目白三平物語 うちの女房
劇場公開日:1957年3月27日
解説
平凡な庶民生活の中に、あふれるユーモアとペーソスを描いた中村武志の『サラリーマン・目白三平』を「美貌の都」の井手俊郎が脚色し、「殉愛」の鈴木英夫が監督する。撮影は「眠狂四郎無頼控」の山崎一雄。主な出演者は「暴れん坊街道」の佐野周二、「米」の望月優子、「歌う不夜城」の久慈あさみ、ほかに杉葉子、団令子、佐原健二、千石規子など。
1957年製作/72分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1957年3月27日
ストーリー
目白三平は或る日、骨抜きに箱根へ出かけそこで失恋の挙句自殺をしにきた青年大塚耕一を知り、慰めてやる。女房の文子は品川夫人に、箱根でクラス会を開くから一緒にと誘われる。ところが相談をうけた三平は近所のドライ娘雪子との約束が気になり文子の話にも上の空、電子と踊る三平は女房の娘時代を想い出すうちよろめいてシャツに口紅をつけてしまう。家に帰って早速文子に難詰されるが、試しに踊っているうちに昔を想い出す。子供の春木と冬木があきれてみている。ある日曜日、三平は雪子の相談をうけた。実は彼女には“おじさま”がいるのだが、その後お見合した青年が好きになり結婚まで進んだけど、過去を告白すべきか、そして彼に会ってほしいと言う。丁度喫茶室で話中の二人を飯田夫人に発見され、告げ口された文子は断然箱根行きを宣言。しかしクラス会は主人の出張や子供の病気とかで文子と品川夫人の二人だけ、一方雪子が紹介した青年は三平が温泉で知った大塚耕一だった。三平は二人の過去を自分一人の胸に収めて二人の幸福を祈ってやる。文子も家の方が気になり宿から電話するが雪子が結婚するときいて安心し忽ち里心がつく。翌日文子が帰宅すると巡査が来ていて、外に干した毛布が盗まれたとのこと。数日後、冬木をつれた文子はいつか冬木の落したカリン糖を拾っていた男の子をみかける。冬木はカリン糖の包みをさし出すが、男の子は逃出し冬木がやっとつかまえるとワッと泣き出してしまった。その夕方、男の子とやつれた母親が台所口を訪れた。カリン糖のお礼と、前日の毛布も……と泣き崩れる。三平と文子は平凡な家庭こそ最高の幸福だと感慨にふけるのだった。