ベイビー・ドライバー 劇場公開日 2017年8月19日
解説 「ショーン・オブ・ザ・デッド」「ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!」などで知られるエドガー・ライト監督が、音楽にのりながら驚異の運転テクニックを発揮する若きドライバーの活躍を描いたオリジナル作品。天才的なドラインビングテクニックで犯罪者の逃走を手助けする「逃がし屋」をしているベイビーは、子どもの頃の事故の後遺症で耳鳴りに悩まされているが、音楽によって外界から遮断さえることで耳鳴りが消え、驚くべき運転能力を発揮することができる。そのため、こだわりのプレイリストが揃ったiPodが仕事の必需品だった。ある日、運命の女性デボラと出会ったベイビーは、逃がし屋から足を洗うことを決めるが、ベイビーの才能を惜しむ犯罪組織のボスに脅され、無謀な強盗に手を貸すことになる。ベイビー役は、「きっと、星のせいじゃない。」で注目された若手俳優のアンセル・エルゴート。ヒロインとなるデボラを「シンデレラ」のリリー・ジェームズが演じるほか、ケビン・スペイシー、ジェイミー・フォックスといった実力派ベテラン俳優も共演。
2017年製作/113分/G/アメリカ 原題:Baby Driver 配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
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2021年8月31日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
カーアクションをまるでミュージカルのように音楽に合わせて撮るという発想は面白い。しかし、やはりキャラクター造形がピカイチの作品だと思っている。主人公のアンセル・エルゴートが演じたベイビーが本当によく作ったなと感心するほどに面白いやつなのだ。凄腕のドライバーで、事故の後遺症の耳鳴りを防ぐために音楽を聞き続けていて、ベビーフェイスの若者だ。行きつけのレストランでウェイトレスに一目惚れし、ゲッタウェイのごとく逃げる計画を立てて、強盗のボスを出し抜いていく。悪党に力を貸しているけど、本心から悪党ではない。そんな主人公を引き立てる脇役の異様な個性派が揃っていてキャラ立ちしている。一人も類型的な人間は出てこない、ぶっ飛んだ個性で生き生きとしていて、観ていて楽しい。 アンセル・エルゴートはこの役のために生まれたんじゃないかと思えるほどにはまっていた。ダンスの心得もあるので、リズム感が良くて、彼のその身体がこの映画の魅力を支えたと思う。
2020年5月16日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
通称:ベイビー。天才的なドライビングテクニックを誇る“逃がし屋”の青年。幼いころに遭った事故の後遺症で耳鳴りに悩まされているが、ひとたび音楽を聴けば華麗なハンドルさばきで追っ手を撒く。ウエイトレスのデボラと出会い、借金も完済し、新しい日々が始まろうとした矢先、再び仕事の依頼が舞い込む。 「アントマン」の監督を降板したエドガー・ライトが、製作会社MRCのアプローチを受けて実現させた完全オリジナル作。サントラのイントロダクションで「Baby drives cars, but music drives Baby」とライト監督が説明するように、ベイビーは音楽に突き動かされ、車を走らせる。ジョン・スペンサー・エクスプロージョンの「ベルボトム」で真っ赤なスバルがアトランタの街を疾走するオープニングは、本作のコンセプトを象徴するシークエンスだ。 ロック、ソウル、ヒップホップとバラエティに富んだ“キラートラック”に、キャラクターたちがシンクロし、ストーリーが引き寄せられていく。ストーリー・ドリブンでもなく、キャラクター・ドリブンでもない。ミュージック・ドリブンという新境地が開拓された。
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観た人に感想を聞いて回ったが、スタイルだけで中身がない、という批判を聞く。実際「そうじゃありません!」と断言できる反論を思いつかないが、自分は確実にグッときたし、ただカッコいいだけの映画とは思わない。 自分が一番グッとくるのは「橋の向こう側がパトカーで封鎖されている」場面。いかにもアメリカンニューシネマ的なベタな展開なのは承知している。だがエドガー・ライトは敢えてアメリカンニューシネマを照れることなくやってみたかったのだと思う。 音楽と映像とのシンクロは大きな魅力だが、あのシーンはそのコンセプトよりもニューシネマ的な逃避行を優先させているし、その上で安易なニューシネマ的バッドエンドに落とさなかったことにも嬉しくなってしまった。作り手が絵空事を本気で信じているからこそ実現した、とても美しくてハッピーな映画だと思うし、それぞれにグッとくるところが見つかるかが評価の分かれ目になるのだろう。
2017年8月19日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会
音と映像がシンクロする!?確かにそうだ。一秒の狂いもなく音楽のフレーズと場面の編集が連動していく、特にオープニングシーンがもたらす高揚感は半端ない。それは同時に、主人公と観客が同じBGMを共有する時間でもある。そこが実は画期的なのだ。場面に作曲家が作ったメロディが流れるのではない。それだと、音を聴いているのは観客だけだからだ。音楽の共有なら、それに合わせて役者が歌い踊るミュージカルがある。本作が「ラ・ラ・ランド」と比較される理由もそこにある。しかし、ベイビーはまさに意図してイヤホンから流れるサウンドとリズムに合わせてハンドルを握り、行程を計画し、それに観客も付き合うわけだから、その共有感は1000%。誰もが初めてiPhoneに取り込んだ好みの音楽を聴きながら出勤した時の楽しさを思い出すに違いない、至福の映像とサウンドの同時体験。それが「ベイビー・ドライバー」なのだ!!
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