死の断崖(1951)
劇場公開日:1951年9月28日
解説
製作は「袴だれ保輔」の田中友幸。谷口千吉の「愛と憎しみの彼方へ」に次ぐ自脚本による監督作品で、監督としては「誰が私を裁くのか」に次ぐもの。撮影は「オヤオヤ人生」の山中晋が担当。主演者の主なものは「月よりの母」の上原謙「青い真珠」の島崎雪子と菅井一郎、、長岡輝子、中北千枝子、清水将夫などで、この映画の中の役名をそのまま、芸名に名乗って片桐余四郎という新人が出演する。
1951年製作/93分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1951年9月28日
ストーリー
小島浩平は動物園の若い獣医であるが、山登りが何よりも好きであった。山岳会の後輩片桐余四郎の妹篤子と結婚することになるが、結婚したら山登りはやめてくれと篤子や母にせまられ、その前に一同で名残りの山登りをやるが、岩登りをしていた浩平と余四郎のうちふとしたはずみで余四郎が足をすべらしザイルでぶらさがった。余四郎を浩平を助けるため自分からザイルを切って谷底へ落ちて死んだが、自分が助かりたいため浩平がザイルを切ったのではないかとの疑いが篤子をくるしめ、結婚は無期延期になった。浩平も人々の冷たい眼にたえられず酒びたりになっていたが、そのうち余四郎の記念碑を遭難地に建てることになり、一同はふたたび山へのぼった。その時篤子は一人余四郎の死んだ現場を見たいとどんどん雪渓をのぼって行った。浩平はそれを追って行って、非常な危険を犯して篤子に当時の模様を実験して見せてやった。篤子の心は初めて解けた。しかしその夜傷をこらえて山の遭難者を救いに出かけ、凍死寸前の遭難者を自分の生命をかけて救った浩平を見たとき篤子は結婚後、浩平に山登りを禁ずる愚かさを悟ったのだった。浩平の男らしい人間を作りあげたのは山に登ることによってであったのだから。