花荻先生と三太
劇場公開日:1952年3月13日
解説
ラジオで知られた青木茂の「三太物語」の映画化で、脚色は大黒登用士とある。監督は「西城家の饗宴」の鈴木英夫、撮影は「女王蜂(1952)」の渡辺公夫である。出演者は、民芸の新人津村愁子を主役花荻先生に起用、大橋弘の三太をはじめ、田中晋二、古市久巳、長澤みどりなどの子役に山田五十鈴をはじめ民芸の幹部級が助演している。
1952年製作/80分/日本
配給:大映
劇場公開日:1952年3月13日
ストーリー
静かな鏡のような湖のある村。三太と定、留、お花ちゃんはこの村の学校に通っている仲良し仲間だった。三太は大変な悪戯者で、今日も学校へ行くのに、相模湖を泳いで行くといって定や、留、お花を心配させるのだった。やがて、この村の学校に花荻先生という、若くて可憐な女の先生が赴任して来た。花荻先生は東京の音楽学校の出身で、この美しい村の風景を歌に作ってみんなに教えてくれた。三太は、最初花荻先生のところへ青大将を捕らえて来たりして先生をおどろかしたが、段々に優しい先生と仲良しになった。そして、三太たちの仲間にとって花荻先生はなくてはならない人になった。そのうちに祭りがやって来た。町では花火があがり、大変なにぎわいだった。花荻先生も三太たちと一緒にお祭り見物に出かけて行った。博奕が好きで、いつも女房と大喧嘩をしてばかりいる音さん夫婦も、この夜は祭り酒によっばらっていい機嫌になっていた。祭りもすんだある日、花荻先生は校長先生によばれた。花荻先生の出身校の音楽学校から、花荻先生を教師に招へいしたいと申し入れて来たのだった。花荻先生は、三太たちやこの美しい村に別に別れ去って行く気はなかったが、校長先生に、前途が大切だと説かれて、東京へ出る決心をした。音さんや強羅さんたちも、花荻先生が学校をやめて村を去ることを悲しんだが、諦められないのが三太たちだった。しかし、先生の乗ったバスが走り出したとき、三太たちはそのバスを追って走り出した。どこまでも追ってくる三太たちの必死の姿に、とうとう花荻先生はバスをとめてもらって降りて来た。花荻先生はやっばり村にとどまる決心をしたのだった。