花の兄弟(1956)
劇場公開日:1956年6月8日
解説
“娯楽よみうり”に連載の、子母沢寛原作の映画化。徳川末期の動乱の中に、江戸を灰燼に帰そうという陰謀をめぐり宿命に生きる兄弟の活躍と愛憎を描いている。「花の渡り鳥」の犬塚稔が脚色し、「浅太郎鴉」の三隅研次が監督した。撮影は「忍術選手権試合」の竹村康和。主な出演者は「喧嘩鴛鴦」の市川雷蔵、浜世津子、「刑事部屋」の林成年、「祇園の姉妹」の木暮実千代、「新婚日記 嬉しい朝」の東野英治郎、「鼠小僧忍び込み控」の三田登喜子など。
1956年製作/74分/日本
劇場公開日:1956年6月8日
ストーリー
徳川も末期の頃。島田虎之助の道場で小天狗と謳われた一刀流の達人大塚半九郎は、今は鳥越の半九郎と呼ばれるごろつき侍になり下っていた。今日も彼は一味の首領株青木弥太郎の情婦お辰を奥女中に仕立てて札差旦那衆の賭場に乗り込み、有金を捲き上げて引き上げたが、その帰途、養子に行った弟の辺見播磨に出逢ってしまう。兄の変り果てた姿を心配した播磨は師匠虎之助に相談したが虎之助は却って大丈夫だと播磨を慰めた。ある夜、播磨は唐物問屋伊勢屋安左衛門の手先小倉庵の長二郎に伊勢安の妾になれと難題を吹きかけられている芸者美代次を救った。半九郎と同棲している彼女の案内で兄を訪ねた播磨は亡き父を忘れたかと迫る。だが半九郎は酔ったふりをして話を真面目に聞こうともしなかった。兄弟の父大塚三左衛門は鉄砲奉行付庫方だったが、何者かに短筒十挺を盗まれた責を負い自決したのであった。この頃、薩摩屋敷では江戸城内の地理に明るい伊勢安の絵図面を囲んで、焔硝庫爆破の計画が進められていた。その役目を引受けた青木一味が密談の最中、兄を探しに来た播磨は見咎められ逃げる途中、誤って古井戸に落込んだ。半九郎は夜半、秘かに弟を助け出したが見廻りに来たお辰に感付かれた。だが、その時彼はお辰の手の短筒が鉄砲庫の盗品であるのに目をつけた。一方美代次はお座敷の帰りにお辰の弟である小倉庵に拐かされ、偶々姉弟の会話から、焔硝庫爆破の計画を知る。半九郎は、ある夜青木の土蔵に忍び込み、盗まれた短筒を見出した。機熟し、焔硝庫爆破に向う青木一味。やがて庫の番小屋に火の手があがり、その焔の中で青木一味と半九郎、美代次の知らせを受けた播磨、兄弟に味方するお辰たちの乱闘が続いた。半九郎は首尾よく青木を斬り伏せ、美代次も救い出された。火事は番小屋に止り、焔硝庫の爆発は防ぎ止められた。やがて短筒を収めた木箱を持ち出仕する兄弟の晴れやかな裃姿が見られた。