一等女房と三等亭主
劇場公開日:1953年11月10日
解説
並木透の原案より「次郎長一家罷り通る」の松浦健郎がシナリオを書卸し、新人小森白が初のメガフォンを握っている。撮影は「半処女」の岩佐一泉、音楽は「都会の横顔」の松井八郎である。出演者は「早稲田大学」の伊藤雄之助、「健児の塔」の轟夕起子、「わが恋はリラの木蔭に」の関千恵子、「すっ飛び千両旅」の小川虎之勤、小倉繁、「太平洋の鷲」の小林桂樹などである。
1953年製作/92分/日本
劇場公開日:1953年11月10日
ストーリー
美容術界のオーソリティで嘗てはミス東京として名を馳せた海山夏子は、そうした一等女房である。それにひきかえ亭主の千吉はおひとよしで、スローな事も無類である。二人が一緒に居ることはめったになく、しかも周囲から、亭主はかすんでるのなんのと取沙汰されて、兎角面白くない事ばかりである。職を求めて上京してきた夏子の弟の平馬は、女房関白の海山家の家庭生活に呆れはて、千吉の務め先のナイス産業のセールスマン花巻テルに弟子入りして、テルの下宿に転げこんだ。世界婦人連盟会議から夫人が帰って来たのに慌てたナイス産業社長は、千吉に命じて愛妾おふねに当分来られない旨告げるが、おふねはどうやら千吉に執心で彼のライターを取り上げてしまった。夏子もやはり女である。千吉のライターの紛失を忽ち臭いと感ずいた。社長は社長でおふねのサーヴィスが近頃悪いと連絡係の千吉にあたる。社長夫人も息子一郎から言われて社長に疑いをかけ、一郎は夏子を妾と早合点してしまうが間もなく和解し、テル、一郎、平馬、夏子の四人はアルプス登山に出掛けた。槍カ岳の野天風呂での隣の女は、驚いたことに千吉のライターを持っており、間もなく現れた千吉を口説き始めた。おふねである。すっかり怒った夏子はおふねに喰ってかかり、初めて夫婦の愛情を感じて千吉の胸にすがった。ホテルの中庭ではテルが「三等亭主にはさせないわ」と平馬に微笑んでいた。翌日、快晴の銀座八丁を千吉と夏子が腕を組んで歩いている姿を見かけたとか。