怖の折り鶴」の嵯峨美智子の母娘初顔合せのほか、「赤い自転車」の薄田研二、「赤い自転車」の朝霧鏡子、加藤嘉、北林谷栄など。それに三島雅夫、永田靖、これに民芸の宇野重吉、細川ちか子、前進座の瀬川菊之丞、河原崎国太郎、阪東調右衛門、市川染升が特別出演し、河原崎以下三人は劇中劇『明烏花濡衣』に出る。

1954年製作/101分/日本
配給:北星
劇場公開日:1954年1月15日

ストーリー

安政四年春、アメリカ総領事ハリスと秘書ヒュースケンが玉泉寺に居をかまえ、幕府と通商条約を結ぼうとしていた。幕府は二人が江戸に上るのを押える為、下田奉行井上信濃守と支配組頭伊佐新次郎はヒュースケンに町人の娘お福を世話し、ハリスには下田一の芸者お吉をあてがおうと企んだ。お吉には将来を誓った恋人、船大工の鶴松があった。伊佐は鶴松を甘言と脅迫を用いて下田から追放する。命の綱と頼む男に逃げられたお吉は、死んだ心でハリスの許へ行った。彼女に同情していた下田の人々は、一転して冷い目をおくった。お吉のために機嫌をなおしたハリスは下田条約に署名し、井上と伊佐は面目を果した。これを機にハリスとヒュースケンは江戸に上る事になり、お吉とお福には暇が出た。洋妾のそしりを受けて、二人は追われるように下田を出た。お福は旅役者の一座に加わり、お吉は破れた三味線をだいて新内「明烏」を歌いながら鶴松を求めて歩き続けた。明治六年秋、お福のいる片岡我久次郎一座の小屋の前に酔いしれたお吉が倒れていた。これが縁で彼女は一座に加わったが、横浜で彼女の明烏を耳にして飛込んだのは鶴松であった。伊佐にだまされた彼は舟大工の手伝いをしながら酒にすさんでいた。二人は手をとりあって下田に帰り、お吉は髪結いを始めたが、やがて食うに困って再び芸者に出た。鶴松との仲は次第に離れ彼は若き日のお吉に似たおゆきという娘に心をひかれて行く。その頃出世した伊佐が下田を訪れてお吉を座敷へ呼んた。彼女は憎しみをこめてかみそりで斬りつけたが及ばず、すべてに敗れたお吉は自らのどをついて死んだ。

全文を読む(ネタバレを含む場合あり)

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

映画レビュー

映画の断片しか残存せず?

2023年5月25日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

溝口健二監督の未見作だったからDVD取り寄せレンタルして鑑賞したが、映画の断片であった。残念。
映画作品サイトなどでは「1930年作品、15巻、115分」のように紹介されているが、大半の欠落。

下田の海あたりで女性(お吉?)が悲しいやら悔しいやらの表情を見せながら、駕籠の近くで舞う姿が見られる。

(※)本作の評点は付けない。

このDVDは「折鶴お千/唐人お吉」の2本立てなので、『折鶴お千』は活動弁士付き上映会(@新文芸坐)で観たことあるが、「唐人お吉」だけでは物足りなくて、また観てしまった(笑)

コメントする (0件)
共感した! 0件)
たいちぃ