痴人の愛(1960)
劇場公開日:1960年4月17日
解説
谷崎潤一郎の原作を「初春狸御殿」の木村恵吾が再び脚色監督したもの。撮影は石田博が担当した。
1960年製作/88分/日本
配給:大映
劇場公開日:1960年4月17日
ストーリー
他人からは木石の典型のように思われている河合譲治にも秘密があった。ナオミである。池袋のアルバイト・サロンで彼女をみつけてから、収人のすべてをそそいで今日のような魅力ある女性に育て上げたのだ。自分の思った通りの女を得たいという、譲治の奇妙な執念の結果だった。ナオミはスポーツ・カーをねだった。最近、ナオミの享楽の欲望は果てしもなく大きくなっていくようだ。さすがに、これは譲治も承諾するわけにはいかなかった。英語のレッスン中、ナオミはノートを破った。譲治のはげしい声がとんだ。ナオミは姿を消した。やがて帰ってきたナオミと譲治の情痴の世界。--以来、譲治の家でのナオミの生活は一段と奔放になった。春から夏、譲治はその頃いまわしい噂を聞いた。ナオミがボーイ・フレンドの誰かれかまわずに身をまかせているという。彼女の頼みで譲治は鎌倉に離れを借りていた。ある夜、譲治は遅くなる送別会の予定を早くくりあげて帰った。ナオミはいなかった。浜辺で譲治は見た。ボーイ・フレンドに囲まれ、体に海草をまきつけて踊り狂うナオミを。男たちのはやし声に、全裸に近い体をくねらせる、ナオミの痴態。譲治はナオミを砂浜に突き倒した。--東京へ帰った譲治は、決定的な事実に会わねばならなかった。ナオミを寝室で待つ男がいたのだ。秋。譲治はナオミと別れていた。ラジオを聞きながら、干物を焼く彼の前に人影が立った。なれ親しんだ体臭。ナオミだった。顔をそむける彼の眼の前で、ナオミは着替えを始めた。いつしか譲治はあえぎ始め、抱きついていた--。