不良少女(1949)

劇場公開日:

解説

雑誌『小説新潮』に掲載された田村泰次郎の短編小説から成瀬巳喜男が、一昨年東宝で発表した「春の目ざめ」の続編として脚色し、久々に演出に当たる。スタッフとして企画の本木莊二郎、撮影の玉井正夫、キャストとして久我久美子、木匠久美子、立花満枝、登山清子らが東宝から参加している。他に「四人目の淑女」の森雅之「月よりの使者(1949)」の喜多川千鶴に、東横から小杉勇、青山健吉、如月麗子が出演し、更に「野球狂時代」につぐ杉狂児、杉義一親子、昭和十三年度の日活映画「路傍の石」の片山明彦と星美千子が十一年ぶりに顔を合わせる。

1949年製作/58分/日本
原題または英題:Bad Girl
配給:東横
劇場公開日:1949年3月29日

ストーリー

映子と民恵は女学校の同級であった。英語教師を父に持つ民恵は大過なく卒業して保険会社に勤めたのに、気の弱い母親のみの映子は不良じみて落第し、相変わらず街の喫茶店やダンスホールで若い学生達と遊び回り、若さを楽しむ権利を満喫していた。民恵はある日、映子の生活を見た。映子は男学生小島が贈る豪華な靴を事もなげに受け取っていたが、民恵自信の靴はくたびれ果てて、代わりを買うためにはあまりに俸給が少なかった。民恵は映子の生活に何か羨望を感じずにはいられなかった。映子は母の手から新興成金と同棲する姉の許に預けられた。映子はそれをいいことにして、その生活はますます放縦に流れて行った。民恵はある俸給の日、欲しい靴をながめているうちに、スリにその俸給をすられてしまう。民恵はうるさい父母を思うとき、それを両親に打ち明けることは出来なかった。そして会社の給料遅配と嘘をついてその場はごまかしたが、何とかして盗られた金額を工面しようとして、腕時計の処分を映子に頼んだ。ちょうどその時彼女らは映子の義兄榊原に会ったので映子は榊原からその金を出してもらって、民恵の窮状を救ってやった。一方いつも映子の歓心を買うため高価な贈り物をしていた学生小島は、実はその金を与太者の武内から借り受けていたのである。武内からのきつい催促に弱りぬいて彼は映子にその金策を頼んだ。映子は義兄と民恵のことを思い浮かべて、そして民恵の世話をすることを代償に榊原から金を引き出した。そして民恵を偽手紙でおびき出して、榊原と二人きりである小料理店であわせる手はずを完了した。その時映子自信は小島から呼出の手紙をもらった。映子は胸おどらせて指定の旅館に出かけた。しかし、そこに現れたのは小島でなく武内だった。武内から受け取った小島の手紙には「自分に好意を持っているなら、今夜武内の言う事を聞いてやってくれ」と書いてあった。小島は借金のかたに映子を武内に売ったのである。映子は初めて自分の今までの行為に気が付いたが、既に遅かった。一方民恵は何も知らずに榊原と会って、初めて自分の嘘の結果の大きさを知った。そして彼女は、自分を理解していた彼にすべてを語って別れた。帰り道、民恵は貧しいけれど、心正しい会社の同僚である青年のことを、今夜はっきりと両親に打ち明けようと考えた。

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