加賀騒動

劇場公開日:

解説

村上元三のサンデー毎日連載小説を「生きる」の橋本忍が脚色し、「恐妻時代」の佐伯清が監督した東映京都作品。撮影は「紺屋高尾」の三木滋人、音楽は「満月三十石船」の高橋半。「飛びっちょ判官」の大友柳太朗、「女ひとり大地を行く」の山田五十鈴、「ギラム」の利根はる恵などを除いて、キャストの殆どを千田是也、小沢栄、東野英治郎、三島雅夫、薄田研二、岸輝子、加藤嘉、東恵美子等新劇人が占めている。

1953年製作/95分/日本
配給:東映
劇場公開日:1953年2月5日

ストーリー

享保年間。--加賀藩の禄を食む小身者大槻伝蔵は、藩お抱えの加賀鳶と旗本火消との衝突を見事捌いて思いがけぬ貫録を示したばかりか、恋人お貞の友、お民を大守吉徳の側室にとりもって主の気嫌にかなった。江戸屋敷における彼の地位は急激に上り、やがて吉徳の名代として国許への使者を仰付けられる迄になるが、加賀へ着到のとたん、軽輩伝蔵の名代を怒った国家老前田土佐の命によって謹慎の身へ墜ちた。結局は吉徳直々の手で罪を解かれ、加えて二百五十石の増俸をも得たものの、武家社会に一旦抱いた懐疑は去りようもない。この若い懐疑は、さらにお貞がお民の後を襲って吉徳の側室に収まったことから一転し、彼を栄達のためにはすべてを犠牲にして顧みぬ狂的なエゴイストとした。二、三年を経て彼は千九百八十石の大身であった。彼の権勢欲はまだ飽かなかった。--しかし、吉徳の急死によって情勢は一変、正嗣宗辰をたてる前田土佐一派は伝蔵がお貞の方の後見としてその腹心お浅を局に推した事をもって庶嗣勢之佐の襲跡を企てるお家乗取りの策となし、はげしく訴追した。幾多の濡衣と戦い、逆臣の名を拒みながら、すべて空しく、彼は自らの命を絶っていった。

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